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理系就活で評価される「ビジネス視点」とは何か?【個人的主観をゆるふわに解説する】

こんにちは。大手メーカーでまったりと研究に励んでいるくりぷとバイオ(@cryptobiotech)です。

先日peingで以下の質問をいただいたので、それについて思考を巡らせてみようと思い、ゆるふわに筆を取った次第です。

超余談ですが、最近「ゆるふわ」という言葉の柔らかさにハマってます。妻に「ゆるふわ!ゆるふわ!」と言うたびにゴミを見るような目をされます。ゆるふわですね。


さて、本題。


<質問>面接で、ビジネス視点で考えておくと企業受けが良いと聞きました。私が考えるビジネス視点は会社の新規事業や成長戦略を理解し、自分ならどう動くかというものだと考えています。くりぷとバイオさんが考えるビジネス視点とはどんなものですか?


ビジネス視点…。うーん難しい。

まず結論から言ってしまうと自分はご質問主さんと「ビジネス視点」の定義が異なります。(それが悪いということでは断じてないですが)

この「ビジネス視点」という言葉。定義がかなり曖昧なので、まず「そもそもビジネスって何だっけ?」と考えるところから始めてビジネス視点を定義しましょうか。


そもそもビジネスって何?

ビジネスという言葉をどのように定義するか。

人によって定義は様々ですが、少なくとも僕は「お客様が求めているモノ・コト(製品・サービスなど)を、お客様が対価(お金)を払ってもいいと思える範囲内で提供し、お客様の生活を良い方向にシフトさせること」がビジネスだと定義しています。

※お客様の生活をより良い方向にシフトさせないモノ・コトを販売するのはビジネスと言えないと個人的には思ってます。

この定義を踏まえると「ビジネス“視点”」とは、お客様の求めているモノ・コトはそもそも何か(What)、それをどのように解決するか(How)、それを解決方法がなぜ良いのか(Why)を考え、お客様の潜在課題を見極めるスキルと言い換えられるかと思います。

より広範に解釈すれば顧客課題設定能力とも言えますね。


「新規事業や成長戦略を理解し、自分ならどう動くか」はビジネス視点かどうか

さて、前項までの話を踏まえて、ご質問主さんが仰っているビジネス視点の定義について再び考えてみましょう。

新規事業や成長戦略を理解する行為は「御社についてどれだけ詳しくなったか」を、自分ならどう動くかという思考は「御社で自分はどう活躍できるか」を、それぞれ示していると考えられます。

企業戦略に詳しくなり、その上でどう自分なら活躍できるかを考えるのは素晴らしいことです。


ただそれはビジネス視点というよりも、別の言葉で言い換えた方が最適かと思います。

就活関連ワードで再定義するならば、それらは企業研究と自己PRかなと。

それらは理系就活生なら誰もが通る道の1つであり、ご質問主さんは自分をアピールするための取り組みをすでに進められていて素晴らしい…という印象ですが、そこからビジネス視点をアピールできるかは話が別と考えます。

なぜならその定義に、前項で定義した「お客様」が入っていないからです。

※何度も言いますが責めてるわけではない…断じて!むしろ現時点でそこまで就活準備を意識しているのは素晴らしいです!


企業に評価されるビジネス視点って何だろう?

では昨今話題となっている(?)「ビジネス視点を兼ね備えた理系就活生」とは何か。

ビジネス視点=お客様の潜在課題を見極めるスキル

だとすると、僕がこれまでにOB訪問で会ってきた学生さんの中で「この人はビジネス視点を持っているな」と感じた人の特徴は以下の通りです。

①自分の研究が最終的にどんなお客様の元に届くかを“解像度高く”イメージできている

②自分の研究が製品化・サービス化される際の競合がどういう存在か具体的にイメージできている

③研究のやめ時(引き際)を理解しながら研究している

これらを待ち合わせる理系就活生とはどういう人財か?


たとえば糖尿病研究をしている理系就活生が2人いたとします。この2人に以下の質問をした際、より有望そうな回答はどちらでしょうか?

(内容と数字は適当に組み立てたモノなので深くは突っ込まないでください笑)

質問 あなたの糖尿病研究はどのように社会に役立ちますか?

就活生A  この研究は革新的な糖尿病治療薬になり得る可能性を秘めています。糖尿病患者は国内に1,000万人強いますので、非常にニーズのある研究だと考えています。

就活生B  この研究は1,000万人強いる糖尿病患者の中でも50〜60代男性に起こりやすい合併症の治療薬になる可能性を秘めています。その薬効機序は既存薬と同じですが、合成ステップがより少なく、かつ活用する原料も廉価なので、より低コストで患者さんに供給できると考えています。より安く提供することで低収入の方でも安心して使える薬剤になってくれると期待して日々研究に励んでいます。ただし競合XXラボが同じ目的で研究しており、彼らに先を越されてしまうとこの研究は厳しくなるので焦っています…笑

もしあなたが面接官だったとしたら、明らかに就活生Bを採用したくなりませんか?

■誰に向けた研究なのか?(50〜60代男性、低収入)

■競合との優位性は何か?(より低コスト)

■研究の引き際(競合XXラボに先を越された時)

上記3点がしっかりと意識されていて、この学生は「お客様のニーズ」及び「研究の実現可能性」を自分なりに情報収集して考えながら研究をしていますね。


一方で、就活生Aも素晴らしい研究をしているのは間違いないですが、糖尿病患者全体というマクロな部分しか捉えておらず、糖尿病患者の誰がどのようになぜ救われるのかをイメージしにくいですよね。

1,000万人全てに当てはまるニーズって何?という話です。糖尿病にもいくつか種類ありますし、まずそこを分解して考えないと攻めるべき新規or既知メカニズムすら定義できない。

「風邪を治す薬を作ったらノーベル賞」みたいな感じですね。


企業研究は営利目的で実施される以上、必ず「誰に向けたビジネスか?」は問われますし、かつどこかのタイミングで継続可否判断が下されます。利益が見込まれないと判断されたら即終わり。「あと半年頑張ってなんとか論文化しよう」すらできない場合も多いです。

それゆえ「引き際をどこに設定するか?」は企業で研究テーマを考える上で極めて重要です。


結局何が言いたいの?【企業戦略理解よりも自分の研究で救える人を解像度高くイメージしようという話】

ゆるふわに駄文を書き過ぎました。

企業に評価される「ビジネス視点を兼ね備えた理系就活生」とはどういう人財か?

少なくとも僕は「新規事業・企業戦略を理解し、その中で自分がどう動くかを定義する人」ではなく(それも大事!)、「自分の研究が誰に、どのように、なぜ役立つと言えるのか?を徹底的に考え抜いて研究をしている人」かなと思います。

それらの問いに答えを出すには、かなり踏み込んでお客様をイメージする必要がある(この仮想上のお客様をビジネスの世界ではペルソナと言います)し、競合よりも優れていることを定量的に示す必要があるからです。

勝ち筋があるか?を常に意識し、負けてしまった時に潔く退却する決断力も必要になるでしょう。

それらができる理系就活生は「ビジネス視点」を持つと判断しても良いのではないでしょうか。


そういったお客様ニーズを意識しながら研究するのとしないのでは、得られる情報の質も大きく変わります。そして研究に対するモチベーションも。

研究室で惰性に研究をし続けるのではなく、ぜひ社会貢献を強く意識して研究してくれることを切に願っております。

そっちの方が研究は楽しくなるし、企業からも評価されるようになると思いますので。


というわけで取り留めもないゆるふわ駄文でした。

これにて終わりっ


駄文にも関わらずに最後まで読んでくださった理系就活生の皆さん。以下を常に意識し続けていれば必ず企業に評価されますのでご安心を。


「あなたの研究は社会でどのように役立ちますか?そう言えるのはなぜですか?」


今日も素敵な研究ライフを。

ワクワクした1日をお過ごしください。


くりぷとバイオ(@cryptobiotech)

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