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イーサリアムがPoSになっても他のコインが掘れるから問題ないという「大きな誤解」を徹底解説

イーサリアムマイニング機器のレンタルをうたう企業が多くいますが、多くは詐欺に近いです。金融の投資ではなく機器のレンタルなので法律的にグレーと言うかセーフなゾーンなのでやりたい放題されていますが、基本的にすべて怪しい、虚偽の情報がどこかに混じっています。

その中の一つに、「イーサリアムがマイニングできなくなっても、他の仮想通貨をマイニングすることができるので、継続的に利益が出せる」というデマ・明らかな虚偽の情報があります。

今日はこれについて解説してみたいと思います。

仮想通貨におけるイーサリアムの存在感

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引用元: https://coinmarketcap.com/ja/coins/

イーサリアムの時価総額はビットコインの次に大きく、3位以降の通貨と2桁桁が違います。そしてこの上位12コインのうちグラフィックボードでマイニングすることでペイするコインはイーサリアムからフォークしたイーサリアムクラシック(ETC)しかありません。

基本的にマイニング報酬はその通貨で支払われますし、その報酬はどれぐらい取引があるかによって定まります。イーサリアムでマイニングができなくなったとき、信頼のおける報酬がもらえるコインというのは上位にはETCしかありません。ETCでさえイーサリアムの50分の1の価値しかないのです。

重要なのは「ネットワークハッシュレート」

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引用元: https://www.viabtc.com/?lang=ja_JP

イーサリアムのネットワークハッシュレートは491THです。ETCは19TH。

以下にグラフィックボードで掘れる、現状でプラス収支に日本でなる仮想通貨をリストアップしてみました。

グラボで掘れる通貨一覧

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引用元: WhatToMine RTX 3070 10枚での試算

グラフィックボードに向いた主要な仮想通貨アルゴリズムは以下の5つです。
1. Ethash
2. Autolykos
3. Octopus
4. KawPow
5. Etchash

ただアルゴリズムはこの際おいておいて、見ていただきたいのは「ネットワークハッシュレート」の部分です。

グラフィックボードごとに出せるハッシュレートはアルゴリズムごとに異なるので、例えばNVIDIA RTX 3070はイーサリアム(Ethash)で62MHsが出ますが、Autolykosだと170MHsほどでます。そのため、厳密には今イーサリアムを掘っている人がAutolykosアルゴリズムのコイン(たとえばERG)を掘るとハッシュレートは2倍以上変わるので、ネットワークハッシュレートの値はその差を鑑みないといけません。ただこれはグラボごとに得意なアルゴリズムが異なるので、正直計算が難しいです。そのため厳密な計算はしません。

しなくても、ネットワークハッシュレートの桁の違いを見てもらえれば、イーサリアムがPoSになったあとどうなるかは明瞭です。

全部の仮想通貨のハッシュレートの合算を出したかったのですが、そもそもイーサリアムが「テラハッシュ」なのに対してその1000分の1のギガハッシュ、さらにその1000分の1のメガハッシュ、さらにその1000分の1のキロハッシュが混在しているので、今回は「ギガハッシュ以上」だけ列挙します。

主要な仮想通貨・ネットワークハッシュレート

イーサリアムと同じテラハッシュクラスの通貨・ネットワーク

1. イーサリアム 504テラハッシュ
2. イーサリアムクラシック 21テラハッシュ
3. Ergo 14th(アルゴリズムが違うのでイーサリアム換算だとおそらく10テラハッシュ以下)

たった3つしかイーサリアムと「単位が同じ」レベルの仮想通貨はありません。他はすべて単位がそもそも1000分の1のギガハッシュなのです。

つまりどういうことかというと、イーサリアムがPoSになったとき、イーサリアムをマイニングしていた人たちはイーサリアムクラシック、Ergoなどに流れるしかない、ということです。

その他の仮想通貨を全部足してもイーサリアムクラシックのハッシュレートには到底届きません。OctopusアルゴリズムやKawPowアルゴリズムのが数十ギガハッシュある程度なので、全部たしても5テラハッシュも行かないぐらいなのです。

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