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夏の香りと実家への帰省

社会人になって、実家を離れてから24年ほど。
実家暮らしよりも、一人暮らし、家族での暮らしのほうが
気づけば長くなっている。

GW・夏休み・冬休みと実家に帰っていたものの、
子供の成長に合わせてその頻度が少なくなる。
スケジュールが合わない。

子供たちの夏休みのスケジュールが徐々に埋まってくる。
合宿、部活、塾、学校、、、、。
今年も難しいかも。

実家は、山の麓の一軒家であり、いろんな虫がやってくる。
24時間といっても言い過ぎではないほど
蚊取り線香の煙が、一軒家を取り囲んでいる。
いや、家の中でも煙があがっていた。

蚊取り線香の香りを嗅ぐと、
夏休みに実家に戻ってきたなと安心する。

6月下旬。
家の中で、蚊が飛んでいる音がする。
そろそろ虫除けをしないと。

マッチを取り出し、火薬のついた白い部分を箱のヤスリにこすりつける。
湿っているのか、3度目にようやく火がついた。
取り出した蚊取り線香に、マッチの火を移し、息を吹きかける。
部屋の中で、一本の煙が立つ。


子供が、汗だくになって帰ってくる。
ランドセルを投げ出し、シャワーを浴びに、お風呂場へ。
風呂から上がってくると、牛乳石鹸の良き香り。
ベランダに置いた、蚊取り線香が家の中でふんわりと香る。
2つの香りを感じると、さらに実家に戻ったような雰囲気となる。

それは、自分が子供だった頃の、おじいちゃんとおばあちゃんの家も
こんな匂いだったような。

匂いが記憶を呼び起こす。

今日もまた、家の中で蚊取り線香の香りが漂っている。

子供たちが成長したときに、蚊取り線香の香りでは
何を思い出すのだろうか。

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