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NFT知見共有第2話「(NFT参入にあたって考えるべき)NFTプロジェクトの全体像ってどういうもの?」

【前置き】

日本のNFT界隈の健全な発展に向けて、私(仮想筋肉)がNFTに関する活動の中で得た知見は全て共有をしていきたいと思っております。
(この知見を得れたこと自体、本当に感謝ですし、NFT界隈への恩返しをしたいと思っています)

記事を書こうと思ったのは、企業がNFTに参入する際に、全体像や具体的な内容のイメージが湧かず、怪しい(失礼💦)方に騙されてしまう事例をいくつか目の当たりにしたためです。。。

このような悲しい事例は日本のNFT界隈の発展にはマイナスだと思いまして、基本的に私が知っている知見を共有させていただいて、
●企業がNFT事業参入前に重要なところを検討できるようにする
●目の前の相手が信用できる相手なのかどうかを判断できるための基礎情報を獲得する
ことを目的として、情報共有のNote記事を書くことにいたしました。

数話に分けて記載いたしますので、もし「こんな内容も書いてほしい」ということがありましたら、気軽に私のTwitterまでDMをくださいませ。

【各話紹介】

第1話 貴社のNFT発行の目的は何ですか?

第2話 (NFT参入にあたって考えるべき)NFTプロジェクトの全体像ってどういうもの?
第3話 企業がNFT参入するメリットって何なの?

【第2話 (NFT参入にあたって考えるべき)NFTプロジェクトの全体像ってどういうもの?】

企業がNFT参入にあたって、まず突き当たることはなんでしょうか?
そう
「まず何から考えればいいか、検討がつかない・・・」
ということが一つあるのではないでしょうか。
ということで、NFTプロジェクトの全体像、概要を今回は書き連ねていきたいと思います。

今回は各項目はさわりだけではありますが、これを見ていただくと、
「あー、NFTプロジェクトってそういう要素があるのね」
「こういうことを考える必要があるんだな」
ということがわかるかと思います。

この全体像が見えないと不安でスタートがきれないかもしれませんし、知っておけば知見の不足につけこむ人に騙される確率も格段に減るのではないかと思います。 まずは、大きな地図を広げて全体像を確認していきましょう。

では、NFTプロジェクトの全体像(企業がNFTに参入するにあたり考えるべきこと)ですが、ざっと以下のような項目があるかと思います。
①NFT発行目的の検討
②ビジョン、コンセプト、世界観の策定
③(もしあれば)既存IPとの連携
④収益・費用のプラン
⑤NFT設計
⑥ロードマップ
⑦ユーティリティ
⑧マーケティング
⑨コミュニティマネジメント
⑩広報発信
⑪エンジニアリング
⑫パートナーシップ
⑬クリプト(仮想通貨、暗号資産のこと)、NFT界隈、Web3の世界の価値観、哲学を知ること
⑭税務論点
⑮NFT関連の法律対応
⑯レピュテーションリスク

うーん、もっとありそう。。。
このあたり私ももっと言語化していく必要ありますね。 また思いついたら追加しますね。
どうでしょうか?
意外に多かったでしょうか。それともこんなもんか、という感じでしょうか。
「想定よりも色々あるな!」
「あ、こういう項目もあるのか」
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

喧伝しがちなNFTマーケッターの方々は上記のうちの「マーケティング」部分を喧伝しているに過ぎません。
勿論マーケティングは非常に重要な要素でありますが、それだけでは決してありません。

そして、重要なことは、上記の各要素はお互いに連動したり、影響しあうということです。
NFT発行目的は、NFT設計、マーケティング、コミュニティマネジメント等々、、、多くの項目に影響します。

ユーティリティで実現したいことをエンジニアリングで実装できるか、ということもあるでしょうし、マーケティングでやりたいことが法律面に影響することもあるでしょう。
このように全体を俯瞰・把握して、検討することが重要です。

では、各項目がどういうことを内包しているのかをざっと見ていきましょう。

①NFT発行目的の検討

これは、以下の記事に記載したので、そちらをご覧ください。 「目的」は他のほとんどの項目に影響する重要なものです。

NFT知見共有第1話「貴社のNFT発行目的は何ですか?」|仮想筋肉 CryptoMuscle/NFT界の執事|note

②ビジョン、コンセプト、世界観の策定

これも、魅力あるプロジェクトを創るために重要なものです。
少々話はずれますが、まず前提として、今世にある大規模NFTプロジェクトの多くは、単なる絵がついているトークン(暗号資産、仮想通貨)を売っているわけではありません。
つまり、売っておしまいというわけではなく、 今後何かが動いていく「プロジェクト」としてその価値が担保され正当化されていることが多いです。 (「ノーユーティリティ(このプロジェクトは無益だよ~、という意味)」を謳ったプロジェクトを除く。)

つまりこのNFTプロジェクトの魅力を描き、伝えるために、ビジョン・コンセプト・世界観といった要素が重要になってきます。

③(もしあれば)既存IPとの連携

これも既存IPをNFTにする、という場合は重要でしょう。
特に既存IPの元々のファンの方の気持ちを害しないということや、既存ファンからの導線をうまくつなげていくことは重要です。(導線は決して簡単なことではありません)

また、場合によっては、本命のIPをいきなりNFTにするということではなく、ちょっとマイナーなIPからNFTにして経験を積もう、という戦略もありうるかもしれません。 ここは既存ビジネスに影響するところですからしっかり検討をしてもよいのかもしれません。

④収益・費用のプラン

ここは企業の方々が得意な領域かと思います。 なお、収益に関していうと、多くのNFTプロジェクトは一次販売収益(運営主体がNFTを最初に売る時の収益)を獲得したあと、収益獲得ができず、先細ることが多いです。(私視点の記述では勿論ありますが、耳障りの良いことだけでなく、私は全て詳らかに記載をしたいと思っています)

OpenSeaといったNFTマーケットプレイス(NFT界のヤフオクみたいなものでしょうか(超ざっくり💦)で二次流通が起こった際に、二次流通フィーが獲得できますが、一部の人気プロジェクトを除き、二次流通フィーはそんなに期待できない、という事情もあります。

①の目的とも絡みますが、どういった収益をどういうスパンで狙っていくのか、費用はいつ、どれくらい出ていくのかを予定することは企業が事業として行う場合は特に重要になってくるでしょう。

以前算出したらBAYC(各種派生プロジェクト全て含む)は収益600億円くらいAZUKIは40億円くらいDoodlesは20億円くらいでした。 いずれも世界的に有名なトップレベルのNFTプロジェクト)です。
※超ざっくり計算&ETHも円もその時点から変動しているので、イメージとして捉えてください。

世界のビッグネームになると夢がありますね。(今は冬の時代なので世界のNFTプロジェクトの収益も下がっていると思いますが、、)

⑤NFT設計

ここは、チェーン選定、コンセプト、アートワーク、枚数設計等々他の項目が実現したいことを達成できるように設計を組んでいくためのものですね。 プロジェクトで実現したいこととNFTの架け橋となる非常に重要な要素だ思います。

⑥ロードマップ

これは、今後の予定表、行程表みたいなものですね。
「今後、このプロジェクトはこんなことを実現していきますよ」
というNFTプロジェクトが公表した約束、あるいは中期経営計画みたいなものといえます。

このロードマップは、創るプロジェクト、あえて創らないプロジェクトとありますが、「ロードマップ」というものが存在していて、注目される一つの要素であることは知っておくべきでしょう。

⑦ユーティリティ

ユーティリティはNFTホルダー(NFTを持っている人)にとって、保有していることでの特典、メリット、受けれる便益、のような意味合いで使われることが多い言葉です。

NFTホルダーは、勿論プロジェクトを愛してくれたり、絵が好きで購入してくれることもありますが、NFTを持っていることでの特典等々で、購入是非を判断することも多いです。
要は「このNFT持つと、どんないいことがあるのよ?」ということをいかに設計できるかは重要です。

これは直接的な経済的価値を付与する場合と、情緒的価値に訴求する場合があります。
後者でいうと、NFTホルダーしか入れないDiscord(コミュニティツールです、ここでNFTファンはチャットで日々やりとりしています)の部屋があるとか、NFTを持っていると有名人と会えるとか、ですね。

⑧マーケティング

ここは内容が多すぎるので、また別の記事で改めて記載します。

⑨コミュニティマネジメント

「NFTプロジェクトの本質はコミュニティだ」なんて言葉があるくらい、コミュニティマネジメントは重要です。
そのNFTプロジェクトのファンやホルダーが交流できる場所を用意し、うまく盛り上がるようにマネジメントする、ということがコミュニティマネジメントです。
主にDiscordをコミュニティの場所としているNFTプロジェクトが多いのではないでしょうか。 このコミュニティマネジメントは、1日中Discordに張り付いてコメントをし続ける人をいかにつくるかなど、実態はかなり泥臭いです。

別に脳死でコメントをし続けていればいいわけではなく、部屋の構成、盛り上げイベント、広報発信やマーケティングとの連携とかなり多岐にわたり目配りし企画立案と実行をし続けていけるハイパフォーマーが必要です。
このレベルで実行できる人はほとんどいないくらいの希少存在かもしれません。

「コミュニティマネジメントをやっていました」と言っても、その経験・能力の幅は非常に様々なので、チームを組成する際には注意が必要です。(ほんと~に、様々なで幅があります、、、)

また、企業特有の論点として、社員をコミュニティマネジメントに動員する際に、休日出勤(土日の方がむしろコミュニティが盛り上がる)、深夜残業(夜のほうがむしろコミュニティ盛り上がる・・・)ということが課題になることも多いです。
企業さんからコミュニティマネジメントを依頼されることも多いのですが、上記のような労務問題を避けるため、という背景もあるようです。

⑩広報発信

ここはイメージがつくかと思うので割愛させていただきます。
主にツイッター、Discordでの発信が多いですね。 PRTimesも良いですし、企業としての実業面でのネットワークや広報宣伝力は存分に活かせるところではないでしょうか。

⑪エンジニアリング

NFTプロジェクトにおいて、NFTを無事にブロックチェーン上で発行できることは、必要最低限ですが、非常に重要なことです。
「貫通」(NFTを購入する権利を持っていない人が、運営側の意図しない形でNFTを購入できてしまうこと。セキュリティを貫通するというような意味合いで貫通と呼ばれているのかな。)は、NFTプロジェクトとして最も避けるべきことの一つです。
また、プロジェクトとして搭載したい機能や目新しい仕組みを導入するとしたら、それをエンジニアリングで事故なく実現できることも重要です。

エンジニアリングについては、また投稿を改めて記載しようと思います。 (非エンジニアだとしても、NFTプロジェクトの検討ができるくらいの最低限の把握は必要かと考えます)

⑫パートナーシップ

ここも割愛してよいでしょう。どういったところと組むか、ですね。 あまりよくないことだと個人的には思っていますが、NFT界隈では大して実態がないのに「パートナーシップ!(どーん)」と打ち出すことは結構多いです💦

これがご愛敬なのか、煽りすぎなのかは、人によって意見が分かれるところでしょう。
黎明期のNFT界隈、玉石混交なので、どこと組むか、だれと組むかも重要なことかと思います。

⑬クリプト(仮想通貨、暗号資産のこと)、NFT界隈、Web3の世界の価値観、哲学を知ること

クリプトやWeb3世界で美しいとされる価値観や、大事にしている哲学を知ることは重要です。
それを知らずに逆なでするようなことをしたり設計すると炎上することもあります。
NFTを愛する者としては、ぜひリスペクトをもって勉強をしていただきたいと思います。
一方で、界隈の当たり前や価値観・哲学にあまりにおもねる必要もないかと思っています。
界隈の当たり前、価値観、哲学も常に移りかわっています。

日本のNFT界隈も盛り上がってきてからはまだ1年少々です。この短い期間で形成された考え方を当たり前や伝統として強制することはナンセンスな気がしますし、むしろ新しいことを生み出す可能性を大事にしていきたいです。

ただし、だからといって何も学ばない、他の方々の価値観、哲学を無碍にしてよいというわけではなく、知って、互いにリスペクトをした上で、新しいことを創っていきたいですね。
何事もバランスでしょうか。

⑭税務論点


ここは言い尽くされていますが、企業が持つ暗号資産(仮想通貨)は、期末で時価評価されて課税されてしまうので、注意が必要ですね。 また、暗号資産の会計記帳はまじめにやるととても大変です。。。

プロジェクトが悪気無く実施した内容で、税務上億円単位の税務リスクが発生してしまう、という可能性もあります。
あまり腰が引けるのもどうかと思いますが、NFT関係に詳しい税理士・弁護士の方々と相談をしつつ、プロジェクトを進めることがよいと思います。

⑮NFT関連の法律対応

特に皆さん賭博罪のことが気になるでしょうか。
これは別途記載したいと思います。
あとは金商法なども注意すべき重要論点ですね。

⑯レピュテーションリスク

最近はだいぶ減ったような気もしますが、
「NFTは環境に悪い」
「NFTは悪だ」
みたいな風評被害で会社の信用問題になる可能性もなくはないです。
NFTを愛する者としては悲しい限りですが、このような可能性があることも冷静に見つめる必要があると思いますし、 企業がプロジェクトを進めるにあたっては、こういうことも検討する必要はあることでしょう。

最後に

ということで、、、 「(NFT参入にあたって考えるべき)NFTプロジェクトの全体像ってどういうもの?」 について、書きました。 さすがに疲れました。。。笑
ですが、こういう情報が、これからNFTに参入しようとする企業の地図として機能すれば嬉しいですし、変な人に騙されることが減るのであれば幸いです。
以上、
第2話 「(NFT参入にあたって考えるべき)NFTプロジェクトの全体像ってどういうもの?」
についてでした。

知りたい内容があればそれを書くので(全てノウハウ公開するので)、気軽にTwitterなどでDMをくださいませ。

【著者紹介】

仮想筋肉
SoudanNFTコミュニティ代表。NFTを好きなため、日本のNFT発展のために微力ながら日々活動をしております。

SoudanNFTコミュニティ

日本最大級の規模を誇るNFTコミュニティ。2021年10月の設立以降も、自ら大規模NFTの発行・運営・IP管理を行い、その知見とリソースを活かした企業のNFT進出支援(全体設計・コミュニティマネジメント・マーケティング等々)や他NFTプロジェクトへのアドバイザリーを多数手がけていることが特徴です。
取引先企業から背中を押していただき、2022年8月には『株式会社SoudanNFT』を設立しました。
NFTクリエイターがお互いに悩みを相談(Soudan)し助け合い世界に挑戦していく場を創るというビジョンから設立されたコミュニティであり、「NFTの発展のため、いつでも誰からでもどんな相談でも受ける」を合言葉に運営されています。

企業のNFT進出支援や他NFTプロジェクトへのアドバイザリーを行うことで、NFT界隈が健全に一層大きく発展することに貢献したいという思いから日々活動をしているため、NFTに関する各種お問い合わせ、アドバイザリーのご依頼、当方IPを活用しての協業のリクエスト等々に喜んで対応いたします。

(参考)SoudanNFTプレスリリース一覧
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/106563







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