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マイニング専用GPU NVIDIA CMPシリーズ vs RTX 3090。日本でのマイニングに向いているGPUはどれだ!?

イーサリアムのマイナーの皆さんはおそらくNVIDIAが出したマイニング専用GPU、CMPシリーズについて知りたいのではないでしょうか?

現在、NVIDIAはRTX 3090を除く全てのRTX 3000シリーズにLite Hash Rate(LHR)制限を設け、マイニングに使えないようにし、ゲーマー用のRTX、マイナー用のCMPとユースケースに応じて対応するGPUを分けるよう施策を進めました。そのため、現在販売されている殆どのRTX 3060ti〜RTX3080tiまでのすべてのモデルはマイニングに関してLHR制限がかかっております。また、すでにLHRではないモデル(NonLHRモデル)は現状在庫が尽き次第販売が終了されます。

RTX 4000番台については来年2022年末ごろに販売されると見込んでおり、そちらがLHRになるかどうかは現状不明ですが、ひとまずNVIDIAからは今後はマイニング可能なGPUはCMPシリーズ、もしくはRTX 3090、もしくは旧型番の物かLHRで無理やりマイニングするか、という選択になるでしょう。

CMPシリーズの販売価格を調査したため、以下にまとめます。CMPシリーズは以下のラインナップがあります。

1. CMP 30HX
2. CMP 40HX
3. CMP 50HX
4. CMP 90HX

NonLHRで安定的に入手可能なGPUとしてはRTX 3090のみが上げられるため、記事の後半ではRTX 3090と比較したいと思います。GTX 1660Superもしくは1660Tiと比較しても良いかもしれませんがこちらも値段が高騰してきているため、なんとも比較が難しいところです。

NVIDIA CMPシリーズの概要

Cryptocurrency Mining Processorシリーズ、略してCMPシリーズです。ディスプレイ出力は省略されており、AMD RX570などの「例のグラボ」と言われるグラフィックボード類を彷彿とさせるデザインです。

いくつかの型番があり、30HXから発売が開始されました。30HX の30の部分がイーサリアムのハッシュレートの目安となります。数字が大きくなるにつれてハッシュレートが大きくなります。もちろん価格も高くなります。

第1四半期中には「30HX」と「40HX」の2モデルが投入されました。そして、今の第2四半期として「50HX」と「90HX」が投入されました。その次についてはまだ発売されていません。

NVIDIA CMP 30HXのスペック

メーカーによって差があるかもしれませんが、Gigabyte、Colorfulの2メーカーの製品情報を見るに、おそらく概ね下記のようなスペックだと思われます。コアクロック、メモリクロック、メモリインタフェースなどからGTX 1660 Superよりコアクロックが若干低い、マイニングにおいては1660Super相当といえるグラフィックボードなのではないかと思います。(グラフィックの機能はないためグラフィックボードと呼ぶのは不適切ですが)

ハッシュレート: 26MHs
消費電力: 125W
6GB DDR6, 14Gbps Memory Clock, 192bit memory interface
Core Clock 1710MHz

おそらく1660Super同様、31MHs程度まではオーバークロックにて性能が引き出せるのではないかと思います。

実際、以下のYouTube動画にて31.4MHs 74Wが記録されているのが示されています。T-Rex MinerでNiceHashに接続してマイニング出来ているようです。

CMP 40HXのスペック

40HXは36MH/s 185Wがカタログスペックです。30HXより10MHs増えるだけなのに消費電力がカタログスペック上60W上がりますが、PCIE-8pin補助電源はまだ1つで済むので楽そうです。

Alibabaで40HXで検索してでてきた以下の商品はASUSのロゴがありますし、ディスプレイ出力も付いているので、かなり怪しいので購入しないようにして下さい。でもダンボールにはちゃんと40HXの表記がありますね。笑

いくつかのAlibaba上のセラーに確認しましたが40HXの在庫はないというセラーしかありませんでした。あまり多く製造されなかったのかもしれません。

追記(2021年8月21日): リセラーからASUSから発売された40HXが入荷したとの連絡を貰いました。

CMP 50HX

225Wで45MHsをマイニングします。

ハッシュレート: 45MHs
消費電力: 225W
10GB DDR6, 14Gbps Memory Clock, 320bit memory interface
Core Clock 1350MHz

消費電力の関係上、補助電源はPCIE-8ピンが2個必要になります。

消費電力的にはRTX 3070と同クラスのため、発熱も同等であり、ファンも3つ付いているタイプも販売されているようです。メモリは無駄に10GBも積んでいる...

YouTube上ではさっとレビュー動画を見つけられなかったのでどなたか買ってレビューして下さい笑。Minerstat上でも45MHx 250Wとしか記載がないため、世の中で持っているマイナーはまだ多くないのかもしれません。おそらくオーバークロックで50MHsにはなるのでしょう。消費電力もダウンクロックは可能で最大消費電力が250W名だけだとは思いますが、実際のワットパワーはどんなものでしょうか。

Alibaba上の複数のセラーに確認をしましたが、どこも50HXは在庫があるとの回答でした。

CMP 90HX

90HXのハッシュレートは86MHsで、消費電力は320Wです。消費電力的にはRTX 3070のピーク時と同程度(実際のマイニング時には3070は120Wしか使いませんが)ですが、86MHs出るようです。

以下のGigabyteとタイトルに書いてあるモデルだと250Wが最大消費電力だと書かれているし、箱はASRock 5700XTだし、マイニングハッシュレートのスクリーンショットでは100MHsと表示されています。ワケガワカラナイヨ

90HXの名前の通り、オーバークロックで90MHsはおそらく出るのだと思います。100MHs出るかは不明ですが、タイトルで101MHsとされているのでおそらくRTX 3080ベース、という噂は真実なのだと思います。

セラーいくつかに確認したところ、90HXはまだというセラーもあれば、在庫があるというセラーもありました。本当かどうかはちょっと運試しです笑

techpowerupのGPU DatabaseではNVIDIA CMP 90HXは2021年8月20日時点ではThis product is not released yet.と表示されているため、購入される方は自己責任でどうぞ。

カタログスペックについての所感

ワットパワーパフォーマンスについては正直不鮮明ですが、30HXは1660Superと同等、90HXはRTX 3080と同等と見做して良いのではないかとカタログスペック上は感じます。

90HXはRTX 3000番台と同じAmpere世代なので比較的ワットパワーパフォーマンスは良いのではないかと思います。一方で、50HX以下はTuring世代であり、1つ前の世代であるため、ワッパは少し劣るでしょう。

購入するのであればワッパが1660Superと同等っぽい30HXか、3080と同等の90HXが良いと思います。40HX, 50HXはその2つより少しだけ悪いような、予感がします。(なお40HXはどこでも売り切れていて在庫がない模様)

30HXは単に生産が多いのか、売れ残っているのかは分かりません。90HXと50HXは新発売なので在庫はあるのは当然といえば当然でしょう。(買い占められていない限り)

CMPシリーズの入手可能価格と投資対効果

イーサリアムのGPUマイニングにおいて大事なのは以下の3つだと私は考えています。

1. 初期費用
2. リセールバリュー
3. ワットパワーパフォーマンス

初期費用が低いことが何より重要であり、次点で、イーサリアムのPoS化に備えてリセールバリューがあることだと思います。また、最後に、ワットパワーパフォーマンスも重要であり、ワッパは次のような効果をもたらします。
・イーサリアムのPoS移行に伴う難易度爆弾が投下された後にも継続していくらかイーサリアムマイニングをすることが出来る(消費電力が高いと採掘難易度が上がれば電気代で赤字になりマイニングを止めたほうが良くなるため)
・イーサリアムのPoS移行に伴う難易度爆弾が投下された後にも継続してその他のGPUマイニング主体のPoW通貨(ETCなど)をマイニングすることが出来る
・「利益=報酬-電気代」であるため、ワッパが良いほうが利益が高い

上記に上げた3つの観点それぞれについてみていきます。

3. ワットパワーパフォーマンス

先に書いたとおり、おそらくそれ程CMPシリーズのワッパは悪くありません。NVIDIA GeForce RTX 3060tiや3070、AMD Radeon 6600XTや6800XTには若干劣るかもしれませんが、どれも継続的に戦えるボードだと思います。

逆にGeForce1000番台やAMD RX 470-580世代などは早期に撤退を余儀なくされるでしょう。

2. リセールバリュー

リセールバリューはCMPシリーズは「無い」と思うしかありません。ゲーム用には使えませんし、機械学習などには使えはしますが、イーサリアムマイニングに使うほどの需要はありません。

また、現在GPUマイニングはほとんどがイーサリアムマイニングに用いられており、イーサリアムがPoSに移行した場合、マイニングの継続は日本では不可能と思われるため、やはりリセールバリューはゼロとみたほうが良いでしょう。BTC用のASICの型落ち品と同じような扱いと言わざるを得ません。

※なんでNVIDIAはわざわざCMPシリーズなんて作ったんでしょうか。計画通りに行けば発売後1年以内に産業廃棄物になるというのに。

1. 初期費用

初期費用こそが要です。いえ、本当はゲーム用としても使えるという点でリセールバリューがあることがGPUマイニングの強みなのですが、CMPシリーズはそういう余生はないので、正直ASIC同様、日本の個人的にはおすすめできないと思います。

ただし、マイニングファームをやりたい!イーサリアムのPoS化は来ないはずだ!俺の家の電気代は3円だ!みたいな方はCMPシリーズを購入するのをお勧めします。

なお私も2022年にPoS移行出来るとは正直思っていません。それぐらいに現在のイーサリアムのネットワークを支えているマイナーの数は膨大であり、PoS移行はかなりの戦争になると考えています。

(ここまでの商品リンクをたどれば書いてある内容をまとめただけだよ!)

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