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『天ノ少女』感想

 どうもです。

 今回は『殻ノ少女』のシリーズ3作目にして最終作、2020年12月25日にInnocent Greyより発売された『天ノ少女』の感想になります。『殻ノ少女』をプレイしたのが、今年7月24日。かなりハマって駆け抜ける様にプレイしていたので、あっという間だったなと想うと同時に、終わってしまったな…と。TRUE END後は感動しすぎて画面の前から1時間程動けなかったですね、冗談抜きでガチで。もぬけの殻状態というか…。そのくらい本当に素晴らしい作品でした。


 PV(OPムービー)は今回も2種類あって、上記に貼ったのは1stOP『擬翼の偶像』。曲はクリア後もよく聴いてるくらいには好き。2ndOPは『久遠の繭』で、ネタバレもあるんで是非本編で聴いて見て欲しいです。この曲はクリア後で大分印象変わりましたね。泣き要素が出る。
 映像は上記の『擬翼の偶像』方が好きで、もうセンスに更に磨きがかかったなと、お洒落すぎ。音ハメも綺麗だし、儚さと美しさが詰まってる。イントロがサビの後にもっかい来るとこも凄い好き。自分がプレイしてきたエロゲOPの中でも5本指には入るくらい、今回も素晴らしかったです。

 では、いくつかテーマを章立てて感想を書いていきたいなと。『殻ノ少女』シリーズ最終作という事で、ちょっとボリューミーになるかもしれませんが、一部だけでも読んで頂けると幸いです。こっからネタバレ全開なんで自己責任でお願いします。



1.時坂玲人について

 この感想記事でメインに書くべき、書きたいのは何だろうと構想を考えて、一番に思いついたのがやっぱり玲人についてでした。TRUE END後の感動が落ち着いてきて、あぁ…この作品は主人公―時坂玲人の物語で間違いなかったんだな…良かったな…と心の底から思ったので。本当に色々あったけれど、突き詰めると、『殻ノ少女』シリーズは彼の物語だったと思います。

 TRUE ENDのラストシーン、玲人の心情は驚きと涙、それから笑顔で語られました。ここで多くを語らずに幕を閉じたのが本当に好きで…。この表情だけで充分だっていう一杯一杯になる気持ちが重なり、言葉で言い表せる様な想いではないと云う事も感じられますし、ここまで辿り着いたプレイヤー自身の心境が反映されます様にという意図も感じられます。詰まる所、想像できる余白を残してくれたのが本当に良かったです。だからこそ、次々と想いがこみ上げてくる感じ。一言だと、"良かったな"に尽きるんですが、この"良かったな"に、色んな意味が込められてしまって、もう感情ぐちゃぐちゃに…。今は落ち着いたので、この色んな意味について、大きく3つ書きたいと思ってます。

 1つ目は、冬子との再会の意
 あのシーン、最初に彼の頭の中によぎったのは色羽ではなく、冬子だとやっぱり思うんです。驚きと一瞬の回想がそれを物語っていると思いますし(これのお蔭でくそ泣いた)。もう再び出逢う事は絶対に叶わないと解ってはいたけれど、逢いたい気持ちが無くなる訳では無い。玲人の中で冬子にもう一度でいいから逢えたらと…彼女の夢を見てしまう程に想っていた訳です。それがある意味、あの瞬間叶ったと思うんです。実際、プレイヤーである自分も『虚ノ少女』で逢えると思っていてそれが見事に砕かれて…ずっとあった心残りをこのシーンで綺麗に掬ってくれました。あの一瞬だけ玲人は冬子に逢えた、例えそれが錯覚や気のせいだとしても、底にある想いに押し出されたモノであり、きっとそれはかけがえのない瞬間であるはずです。こーゆー瞬間が生まれるから、記憶と共に連想される感情もまたかけがえのない特別な感情として更新されていくんだと思います。玲人にとって、冬子との記憶を想い出す時、それが良き想い出となる事を願ってやみません。

 2つ目は、色羽との再会の意
 冬子の事がよぎった後に色羽であると確信したと仮定する(そうだと想いたい)と、成長した彼女と数年越しに再会した事になります。まだ幼かった彼女を救い、佐枝家へ引き渡した事を後悔してはいないけれど、彼女の成長が全く気にならないと言ったら嘘になるでしょう。引き渡した時の、「――これでいいんだ。」はこれが彼女にとってベストであると自身を納得させようとしてる気持ちの表れですし、煙草を押しつけて揉み消した想いは、私的な感情でしょう。その感情が湧き出て当然だと思います。確実に親子である証拠はないけれど、冬子が遺してくれたものだと希望を重ね、どんな子に成長したかは気になってはいたはずで、でも自分から逢いに行く事は絶対にできない。もどかしい気持ちが無くはなかったはずです。玲人の事ですし(笑) なので、その長年溜まっていた気持ちがこの再会で晴れて、彼女が自分の事を覚えていたくれていた喜びなのか、健康に元気に育ってくれていた喜びなのか、その両方、それ以外なのか、ここも想像は尽きませんが、色羽と再会できて嬉しかった事には違いないと思います。

 3つ目は、偏執から完全に解き放たれたの意
 上記2つの再会の意を兼ねての意味になってくると思います。式も挙げ、冬子の死に現実感が湧いてきても、更に事件を全て解決しても、まだ玲人は偏執に囚われたままだったのかもしれません。殆ど解かれてはいるけれど、まだどこか気になってしまう…後ろ向きな気持ちで。
 というのも、彼は「……これで良かったんだよな――冬子」とずっと不安みたいなモノを抱えて生きてきたはずです。遡れば、由記子を救えなかった時から、自分の行動に自信なんかは持てていなかったと思います。そして冬子まで喪い、それは加速したはずです。何が正しくて、どれが救いの道なのか確信は持てないけれど、それでも真実を見つける事だけは止めずに足掻いてきた。真実を公にしたり伝えたりする事は別として、"本当"が意味する処に、一番近いモノだと彼は信じて止まなかったはずですから。
 そして、足掻き続けた結果、冬子と色羽の再会という形で、ずっと不安だった良かったかどうかの答えに辿り着く事ができました。ここで注意したいのは、冬子との再会は一瞬の出来事で、決して色羽に冬子を重ねている訳ではないと云う事ですね(重ねてしまったらどっかの誰かさんと同じ)。この再会を以って、玲人は遂に不安の原因である偏執から完全に解き放れたんだと思います。冬子も遠く彼方へ飛び立つ事ができ、それは色羽という存在がいてくれたからだと。"瑠璃"と"色羽"で、「瑠璃色の羽」的な存在だと云うのも、何か運命的な巡り合わせを感じます。玲人だけでなく、冬子にとっても色羽にとっても救いである事が解る本当に素敵なシーンでした。
 また、これは挿入歌である『瑠璃ノ鳥』の歌詞からも窺えます。『殻ノ少女』の「瑠璃の鳥」のアレンジかと思いきや、歌い手は霜月はるかさんから鈴湯さんに渡り、一部歌詞も変わってるのヤバくないですか…。変わった部分は落ちサビとラスサビの以下の通り。

翳した手のひらすり抜けていく
もう動くこともない

奇蹟を信じた無垢の心
遠い神話のよう

光を集めた瑠璃の鳥よ
行方も分からないまま

打ち棄てた躰迷いの中
漂い辿り着くのは途切れた軌跡
(霜月はるか『瑠璃の鳥』)
翳した手のひらすり抜けていく
もう失くしたくない

奇蹟を信じた無垢の心
取り戻すために

光を集めた瑠璃の鳥よ
焦がれ続けた鳥よ

打ち棄てた躰振り向かずに
果てのない旅路へ遠く彼方へ
(鈴湯『瑠璃ノ鳥』)

 飛び立った先があやふやで迷いがある感じから、遠く彼方まで飛び立つ固く強い意志を感じる歌詞へと変わった気がします。曲の雰囲気もオリジナルより優しく温かくなりましたし。初めて聴いた瞬間の感情的な側面が大きいのは認めますが、再会に重ね合わせたこの楽曲の変化からも偏執から解き放たれた事を感じざるを得ません。

 最後に、「捜して欲しいんだ――私を。本当の、ね」についても触れておきたいなと思います。この言葉だけでなく、出逢いとしても巡っている事を感じた再会シーンですが、この"巡る"を象徴したくてこの言葉は意図的に組まれたものだとも思います。また、この”巡る”はきっと前向きなもので、この作品を象徴する"偏執"に代わるものだとも思います。再び戻るみたいな囚われの意ではなく、玲人は春を"新しく"感じれる様になりました。季節が巡ったから何かを感じるのではなく、色羽の成長などが要因で季節が巡った事を感じれる様になったと言いますか。そして、それを感じる瞬間にいつもそばにいる人に想いを馳せる事ができるんだと思います。だから、美しく愛おしいんですよね。玲人、本当に良かったな…。タイトルバックのモノローグが好きなのでそれを書き残して、この章は締めたいと思います。

君と出逢った春。
あれから何度も季節は巡り、また新しい春がやってくる。
可憐な花びらとともに――



2.「天罰」と贋作について

 今作での一連の事件の鍵となった絵画「天罰」についてと、彼女―前園静が云う処の"贋作"とは何だったのか、その辺りについて色々と書いていければと思います。

 まず、「天罰」について。原案は前園空のものであり、それを元に前園静が贋作作りを続け身に着けた腕を以て仕上げた作品です。元々、空はこの絵に"天使になりたかった"という想いを込めていました。家族の幸せを祈って。間宮心像の作品に寄せて静が描いたとしても、この想いは絵画に残っていたと想いたいんですよね。現にステラは「天使」と呼び、それを感じ取っていた様にも思えます。"間宮心像の作品"であると云う前提意識が働いている者にとっては堕天使みたいな恐怖心等を感じても無理もない。けれど、視る目がある者もしくは、"間宮心像の作品"でないと解っている者からすれば、恐怖等ではない温かさや美しさを感じ取る事ができるんだと思います。
 静は偏執の果てに死体から像を作りますが、これらもどこか芸術作品としての美しさを纏っていた気がします。彼女は「天罰が贋作であるならば、像も贋作であるべき」と理解し難い供述をし、殺人の罪を犯してしまいますが、それ自体とは別に、彼女の一芸術家としての意地というか執念みたいなものを「天罰」と像から感じられた事は間違いありません
 間宮心像による「殻の少女」もそうでしたが、やはり天才と狂気は紙一重であると感じると共に、「殻の少女」よりは希望を感じる、姉妹共同作にもなり得たかもしれないなというifを想像させる作品でした。

 次に、贋作について。作中では、間宮心像の"贋作"という感じで、あまり良いイメージではこの言葉は扱われず、前園静の中でも、贋作=「私の絵ではない」=「魂が感じられない」とマイナスイメージを持っていたと思います。ただ、贋作作成への執念というか、こだわりみたいなモノはどんどん強くなっていた訳で、腕も上がっていき、行き着いた果てが""最も真作に近い贋作""というもの。ここまで行くと、やっぱり贋作もある種のアートだと感じざるを得ません。その完成の為に自殺を試みた彼女ですが、やっぱりそれ以前の「天罰」という作品時点で完成していたと思います。彼女が贋作にこだわる余りに歪んでしまい、そう思えなかっただけで。
 だって、真作あっての贋作ですから。「天罰」は複製もなく唯一つ。仮に作品が偽物だと言われても、それから影響を受けた人や、描いた本人にとっては本物になる事がある訳です。また、意図しない処で偽物から生まれた感情や事象は揺るがなく事実であり、本物だと思うんです。

 彼女を擁護する訳では決してないけれど、少なくとも「天罰」と云う作品は、前園姉妹の腕による作品であり、六識やステラにも何かしら影響を与えた、魂の込められた作品であったと思います。因みに、前園静は六識命の芸術家ver.みたいな人だよなと自分の中では落ち着いています(笑)



3.好きなエンディングについて

 今作はBADEND含め14個のエンディングパターンがありました。ただ、『殻ノ少女』や『虚ノ少女』よりもBAD ENDらしさが色濃くて分岐感は薄味だったなと感じてます。なので、『天ノ少女』の好きなエンディングはもう必然的かなと思います(笑)

 一つ目は「Grand END」六識命に銃弾を放ったシーン、エピローグでの魚住と杏子の結婚式、そこでキャラが全員きちっとした服装で集合するのが好きです。
 まず六識との決着のシーンなんですけど、初めての時、何か自分でもよくわからず泣けてしまったんですよね。散々化け物呼ばわりしてきた彼の最期で、"本望です"と満足そうに言った彼に同情?してしまったのか、それともあの時は引けなかった引き金を引いた玲人に同情したのか、本当に自分でも感情がよくわからなかったです。長く続いた2人の偏執を巡る関係があの瞬間に途切れて終わりを迎え、解放された事に安堵感だったり、喜びや哀しみなどの複雑な感情を覚えたのかもしれないです。呆気なくも強烈でした。
 結婚式については、2人が結ばれる事は前から願っていたし(玲人×杏子も勿論好きだけど、結ばれるならとっくに結ばれてると思う派です)、魚住に関しては『虚ノ少女』で活躍0だったので、今作の復帰の流れからしても綺麗だったなと思います。杏子さんは花嫁姿が本当に綺麗で…嬉しかったです。幸せのお裾分けというか、幸福感に包まれるのやっぱ好きだわ。雪子も元気そうで、このタイミングでの再会は素晴らしかったですね。あと、紫ちゃんの最後のモノローグが好きで、今作最大のメッセージだと受け取っているので、ここに書き残しておきます。私"たち"が好き。

――他にも、この場に居て欲しい人たちがいた。
でもそれは叶わない。
かつて月世界に集った友人たち――
彼女たちの分も、私たちは生きていく。


 二つ目は「True END」これはもう言わずもがなですね。1章にも書いたので、程ほどに書きます(笑) 初回は声が聴こえ、ムービーが流れた瞬間からもうヤバかったです…ドキドキと困惑とで。そっから「ルリノトリ」が流れてこの辺から涙腺に来てた気がします、絵も凄い綺麗で…。んで、回想で冬子のCGでもうダメで、『瑠璃ノ鳥』まで流れて、エンドロールの間はずっとガン泣きしてました。『虚ノ少女』とは違う"泣き"ですよね。完全に感動の"泣き"。作品そのものや冬子に対しての想い入れみたいなモノが、いつ間にか自分の中でこんなにも強く膨らんでいたんだと涙と共に実感する事ができました。
 ここで”良かったなぁ”っていう満足感だけでなく、"終わっちゃったなぁ"っていう虚無感も感じる事ができたのが本当に良かった。画面の前から動けずです。この手の感動は自分の中では最高ランクの感動なんですよね。作品世界に気持ちが完全に入り込んでる時にだけ起こると言いますか。自分がどれだけ熱中していたか、どれだけ自分の一部になっていたかで、内容も勿論だけど、それと同等もしくはそれ以上に“重ねてきた時間”も込みで感動体験に繋がってくるパターンです。自分はリアタイで今シリーズを追いかける事はできなかったけれども、この約1ヶ月半熱中して到達できた感動体験には本当に感謝しかありません。



4.キャラクターへの印象について

 感謝の気持ちも込めてキャラクター達への印象とかメッセージみたいなモノを軽く一言ずつ書いて行ければと思います。シリーズ通してみて感想書きたいなと思ったキャラを独断と偏見で選びました、ご了承を。因みに、この章を書く事にしたのは、監督である杉菜水姫さんの制作コメントがキッカケでもあります。

この物語りは、
誰のためでもなく、キャラクターたちの事を一番に考えて創りました。

 キャラあっての物語だと思ってるので、このコメントは信頼しかないですね。では、テンポよく書いていきたいなと思います。


・時坂 玲人
 貴方が主人公で本当に良かったです。どうか貴方が救われます様にとずっと祈りながら、この物語を読み進めていたので、ラストの結末には「良かったな玲人」と心の底から思いました。強さ故の脆さを持ってる処が堪らなく好きです。少年の心を忘れていない処も(笑)

・時坂 紫
 いつも家に帰ると必ず「お帰りなさい」と迎えてくれたりと、玲人を一番に支えてくれていたのは貴女だと思います。何度も心温められ、安心する事ができました。行動力もあるし、決してブレる事のない芯の強い素敵な女性だなと云う印象は最後まで決して崩れませんでした。

・真崎 智之
 『
虚ノ少女』ではキーマンとして、『天ノ少女』では探偵として活躍しましたね。彼なりの贖罪だったのかなとも。事件の核心に迫った「これ、誰ですか?」はマジで鳥肌でした。天然より、ツッコミ役として目立っていた気がします(笑) 紫ちゃんの事もだけど、冬見達の事も頼みますよ、本当に。

・佐東 歩
 
成長を一番感じたのは貴女かもしれないです。どこかパッとしない印象だったのに、すっかり立派な警察官になって親の気分というか…嬉しくて泣きそうでした。鍛錬を怠らない真面目な性格なのに抜けてるトコがあるのも可愛かったです。佐東さんなら玲人の助手になれるよ、必ず。

・四十宮 綴子
 『
殻ノ少女』で紫ちゃんの親友として一緒に和む雰囲気を作ってくれて、いつも明るくて健気で、大人への憧れみたいなモノを強く持って行動してる処も素敵でした。本当にありがとうな。

・朽木 千鶴
 
ずっと兄だけを想い続けている姿が印象的で、献身的な姿勢自体は女性としても素敵だったと思います。ただ、中身が薄いと云うか、文哉あっての千鶴といった感じで掴み所が無いのが少し怖かった。歪んでる自分への嫌悪感みたいなモノは貴女自身が一番実感していそうですが。

・朽木 文哉
 救い様のない感じで終わってしまって、一番残念?な人でした。夢途絶えてしまってからも、どこかで彼は夢を追っていたのでしょうか…。周りの環境に大きく影響を受けてしまった部分もあるのかな…。普段は穏やかだからこそ、内面のヤバさが際立っていたと思います。

・六識 命
 
貴方程狂ってるのが正常な魅力溢れる悪役は初めてでした。物語の中心人物として多くの人を狂わせた化け物である事に変わりはないけれど、人間らしい表情を魅せた最期の瞬間、何故か少し同情?してしまった様な自分がいます。嬉しい様な悔しい様な…くそぅ…。

・葛城 シン
 罪の大きさは計り知れないし、決して許される事ではないけれど、今でも貴方が冬子と暮らした日々の事や、まともな人生を送れていたら…という事を想像してしまいます。どのような最期を迎えたのか分からないけれど、貴方が生きた証は良くも悪くもしっかり残っていますよ。

・黒矢 尚織
 幼い時はリーダー的存在として牽引力あるいい子だなと云う印象と、大人になっての再会後はどこか悟った感じが印象的でした。ずっと内に秘めてたモノが爆発してるけど、他人には見せない様にしてる。その自覚もあるから多くを語らない。単純に、もっと知りたかったです。「エデンの少女」に貴方を重ねた時、切なくなった自分がいました…。

・沢城 菜々子
 運が悪かったと云うか…もっと早くに何かが変わっていれば…と思ってしまう1人。でも、自分を棄て切らず、彼女なりに救いを追い求めたんだと分かったのは良かったです。貴女が望んだお蔭で奪われた命もあるけれど、救われた命もありました。

・二見 憂
 あまりに不憫で本人には申し訳ないけど、可哀想な子でした。家業も継いで、皆がいつでも帰って来れる様にと、ある意味最後まで守って待ち続けてる立場なのにも関わらず、こうまで報われない様な結果になると流石に胸に来るものがありました。あんな皆仲良かったのにな…って。二見さんに幸あれ。

・葉月 杏子
 
誰に対しても優しくて、すぐ気に掛けてくれて、自分よりも他人の幸せを第一に望んでしまう様な人でした。相手に合わせすぎて、抑え込んでる節が目立つ時もあったけど、もう大丈夫だろうと安心しています。カウンターに立つ姿も、花嫁姿も、本当に素敵でした。

・魚住 夾三
 
良かったな、魚住。杏子さんを幸せにするのは勿論だけど、幸せになるんだぞ…。当たりも力も強いけど、恋愛メンタルが弱々しくて良い所持ってくなといつも思ってました(笑) 玲人との、"お前と俺の仲だろ!感”が凄い好きでした。これからも3人で偶には飲み交わしたりしてくださいな。

・蒼木 冬史
 『虚ノ少女』からの登場でしたが、もう一目惚れと云うか、好きです。ミステリアスで強くてカッコよくて、冷静な佇まいも素敵で…。どこか達観してる感じなのに、味噌の事になると子供みたいになるギャップは反則かと(笑) 『カルタグラHD』でまた逢える事を楽しみにしております。

・八木沼 了一
 生きてくれて良かったよ…マジで。男性陣だと貴方が一番好きでした。あらゆる感情を糧に、一縷の望みに賭けて、重責を背負い捧げてきた月日と努力の重さは貴方だけのものです。推し量る事すら烏滸がましいと云うか…そのくらいの凄い生き様を想像させ魅せてくれました。嫌味な感じが少し丸くなって、不貞腐れながらも協力してくれる処が好きです(笑)

・高城 夏目
 夏目さんも好きなんよな…。笑顔がむっちゃ可愛いし、京都弁なのか解らん独自の言葉達も魅力的で、良い意味で粘着質な感じもエッチで良かったです。ふざけてる時もあるけど、それは腕は確かであるからの余裕でもあり、最後まで信頼できる人だったと思います。

・高城 秋五
 『殻ノ少女』と『虚ノ少女』のボイスドラマでお世話になりました。見た目や雰囲気よりも実はしっかり者で肝が据わってる感じが好きでした。カルタグラHDで逢えるの楽しみしてます。和菜さんとお幸せに!

・雨宮 初音
 『殻ノ少女』の月世界では杏子さんと共に心を癒してくれました。ドジっ子頑張り屋さんって感じがやっぱり可愛かったです、気にしてるみたいだけど、その放っておけない感じは女性として武器だと思うのでそのままで(笑)

・山ノ内 小春
 『
天ノ少女』でむっちゃ可愛くなりましたよね、何かありました⁈(笑) 美人で何時も凛々しくて、玲人にも厳しくいく処が素敵でした。親切に、親身になって協力してくださってありがとうございました。未散ちゃんに何かあると光の速さで駆け付けてくれる、面倒見の良さも好きです。

・マリス・ステラ
 『虚ノ少女』からずっとフワフワしてるのかしっかりしてるのか曖昧な子だったけど、無邪気と云うか、ありのままの感じが凄い貴重な存在で救われた処は結構ある。本人は至って真面目なんだろうけど、偶にする変な返答が好きでした。Grand END.玲人への「関係の清算?」とかも(笑)

・茅原 冬見
 色々あったし全て善しとする事はできないけれども、本当によく頑張ったと思う、一番褒めてあげたいのは貴女かもしれないです。どんな境遇でも、どんな人とでも、その負けん気の強さがあれば全部乗り越えていくんだろうなと思います。家族仲良くお幸せにお過ごしください!

・茅原 雪子
 出逢った時から印象がどんどん変わっていって、最終的には1人の女性として好きになる事ができました。これが私だと言える向き合い方を身に着けた貴女ならもう大丈夫だと思います。『天ノ少女』で笑顔を魅せてくれた事が本当に嬉しかったです。

・白崎 未散
 きっと辛い想いをしただろうに、そんな部分を表には出さない強い子だなと思います。言葉の選び方も秀逸で、考えていない様で実は頭良いんだろうなぁと(笑) 何時でも楽しく過ごそうとする姿勢が好きでした。

・親父(荒田 大作)
 結局、貴方が誰なのか最後まで分からずじまいでしたが、いつの間にか憩いの場みたいになってました。寂しいんだろうなぁ…っていうのも毎度伝わってきたし(笑) またどこかで絶対に逢える気がしています。

・朽木 冬子
 時間が経てば経つほど何故か冬子への想いは膨らんでいきました。自分の嫌いな処、過ちや失敗は覆い隠したくなるのが人間だけれど、冬子はそれら含めて"本当の自分"として向き合い、自由を手にしましたね。玲人は無事救われましたよ。冬子が生き続けようとしてくれたお蔭です、ありがとう。

 

 以上、26人分です。本当に敵味方関係なく魅力的なキャラクターばかりだったと思います。大事な場面では感情移入できる部分も多かったし、日常的な場面での会話も和やかで楽しくて好きでした。描かれなかった部分を想像したくなる、想像できてしまう感じこそが、心を惹き付ける人としての深みなんだと思います。あなた達との時間を過ごせて本当に良かったです、ありがとうございました。



 ※ここから短編小説やオリジナルドラマCDの感想書いていくのですが、上記の4章まではこれらを読む前に書いたものです。なので、これから書く短編小説の感想との齟齬等出てくるかもしれませんが、敢えて両方残しておくことにしております。ご了承ください。


5.短編小説「彼女と手紙」について

 今回購入した製品版に同梱の短編小説「彼女と手紙」についての感想とかを書いていきます。

 約50ページに渡る物語で、時系列的にはTRUE ENDラストよりは前ですね(まだ色羽が玲人に逢っていない)色羽と春花と和の視点が変わりながら、櫻羽女学院2年生としての日々が始まってからを描いたものでした。そこで、序盤色羽の元に一通の手紙が届き、事件を解決してめでたしめでたしって感じでしたね。八木沼や秋五さん、和菜さんも登場して、その辺も嬉しかったです。

 まず、和は最初誰だ?って思ったけど、味噌のくだりとお父さんに調べるの頼んだ処で秋五さんの娘じゃないかと気づきました。「殻ノ少女」ぶりですね。でも、名前からもっと早くに気付けた人もいそう。あと、何度もあった素っ頓狂な声、というよりテンション感が和菜さんそっくりなんだろうなぁと思ってます笑 色羽に対しての好意はどこか水原透子を思わせるモノが無くはなかったですが、親との関係がしっかりできているし、絶対大丈夫でしょう。それよりも、色羽ちゃん達と同い年なの嬉しいわ。ここでも巡る事を実感しました。

 春花と色羽に関しては、幼馴染としてあの事件以降も仲は強まる一方だったみたいで嬉しかった。未だに"ちゃん付け”で呼ぶ合う事に違和感みたいなモノは感じ始める様にはなったけれども、そう簡単に変えれないのが2人の関係の強度と云うか、それが自然であるが故に構築された関係値そのもので良いですよね。ちっちゃい手紙のやり取りとかも。
 春花は引っ込み思案だった気がするけど、幼かった時よりも更に積極的になったなと。あと映像記憶能力は静譲りのものでしょうかね。まだ静と出逢えていないけど、戸籍謄本の件で事実を知り出逢える日ももしかしたら近い事を思わせてくれました。
 色羽の喋り方は所々で冬子っぽいのも良かったです。〜なのかい?~だろう。みたいな処。あと絵はあんまし得意じゃないみたい(笑) あの事件以来、探偵への憧れは消えずにずっと自分を助けてくれた人の事が気になっていた描写もやっぱりあって嬉しかった。

 八木沼はまだ二課の窓際なんですね、でも元気そうで何よりです。それに尽きます。大した事のない事件でしたが、今でも警察と探偵の繋がりが残ったままだと云う事を感じられたのは良かった。秋五さんも探偵業続けてる様で、年頃の娘との関係に一喜一憂な感じはしましたが、微笑ましい限りです。和菜さんも「殻ノ少女」以来でしたが、今でも素敵な和装姿が似合っている事でしょう。

 然程、驚く様な新情報はなかったけれども、物語の隙間を丁寧に埋めてくれた感じがあって単純に嬉しかったですね。やはり物語の中で生きている事を実感できるのは、物語を嗜む者としては最大の幸福だと思うのよ。



6.短編小説「彼女からの手紙」について

 天ノ少女 オリジナルサウンドトラック『Caelum』に付属していた短編小説「彼女からの手紙」についての感想とかを書いていきます。

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 サイズが正方形っぽい感じで文字も小さめ、面白いサイズ感でした。約50ページに渡る物語で、時系列的には丁度TRUE END後。「捜して欲しいんだ――私を。本当の、ね」の続きです。色羽は玲人に逢いに行って依頼したものの受けてはくれず、それ込みの悩みと葛藤しながら、春花や和にも共有していく流れでした。最終的には春休みを利用して、3人は和の実家に泊まりに行き、秋五にも相談して…。色羽は自分なりの答えを見つけ、それを玲人宛の手紙を書き幕を閉じました。

 まず、思い悩む色羽を気遣ったのでしょう。春花が月世界へ色羽を連れていくのは、巡り合わせと云うか、もう櫻羽女学院に入学した瞬間に決められた因果なのか分からないけれど、そういうモノを感じてしまいました。杏子さんがやっぱりいる訳で、本人も色羽を見て冬子だと錯覚したはずで、もしかしたら…と絶対気付いた事でしょう。

 春休みを利用して、和が2人を実家に招き入れた結果、秋五も色羽を見て冬子と玲人の娘かも?と気付いたはずです。彼女の話を聞いて、依頼を断った探偵は玲人だと確信したはずです。でも、そこで尤もらしい理由と例え話を伝えたのは流石秋五さんだなと思いました。今すぐ決める事ではない。と優しく促してくれる辺りも良かったですね。

 色羽は戸籍謄本から真実を知ってモヤモヤはしながらも、そのモヤモヤはちゃんと育ててくれた両親からの愛を実感し、感謝しているからこそのモノであったのがよく伝わってきました。両親を傷つけてしまうかもしれない…実の親ではないけど気恥ずかしくなる瞬間もある。そんな心理描写が多々ありました。だからこそ、彼女が出した結論は、両親から真実を教えてくれる事を待つ。というものでした。この自身の答えと、両親への感謝の気持ちを言葉で伝えた処、これらは冬子との大きな違いとも言えると思いました。

 そして、その答えと今の素直な気持ちを玲人に伝える為に、手紙を書きます。ここで、時坂という事しか知らず、救われた時の事から、"れいじ"と呼ばれている事を想い出して、宛先に時坂"れいじ"様と書いてあるの凄い良かったです。なんだろうな、自力感と云うか、健気な感じ?が好き。やっぱそれだけあの日の事を強く覚えている事に感動を覚えてしまいますね、彼女は玲人だけでなく、その時の警察や医者にも感謝の気持ちを伝えたいと書いていました。

 手紙の内容がそのまま最後に記され、この小説は終わってしまいましたが、清々しいこの作品らしい読後感を味わう事ができました。この手紙を手にした玲人の気持ちの想像は今もまだ尽きません。



7.ドラマCD「冬の終わりに」について

 今回購入した製品版に同梱のオリジナルドラマCD「冬の終わりに」についての感想とかを書いていきます。

 内容としては、冬子が死ぬ直前、走馬灯を見るという流れで、過去回想がメインとなります。合計で47分06秒。記憶の有り無しを切り分ける為でしょう、"想像に過ぎない"と云う言葉が入った上で、その記憶を失うまでの出来事も描かれました。これらは新情報も多く、美沙と冬子の会話が声で聞けて良かったです。そして、ラストはまさかの…ですよ。本編TRUEラストに冬子からの想いを付加させた素晴らしいものでした。

 まずは、冬子の母である中原美沙の話。寒い季節でも温かくなる様な優しい子に育って欲しい…そう想いを込められて冬子と名付けられました。兄である六識からの逃亡は小説「先生と私」で判明していたけど、その直接的な原因。美砂が身籠ったと云う事で六識が嘆き狂った事に恐怖を覚えたと云うのは新情報だった気がします。でも、美砂が六識に襲われたのに、彼は無精子症だと言っていた。他の男と関係は持っていないので、真実は分からないまま…だそうです。でも、六識が美砂を穢した事は紛れもない真実ですね。

 幼い冬子は泣き虫で、美砂は日曜日しか帰ってこないので、ステラが面倒を見てくれていた。冬子の"お母さん"と呼ぶ声が新鮮で良かったわ。ただ、こっから美砂は間宮心像のアトリエで仕事をする事になり…昭和19年の夏帰って来なくなってしまう。

 こっからの転機として、朽木千鶴が療養と称して冬子に逢いにくる。養子となった冬子は朽木家で暮らす事になるが、ここで事件が起こってしまったんですね。これが衝撃だった。
 千鶴はずっと兄と子を一緒に育てる事自体は夢であり、幸せではあった。日常描写からも朽木兄妹に優しく育てられた事はそれとなく感じられました。ただ、それと同時に、千鶴の心の中では自分よりも兄の方に懐いてる冬子に嫉妬。ずっとその想いを引き摺ったままの環境に慣れる事はなく、冬子が椅子から転げ落ちる事故が起きた時、千鶴は救いの手をすぐに差し伸べられなかった。ただ黙って血液を眺めているだけ。もう千鶴はこの時点でヤバかったんだなと…。嫉妬ってレベルじゃないです。母親の資質が欠けていたとも言っていたけれど、それ以前の問題だなと思います。

 これで外傷性健忘と云う記憶喪失の様な病気になってしまった冬子。千鶴はこれを良い事に冬子に事故以前や当時の真実を伝えず、自分が母だと云う事のみを伝えた。ここから始められると自分を正当化し、罪悪感も消えると思っていた彼女のヤバさが窺えて恐怖です、本当に。贖罪の気持ちはわかるけれども、それは真実を無かった事にするのとは違う訳で、ここで向き合い方を改めていれば何か変わったかもしれないのにと思います。

 冬子の外傷性健忘については、このドラマCDの回想からしても、記憶を喪っている訳ではなく、忘れているだけだと信じたくなるなぁと思いましたね。そのまま彼女は育ち、絵を描くのが好きで美術部があるからという理由で櫻羽女学院に入学。こっから戸籍謄本取得や紫との出逢いで、違和感の正体が分かった事や、玲人に逢うまで時間はあんまし掛からなかった事がハッキリしました。

 昭和31年3月4日の日曜日。時坂さんの家からの尾行…。「まるで尾行だ」じゃないよ、もうこの流れが色羽と一緒じゃないかと!いや、冬子が先なんだけど!(笑) 言葉も行動も全くと言っていい程同じで…。「ルリノトリ」も流れるし、ズルいよなぁ、ホント。
 そんで最後のトラックでの冬子の言葉は本当に良かった。

何か掴んでいたのだろうか…。
だとしたら、それを憶えていて欲しい。
私が存在した証として。
あぁ…でも、もしかしたらまた逢えるかもしれないね。
また違った形で。
生まれ変わりなんて信じちゃいないけれど、何となく…そんな感じはするんだ。
だから、時坂さん…私はこう言うよ。
「捜して欲しいんだ――私を。本当の、ね」

 冬子から、「天国から生まれ変わったんだよ(ここにいるよ)」とも取れるし、仮にそうじゃなかったとしても、「天国からこの言葉を送るよ(天国から見ているよ)」とも取れる。なので、TRUEでの「捜して欲しいんだ――私を。本当の、ね」には、冬子と色羽2人からの言葉だった事がここで明らかになって、もう感動してしまった。
 ここで加えてなんですが、『天ノ少女』のキャラ別音声設定のボイステスト内容がTREU後仕様になっている事も踏まえると、益々感動できると思います。あの仕様はズルイよ、本当に。全キャラ必聴ですが、中でも"他"はびっくりしたので、もしまだ聴いていない方いれば、今すぐ聴きにいって欲しいです。



8.さいごに

 まとめになります。

 シリーズ3作目にして完結作。想像以上の感動で、本当に感謝の気持ちで一杯です。
 単体としてみると、『虚ノ少女』が一番完成度高く気に入っているのですが、『殻ノ少女』にはテンポの良さと没入感は目を見張るモノがありましたし、『天ノ少女』にはTRUEの言葉では言い表せない程の感動を味わう事ができた様に、どの作品も其々良さがあったと思います。
 演出周りも段々クオリティアップされ、特にムービーっぽくなるのはかなり好きでした。イラストの雰囲気も大分変わって、絵のタッチも塗りもどこか淡い感じで柔らかさが増したし、質感を意識したアナログ感が素敵だなと思いました。味が出るというか。以前のも十分好きだったけど、個人的には『天ノ少女』のが一番好きです。
 音楽はジャズっぽさが強く出て、普段の日常でも聴きやすい楽曲が増えたなと云う印象でした。不穏さと好奇心を表現して魅せた「Reasoning Ⅲ[arrange ver.2]」、突然の緊迫感を強く出した「Tension Ⅱ」、隠された悲しげな内面を感じる「エデンの少女」、TRUE後のタイトル画面で浄化された「クオンノマユ」、印象がクリア前後で変わった「擬翼の偶像」、変化を遂げた「瑠璃ノ鳥」辺りが特に気に入っています。


 シナリオは完結作として、これまで各々が抱えてきた偏執(パラノイア)との決着、雁字搦めになる程に膨らんだそれをどうすれば綺麗に解く事ができるのか…。必死になって向き合い続ける登場人物達に何度も何度も心を強く打たれました。玲人も良かったけど、八木沼も良かったなと。
 最終メッセージとして、遺された者達が出来る事は突き詰めれば生きる事だと云うのも受け取りました。Grand ENDでの紫ちゃんのモノローグや、玲人の言葉からもそれは強く感じられました。人の背景を蔑ろにすることはできない。目を背けたくなる様な現実でも、苦く辛い想いがあっても、無くなる事は決して無いし、無い事にしてはならない。死は過去のモノにしかならず、生は未来のモノになるのだから。人物それぞれの深い描きと、厚みのある物語構造でこれらには物凄い説得力があったと思う。
 現実問題として「~の為に生きなければ」とかを分かってはいても、思うように生きられない時期があるし、ずっと抱えてる人達もいるかもしれない。自分との向き合い方だったり、過去の清算だったり、簡単にはできない訳で。その手助けをしてくれる様な、背中を押してくれる様な作品だったと思います。生きてさえいれば、どこかで巡ってくる瞬間が必ずやってくる。その中に幸せを感じる瞬間だってあるはずだからと。
 TRUE ENDの感動も勿論ですが、その感動まで歩んできた物語全てを忘れる事なく生きていきたいなと思います。というか、忘れられない想い出になりました、間違いなく。春の桜を見る度に、冬子の事を、この作品の事を想い出すと思うもの。


 ということで、かなり長々と書いてしまいました。綺麗にまとめられているか自信はないのだけれど、出逢えて良かったと云う感謝と、大好きだという想いを察して頂ければ幸いです。改めて制作に関わったイノグレの皆さん、ありがとうございました。お蔭でずっと自分の中に残しておきたい、素敵な作品がまた1つ増えました。今後他作品にも触れてみたいと思いましたし、『カルタグラHD』は楽しみにしています。本当にありがとうございました!

 ではまた!



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