懐かしいと愛おしいってちょっと似てる
これまでの人生のなかで、紛れもなく一番眩しかった時間がある。
それは永遠に続くようにも思えた長い大学受験が終わって、高校を卒業してから大学に入るまでの春休み、ほんの少しのモラトリアム。
毎日やることがなくて、そんな同じ顔ぶれが理由もなく昼過ぎに集っては退屈な一日を過ごした。あの頃の私たちは車という魔法の乗り物が何台か手に入ったばかりで、本当に理由もなくあちこちに出掛けて。
お酒も煙草も男女の戯れも、あの時期にありがちな背伸びをするには此処はあまりに田舎で閉鎖的で、だから誰かが髪を染めたりピアスを開ければそれが大ニュースになった。
そんな風にして放っておけばすぐにやってくる未来は少し怖くて不安で億劫ながら、なぜか根拠の無い明るさで満ち溢れていて、眩しい日々はそんな未来の最中にまで及んだ。
あの頃と全く同じ街、季節、匂いのなかで、あの頃の私と今の私はちょっと、うーん、全然違う。
本当に何もかも、あの頃には想像もつかなかった今の中にいる。ほんのりと期待を仄めかせながら思いを再び寄せ始めていた相手は今、隣に居ない。
でもそれで良い。思った通りの未来が来ることなんてまあ当然あり得ない話で、未来とはそういうものだから。
聞こえは達観だけどごく当たり前の理屈に、気がつくまでに(諦めるまでに?)なんと20年も掛かってしまった。
好きな曲にある「別に怒ってないってさ 未来は」という歌詞がふと思い浮かんだ。だから今は苦味が消えず悶々としているこの後悔だって、もっと先の未来の私なら笑って許してくれる。
あとまさにこれも、当時はまさか聴くことはないと思っていたような音楽だし。明日の私もまた、今日の私が思ってもみないような選択をして未来を創るのだと思う。
それで良い。それで良いです。楽しみです。
21歳の私、期待してるぞ!
追伸
モラトリアム期間の登場人物たち、日付が変わる頃に勢揃いしてくれるほど未だに連んでくれる大切な面々。色んなことがあったけど、そこだけは2年経っても変わらなかった。
感謝しています!
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