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LHRのグラフィックボードでマイニングする方法と想定収益まとめ 2021年8月版 前編~グラボ一覧編~

グラフィックボードを使ったマイニングをLHR(Lite Hash Rate)対応グラフィックボードで行う方法はいくつかあります。それらを今回紹介したいと思います。

LHRはLite Hash Rateの略で、NVIDIAのGeForce RTX 3000番台のグラフィックボードの一部に付いている機能です。LHR制限、と呼んだほうが正しい用に思いますが、NVIDIAは「LHR対応版」とポジティブな表現で販売しているのが面白いですよね笑。

先に結論から書いてしまえば、LHR版を買うよりは個人的にはLHRではない、NVIDIA GeForce GTX 1660SuperやAMD Radeon 6600XT、もしくはGeForce RTX 3090を買ったほうが良いと考えています。なぜならそれだけイーサリアムの収益性が高いからです。

一方で、3090は高い、1660Superがちょっと古いくせに高い、安い6600XTが売っていない、ということで、LHR版のグラフィックボードの購入を検討される、もしくは誤って購入してしまったという人がいるでしょう。そういった方向けに今回この記事でLHR版のグラフィックボードでのマイニング方法をお伝えしたいと思います。

グラフィックボードのラインナップ

まずマイニング手法の説明に入る前に、最近店頭で売っているグラフィックボード(GPU)を最新世代に限定して紹介したいと思います。

AMDのラインナップ

AMDはLHR版は出していません。そのため、どのグラフィックボードでもイーサリアムのマイニングが可能です。ただし、Radeon 5000シリーズはマイニングに向いている仕様でしたが、最新の6000シリーズはマイニングに不向きとされています。

Radeon RX 6600XT
新発売のAMD Radeon 6000番台のGPUです。マイニングに向いているGPUとして注目を集めています。
55Wで30MHs前後出るため、NVIDIA GTX 1660Superよりも消費電力が低く、販売価格が近しく(ちょっと高い)、ハッシュレートが同一のため、ワットパワーが良く、ゲーミング性能も高いため、リセールも高いのでは、と言われています。入手性が比較的高いため、5万円台であれば買いの選択肢に入ってくると思います。
RTX 3070を13万円で買うよりは58000円で6600XTを2枚買ったほうがコスパが良いでしょう。

Radeon RX 6700XT
マイニングには不向きとされています。それは値段が高いからです。48MHsが10万円はちょっと高いですよね。消費電力も140W前後で、RTX 3070よりも消費電力が高いにも関わらず、ハッシュレートは低いです。

Radeon RX 6800
「見つけたら買い」と言われているマイニングに向いているモデルです。なぜなら価格が10万円台で、60MHs以上出るからです。消費電力やハッシュレートはチューニングにかなり依存しますが、64MHs、150Wぐらいは見込んでも良いでしょう。
「見つけたら買い」です。

Radeon RX 6800XT
6800のオーバークロック版のような位置づけです。基本的にはマイニング的には6800と同じ扱いで良いのですが、価格が高額なため、マイニングには向いていません。


Radeon RX 6900XT
高額すぎるためマイニングに不向きです。18万円ほどする割にハッシュレートは全然出ません。233Wで60MHsぐらいです。もう少し金額を足してRTX 3090を買ったほうが良いでしょう。ただRTX 3070が17万を超えるようなら、リセール重視で6900XTの方が良いかも知れません。

現状、まだ6000番台を使っているマイナーはほとんどいません。なにせ発売から間もないのと、マイニング向きのモデルがツチノコな6800か、新発売の6600XTだけなので。

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引用元: https://hiveos.farm/statistics/

NVIDIAのラインナップ

NVIDIAのGeForceシリーズの3000番台(最新世代)は現状、RTX 3090以外はすべてLHR(Lite Hash Rate)版に置き換わりました。マイニングが可能なグラフィックボードは3090以外は製造されていません。過去に発売されたものも含めてすべてを以下に列挙してみます。

GeForce RTX 3060
GeForce RTX 3060(LHR強化版)
GeForce RTX 3060ti
GeForce RTX 3060ti LHR
GeForce RTX 3070
GeForce RTX 3070 LHR
GeForce RTX 3070ti
GeForce RTX 3080
GeForce RTX 3080 LHR
GeForce RTX 3080ti
GeForce RTX 3090

すごい数ですよね。ちょっとNVIDIAさん、種類出しすぎです。1個ずつ一応解説していきます。

GeForce RTX 3060
初めてのイーサリアムマイニング対策がされたグラフィックボードですが、2種類の方法でイーサリアムのフルパワーでのマイニングが可能です。
1つは「グリッジ」と呼ばれている手法で、HiveOSと過剰メモリOC+ERGOなどの別アルゴリズムの同時マイニングにより、3060のフルパワーでのマイニングが可能です。50MHsほどが出せます。ただしいわゆるバグ技のようなものなので手間があり、安定するかどうかは結構微妙なところだそうです。
もう1つはお漏らしドライバと言われるもので、NVIDIAが開発者向けに配った特定バージョンのドライバをインストールすることでフルパワーでのマイニングが可能です。マザーボードと8x以上での接続、HDMI画面出力(HDMIダミープラグと呼ばれる物を購入すればOK)、Windows上で特定バージョンドライバの利用が必須なので、ちょっと手間が大きいです。
フルパワーでもマイニングでは52MHsが記録されています。

GeForce RTX 3060(LHR強化版)
こちらと前述の3060を見分けるのは非常に困難で、パッケージも、製品の型番も、JANコードも基本的に同一です。LHR版、と言われないのですが、マイナーとしてはフルパワーでのイーサリアムのマイニング手法は現状見つかっていないため、LHR版と言って差し支えないでしょう。


GeForce RTX 3060ti
ツチノコとまで呼ばれていた、マイニングに最強のモデルです。何が最強かというと値段が安く、性能は3070と大差がなく、マイニング性能は3070と同一です。ただし、3070の選別落ちのものが3060tiとなるため、ほとんど市場に流通していません。以下のHiveOS上のグラフィックボードの数でも3060tiがいかに少ないかは分かるかと思います。

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引用元: https://hiveos.farm/statistics/


GeForce RTX 3060ti LHR
3060tiのLHR版で、やはりツチノコではありますし、フルパワーでのイーサリアムのマイニング手法は現状発見されていません。ゲーミング向けのミドルエンドとしては良いGPUだと思います。

GeForce RTX 3070
3060tiと同じく、120Wで62MHs出る、現行最強のマイニング向けグラフィックボードです。従来はミドルエンドのゲーマー向けのGPUだったのですが、ワットパワーが高くマイニングに非常に高効率であったため、マイナーが総じて買い占めました。もう市場にはほとんど新品では売ってないでしょう。


GeForce RTX 3070 LHR
おそらくこのグラフィックボードは在庫がだぶつきます。3060tiとの差が小さく、その上値段が高く、かつマイニングがフルパワーで出来ません。ゲーマーからしても中途半端、とRTX 3070は言われていました(逆に3060tiがコスパが良すぎた)が、マイニング制限が掛かったことで、マイナーからも見向きもされなくなってしまいました。

GeForce RTX 3070ti
メモリが強化されてマイニング制限が掛かった3070の強化版です。3070のメモリはGDDR6ですが、3080と同等に爆熱高速のGDDR6Xに強化されています。その分消費電力も上がっていますが、ゲーミング性能の上昇幅はいまいちで、かつマイニングはフルパワーで出来ないため、こちらも店頭在庫多数です。だぶつき気味。

GeForce RTX 3080
1枚で100MHs出るマイナーに超人気モデルです。ただしGDDR6Xの供給が少ないなどの理由により殆ど数が出ておらず、所持しているマイナーはそれほど多くは有りません。ただマイニングにはかなり向いている、ワットパワーはRTX 3070に劣るし、熱対策が必要なものの、1枚のパワーが大きい、ワットパワーは3070の次には良いということで大人気モデルです。
もし見つけたら買いでしょう。

GeForce RTX 3080 LHR
3080のイーサリアムマイニング制限版です。LHRは基本的に半分のパワーに制限されるようになっているので、3080と同様に使おうとすると、230Wで50MHsという微妙な性能です。

GeForce RTX 3080ti
3080の強化版、もしくは3090からメモリの量を減らしたモデルです。イーサリアムのマイニングは制限が掛かっています。3090との値段差もそれほど大きくないため、3080tiを買うなら3090をゲーマーもマイナーも買うべき、という意見も多く、比較的市場で余っているように思います。

GeForce RTX 3090
現行最高性能のグラフィックボードです。機械学習などにも使われるボードのため、唯一LHR制限が掛かっていませんし、今後も今のところはかかる予定はなさそうです。1枚で124MHsを出せる、消費電力は300Wクラスなので、実は割とお勧めです。(値段にさえ目をつぶれば)
以前紹介記事を書きました。

イーサリアムマイニング制限版(3070ti, 3080ti, LHR)でマイニングするには

次回の記事へ続く!(リンクは後日掲載予定)



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