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イーサリアムがPoSに移行したら起こる事。イーサリアムマイナーへの影響

イーサリアムマイニングはPoS移行がいつになるのかが全ての鍵を握っています。イーサリアムがPoS(ETH2.0)に移行したらどうなるのか、改めておさらいしてみましょう。

イーサリアム以外のコインへのマイニングの集中

イーサリアムがマイニング出来なくなる、厳密にはマイニングできるが報酬が著しく下がる、マイニングする意味がない(電気代をペイ出来ない報酬)ほどまでに下がるため、イーサリアム以外のコインのマイニングを皆が開始します。殆どはイーサリアムクラシックに流れるでしょう。

詳細はこちらの記事をどうぞ。

マイニング主力GPUの世代交代

イーサリアムがPoSに移行した際に現行のハッシュレートのおそらく半数を占める、現在のイーサリアムマイニングの主力GPU、AMD Radeon RX470, RX480, RX570, RX580はETC(イーサリアムクラシック)のマイニングに移るでしょう。

しかし、そうするとETCのネットワークハッシュレートは10倍以上になるため、報酬が10分の1以下になると思います。そうなるとどの国でも赤字になるので、Radeon RX 470-580のPoralis世代はここで引退確定となり、余生をゲーミンググラボとして過ごすことになるでしょう。もしくは、国によっては産業廃棄物として破棄されるだけかも知れません。

Radeon RX470-580を今買うのは絶対におすすめしません!!

最新世代GPUが台頭するも、報酬は10分の1になり、国によっては赤字域に

NVIDIA GeForce RTX 3000番台、もしくはAMD Radeon 5000番台や6000番台、特にワッパが最強のRTX3070ならマイニングが継続できるかというと、それもまた怪しいものがあります。

マイニングに使われているGPUの半数を占めるNVIDIA製GPUのうちすでに35%は3000番台です。ワッパ最高と言われている3070, 3060tiだけでも27%に達します。

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引用元: https://hiveos.farm/statistics/

イーサリアムの現状のネットワークハッシュレート600テラハッシュ前後、このうち楽観的に見積もると300テラハッシュぐらいがRadeon RX 470-580世代です。これらはイーサリアムがPoS移行すれば強制退場します。

そうすると残り300テラハッシュのうちワットパフォーマンスが著しく悪いのは1000番台の20%程度で、これらも強制退場です。2000番台以降が240テラハッシュほどかなと思います。(楽観的に見積もって)

現在のETC(イーサリアムクラシック)のネットワークハッシュレートは21.12TH/sなので、これが一気に10倍以上の260TH/sになることが想定されます。つまり報酬は10分の1まで下がります。

想定収益: RTX 3070でETCマイニング 2021年9月4日
日次売上: $3.42
日時原価: $0.62
日次収益: $2.80
※電気代は1kwhあたり$0.2(21円)で想定

想定収益: RTX 3070でETCマイニング 202X年
日次売上: $0.34
日時原価: $0.62
日次収益: -$0.3

電気代1kwh21円だとギリギリ赤字ぐらいなので、現在稼働しているファームや個人マイナーが減っていけばギリギリ黒字域になるかも知れません...

ETC以外のコインの台頭

ERGOマイニングがRTX 3070で効率が良いため注目されています。しかし、ERGOマイニングにおいてワットパフォーマンスが著しく良い3070・3060tiだけに限ってもNVIDIA GPUの27%、全体のネットワークハッシュレートの13%以上を少なくても占めていることから、これは60テラハッシュ程を占めるでしょう。

全世界のRTX 3070がERGOマイニングを始めた場合、現在ERGOは27テラハッシュレート(イーサリアム換算だと76テラハッシュレート)であり、イーサリアムをマイニングしている3070/3060tiが全部流れ込めば、ERGO換算で160テラハッシュを超えます。報酬は10分の1ほどにはなりませんが、少なくても半額以下になることが分かります。

想定収益: RTX 3070でERGマイニング 2021年9月4日
日次売上: $4.24
日時原価: $0.62
日次収益: $3.62
※電気代は1kwhあたり$0.2(21円)で想定

想定収益: RTX 3070でERGマイニング 202X年
日次売上: $0.42
日時原価: $0.62
日次収益: -$0.2

ETCでも同様ですが、仮想通貨の価格が数倍に上がってくれていれば黒字域です。現状の価格のままだと日本では赤字域になります。

電気代が高い国のマイナーの撤退

イーサリアムがPoSに移行すれば上述の通り報酬はガッツリ減ります。仮想通貨の価格が上昇しない限りは電気代が1kwhあたり10円以上の国は順次撤退となるでしょう。

日本は電気代が高い国なので、一般家庭マイナーはここで撤退です。

1. 北海道の普通のマイナーが撤退
2. 首都圏含む多くの地域の普通のマイナーが撤退
3. 何か特別な契約、もしくは市場連動型の電力会社と契約を結んでいるマイナーが撤退
4. ソーラーパネルを持っているマイナーの報酬額が売電価格を下回って撤退

この4つのどこのラインで報酬・電気代が均衡するかは今後の仮想通貨(イーサリアム以外)の価格と、他のマイナーの撤退次第です。

いずれにせよ日本、特に北海道や関東は全世界的に見てマイニングに不向きな国なので、今ほど儲かる、投資、というレベルにはならないでしょう。

おわりに

どうにか「ワットパフォーマンスが悪いGPUの引退」ぐらいで収まってくれればRTX 3070、3080番で固めている私としては非常に嬉しいです。

しかし世の中のハッシュレートの3割かそれ以上は既にワットパフォーマンスの良いGPUに世代交代しています。そのため、「ワットパフォーマンスが良いGPUを使っているマイナーのETC、ERGO、RVNなどの別のアルゴリズムへの分散・集結」までは必須になるでしょう。

世界のマイナーがどれぐらい撤退してくれるかに依存しますが、「黒字な限り撤退しない」マイナーが多ければ、「電気代が高い(原価が高い)マイナーの撤退」が引き起こされます。日本のマイナーは辛いですね。

イーサリアムPoS移行後にどうするかを決めた上でGPUを買う、投資額を決めるようにしましょう。

PoS移行時期についても常に情報をチェックしましょう!
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