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みんなできるのに、できないこと


先日、ボーカルレッスンにて
とある課題曲を歌ってくれた方がいるんです。

その曲は、前々から
歌ってみたいと思っていたけれど
なかなかGOサインを出せずに
あたためていた曲で。

遂に、先日歌ってみるのだと
気持ちが決まって
歌うことになった、という訳なんです。

そして、歌い始めてみて
やはり高音が取りにくかったり
歌いながら、ご自身でも
どこかぎこちなさを感じているようだったり…

そんな時、大抵は
キーを下げるということはやると思うんですけど

意外や意外、
あんまりみんなここに着目しない…


それはですね

テンポをゆっくりにする、ということ。


たったそれだけで。

はい、解決!っていうことが
結構あるんですよ。

ゆっくり、丁寧に。

気持ちを込めて。  


これだけで
グンと歌に宿るものが変わるんです。


実際、ただテンポをゆっくりしただけなのに
まるで違う曲を歌っているかのような扱い方と、
本来の持ち前発揮で歌うことができました。

そう。本来の自分を発揮できるんです。

歌に合わせて、引きずられて
メタメタになっちゃって
自分がヒイコラ言わされてしまうくらいなら

歌のほうを、自分に合わせてあげてほしいんです。

だって、課題曲を引っ提げて
何かのコンクールに出るんだとか
誰かに評価してもらうって訳ではないはず。

どうして、自分が歌に
合わせなくちゃいけないだなんて
当たり前のように思い込んじゃったんでしょう。
 
歌っている事自体の喜びではなくて
歌を思い通りに歌えたら喜べるという
基準が標準となってしまうだなんて。




慌てて、作業的にこなすような
歌になってしまうことの原因の一つは

テンポが速いから、細部まで捉えきれていないのに
出たとこ勝負でなんとなくこなして

何となくできたっぽい、という仕上がりに
甘んじてしまうというところにあります。

言い方厳しくすると
雑でも数撃ちゃ当たる的なスタンスで。


「これは、できない。」

と思ったのならば、
それは細分化していくと

「これはできる」
「これはできない」
「ここが嫌い」
「ここは好き」

なんてね、いろいろとあるはずなんです。
ぜーんぶできないわけじゃなくて。

だけど、
なんかしっくりこないから

大まかに、全体的になんとなく
できていないように感じて

「できない!」

という烙印を押すわけですよね。

しかも、それが
「この曲はできない」

という烙印であるならば、まだしも

「わたしは、歌うことができない」

なんて、存在そのものへ
「できない」という烙印をバコーンと押してしまったり。


いやいやいや、
できているところや
いい味出しているところたくさんあるのに!

もったいない!


できない!って思っている時は
自分がやりやすいテンポまで 
グンと遅くしてみて、

ゆっくり丁寧に 慌てずに心を込めてみると
「なんだ、できるじゃん」
ということになりますから。

なるなる。なります!
なってた、みんな。実際。
年齢は関係なく。


速いテンポ歌える!
高いキーも歌える!
採点も高く歌えるから上手い!

って…
そんな

早い!安い!美味い!的なことを
歌でやる必要ないし
そんなもの目指さなくて良いんです。

自分だけの歌、
ほんとうに一致して伝えたときの歌は
感動があります。

ゆっくり、丁寧に、美味しさを感じて
味わって、歌えた納得感や充実感

それらを感じられるテンポやキーで
歌うことに慣れてきたのなら
少しずつ理想のそれらにしていけばいい。

できない=できないことをやっている。

そんな、イコールとか用いらずとも
言ってること
当たり前すぎる事なんですけどね、

できない時っていうのは
できないのとをやっている時、っていうこと。

絶対に思い違いしてほしくないのは
「自分はできない存在」という
レッテルを貼ってしまうことですよね。






でも、できないことを何回もやって
できるようになりたいっていう
思いがあることもわかります。

何回もやっていればできる、とか
コツさえ掴めばできる、とか。

だけど、確実にできることをやる。

そして、その確実にできることを少しずつ
やりたいのにまだできないことに近づけていく。

あれ、できそうかも…と
思えるくらいの濃度で
少しずつ難易度を上げたことを
織り交ぜていく。

脳が、失敗を恐れる反応を
見せさそうな感じの
チャレンジをしていく。


やる前から
無理そうだわぁっていうことをやって
乗り越えられる人もいるけれど

そういうメンタルを構築してから
物事にチャレンジしようだなんて
そんな修行のようなことしなくていいと思います。

ちょっと難しいけど
これならできそう、ということをやる。
それこそ、何回かやっていたらできるから。

そうやって、できるようになったら
またちょっとだけ難易度を上げていく。

ポイントは「ちょっとだけ」です。
「これならできそう」なくらいの。

これを繰り返していけば
気が付いたらきるようになっていた、って。

その瞬間は必ず訪れます。 

必ずです。

 






できないからって
自分が「できない」存在じゃない。

ただ単に「できる」ことをやっていないだけ。

みんな、「できる」存在です。
必ず。


あなたが
もしもできないことがあるのなら

あなたにはできる力があるのに
できないことをやっているだけ。

まず、そのことを
思い出してみてほしいです。


そして、案外がんばってがんばって
歌っている時よりも、ずーっと 

開き直って身を任せて 
うたごころがどうにかしてくれる、って
お気楽極楽な心持ちで

流れのままに歌うことで
「あれ?できちゃってた」
ってことは、多かったりするんですよね。


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