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この世から消える、その時に、私はこの世に何も残していきたくない。天に富や名声を持ち込みたいという浅はかな理由では決してない。私は、私の身体、私の使った物、私が影響を与えた物、それら全てを排除したい。骨の一部、その微粒子でさえも、この宇宙から消滅させてしまいたい。私達は皆、何も無いところから生まれ、何も無いところに還っていく。だから、この世にも何も残してはいけないのだと思うのである。私達の一生は、一貫して無である。どんな大発見をしても、どんな大勝利をしても、どんな功績を讃えられても、自身の生きる意味を見出しても、死ぬ理由をこじつけても、死んだら全て消えるのである。私の存在を記憶している家族や友人がいたとしても、彼らもいずれ消えるのである。

私達の一生は、一貫して無である。自分が存在したという恥や汚点すら残さなくてもいいのだから、これはむしろ救いなのではないだろうか。

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