ビットコインの役割と生成AIの効能、社会における評価の差とは?

ビットコインの稼働には大量の電力が消費されています。なので、何かと環境に対する影響ということで攻撃を受けます。しかし、同じように生成AIも大量に電力を消費します。ところが生成AIについてはビットコインほど批判的な意見は出てきません。もちろんゼロではありませんが。

おそらく、生成AIは人類に役に立つが、ビットコインは役に立たないと考えている発言力の大きい人が多いのでしょう。

確かに生成AIの効能はわかりやすい。むしろ分かりやすすぎて、著作権の問題やらホワイトカラーの雇用にまで影響しそうでそちら側への意見は多く聞かれます。ただし、だから生成AIは電力を大量消費してけしからん、とはなってない。つまりは役に立つと思っているからでしょう。

一方、ビットコインはなんの役に立つか分からないからただ電力を消費しているだけだという思い込みはあるあるです。
確かに、なんの役に立つのか分からないという理解不足を解消するにはあまりにも分かりにくい代物です。生成AIと同じように雇用に影響するという話になれば、逆に役に立つか立たないかの点については役に立つからこそという理解も進みそうな感じです。
さて、ビットコインが普及した時に脅かされるビジネス領域とはどこなのでしょう。直感的には銀行です。ただし、今のような仕事が減る可能性はありますが、銀行がやれることはたくさん残っているはずなので、業態を変えて共存するのは可能だと思われます。そこに気づいている金融機関はどのくらいあるのでしょうか。
もう一つ脅かされそうな分野があります。政府です。行政といった方がいいかもしれません。政府機関は規制があるからこそ仕事があるわけです。裁量権が発揮される事柄を法律で作り、そこに仕事を創出するということが往々にしてあります。
今は政府が通貨を発行していますので、これをどのくらい発行するかや徴収するのは全て政府の仕事となっています。もちろん、ビットコインが普及したとしてもアメリカドルなどを発行し続けることは確実なので、仕事は続くと思いますが、同じことができるものが他に生まれて、それが人々に浸透したらどうなるのでしょう。

これまでの歴史を省みると様々な新技術が出てきて既存の職業が脅かされてもそれを凌駕するだけの新しい雇用が生まれていますので、ビットコインが既存の業種を脅かしたとしてもそれに付随する新しい仕事が生まれることはほぼ確実だと思います。今は自分たちの存在意義がなくなりそうだ、という恐怖だけが広まっている状態なのでしょう。
ビットコインはカウンタパーティリスクのない価値移転を実現する技術です。つまりはカウンターパーティな人たちの地位が危ういという事です。もう少しわかりやすくいうと信用で成り立っている人たちが危ういという事です。銀行も政府も、信用できるからこそ、安心してお金を預けたり、法定通貨を使っているわけですが、この信用というものが場合により裏切られることもあるということです。経済は浮き沈みするものなので、沈んだ時に銀行が巻き込まれることは往々にしてあります。国もなくなることはあまりありませんが、財政破綻することはよくあります。最近ではスリランカの例があります。
信用というのは100%ではないということなのです。だからこそ預金保護などの法律が存在しているのです。つまりは信用は100%ではないということを宣言しているということです。もちろんビットコインも100%ではないのですが、既存の信用機関に比べると信頼度は高そうです。なぜならプログラムで動いているからです。人よりは信用できそうです。

ビットコインが環境に悪いという人たちは大体、信用に関する機関に所属している人たちです。ビットコインがなんたるかは理解していなくとも、自分たちの知らないところでお金のやり取りができてしまう、という事実はわかりやすい。なので、そんなもの自分たちが提供できているんだから、わざわざ使わなくてもいいだろうということで攻撃しているように見えます。
ただその抵抗もそろそろ終わりに近づいてきているような気配があります。普及が進むにつれ、その効用が実際に見え始めてきているからです。
一つは電力需要に対する調整能力です。ビットコインマイニングは大量の電力を消費しますが、いつでも止めることができます。一方、太陽光発電や風力発電というようなクリーンエネルギーは発電力に波があり、需要と必ずしも発電量が一致しない。そういう時の調整として使えます。一方、生成AIは柔軟に止めたり動かしたりができない。そんなことすれば、サービスが止まってしまいます。クリーンエネルギーとの相性はあまり良くない。というのは事実です。
もう一つは価値が上がり、知名度が上がるにつれ、別に銀行や法定通貨がなくとも国境を超えて価値のやり取りがデジタル上でできてしまう、ということがわかってしまったことです。マネーロンダリングを声高に叫ぶ人たちがいますが、それも、現金に比べればはるかに透明性が高い、ということも徐々に浸透していくことでしょう。暗号資産がマネーロンダリングに利用されているという人たちはアメリカドルがどのくらいマネーロンダリングに利用されているかは言わない。規制しているから防げているか、というと全く防げていない。そのことはアメリカの上院議員の方は棚上げしています。

批判すればするほどそれに対する反論がどんどん出てくるので、やればやるほどみんなの理解が広まるということで、注目されないより注目された方が良いことだと思います。

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