見出し画像

知らない男にドタキャンされたので初メンズコンカフェに行ったら楽しすぎた

彼氏と別れて、全てが吹っ切れた私はマッチングアプリでスワイプしまくる毎日。LINE交換まで漕ぎつけて会う約束までした1人の博多男子がいた。

集合時間の18時に駅に着き、LINEを送信するも返事はない。これは怪しい。
丁寧に「今日来れなそうですか?」と送ってみる。
そこで返ってきた返事がこれだ。

「さっきまで寝てて起きたら微熱やってん😢」

嘘つけ!!!!!

微熱が本当だとしてもはやく言ってほしいし(どうせ嘘)、18時集合なのにさっきまで寝てたもおかしいからな!!!!

知らない男にドタキャンされて、まっすぐ帰るのも気が進まない。途方に暮れながら歌舞伎町をぶらぶら歩いていた。

するとガッツリメイクのお兄さんに声をかけられた。
「コンカフェなんですけどよかったらどうですか?」

いつもは無視するはずのキャッチだが、私は今、足を止めて揺らいでいる。
密かに興味を持っていたメンズコンカフェ。
現在まだ18時半。絶賛暇。行こう!

不安と期待を胸にドアを開けるとなんだか薄暗くて怪しい雰囲気……
かと思ったら明るい照明で見た目は普通のカフェ。よかった。バリ明るいやん。ほっと一息付くと席に案内された。私が席に座って、1人ずつキャストが付く。初回だから値段もそんなに気にしなくて大丈夫そうだな、と安心。ふと周りを見渡すと半ば抱き付きながら接客している様子を発見!
おっと、すごい世界に来てしまったようだ。

今回は初回だったため5人くらいのキャストと話せた。

「前はホストやったよ〜」
「元美容師で〜」
「バイクの専門辞めちゃって〜、」
「保育士の免許持ってて〜」
「来月アイドルデビューするんだけど〜、」

やば。めちゃくちゃ楽しいんだけど。
コンカフェになった経緯、前職、好きな物、当たり前だけど全員違くて興味深かった。

初回はチェキ1枚無料だったので黒髪ウルフくんを指名。理由はワイシャツにネクタイという制服風の格好で、黒髪ウルフとピアスが癖に刺さったからです。あと単純にしごできだったから。(チョロい)
「次来るとね、同じ値段でチェキ5枚撮れるし、友達連れてきたら紹介特典とかもあるんだよ〜」
そんなこと言いながら距離近くないですかお兄さん。ほぼゼロ距離。「え、まってハマりそうなんだけど」思わず心の声が出てしまった。
お兄さんは私の目をじっと見てひとこと。

「ようこそメンコンへ✨」

ずるずるずる。

あ、今沼に入った音がしました!!!

いよいよチェキ撮影へ。少し離れた所に移動し、すぐに椅子に座るお兄さん。
「はい!上乗って!!」

戸惑う初回女。
いや、でもここはお言葉に甘えて…!
失礼しますと怯えながらお膝に腰掛けると、

「何やってんの?対面だよ?」

面を食らう初回女。
これが無料でいいんですか????

撮ってもらったチェキを見ると、お兄さんの腰に手を回さずに椅子の背もたれを掴んでいる私の姿がバッチリ映っていた。同時にこんなペラペラワンピースを着て来てしまったことを後悔する。

現在、急行 歌舞伎町の女行き列車の目の前にいます。
どちゃクソタイプのお兄さんがこちらを見て手招きしている。
手を引かれて乗ってしまったら最後。
途中下車はできません。

メイクや服装に気を遣うようになる駅通過、オプションまみれ駅通過、普通のバイトでは稼ぎが足りなくなり、夜職デビュー駅通過……。
あっという間にスト缶片手に、赤いギラギラゲートがお出迎え。

歌舞伎町の経済の回り方を肌で感じた一日だった。
でも結局オタクって楽しいんですよね。
恋愛と違って駆け引きがないし、ただ一方的に愛を注いでることが至福。推しに会う前に顔面を作ったり、服装を何回も考えたり、チェキを眺めている時間はたまらない。

結局その日は30分延長して、店を後にした。駅に向かう時にすれ違う、地雷系女子たちがものすごく逞しく見えた。必死になって稼いで、武装して、大金持って、担当に逢いに行くのだろうか。

歌舞伎町にこだましている客引き禁止のアナウンスを聞きながら、今日の一日を思い返していた。別れ際に鼻を掠めたお兄さんのタバコの匂いが蘇る。

私は光に集まる虫のようにドン・キホーテに吸い込まれ、新しいアイシャドウとリップを買って家に帰った。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?