藤川球児投手の引退会見から今年こそは歯止めがかかれと願うこと

藤川球児投手が現役引退を表明した。

今年はようやく折り返し地点のプロ野球だが、例年と同様に9月を迎えた途端に引退のニュースが入るとは寂しい限りだ。

同時に年々早まっている感がある引退発表、それに伴う引退試合のイベント化には違和感を覚える。

プロ野球とは「今シーズンはこのメンバーで優勝する!」と2月1日のキャンプが始まり秋まで戦うものだろう。
ならば、いくら球団の功労者とはいえ、順位決定前に球団が引退会見の場を設けるとはチームスポーツとして如何なものかと。

営業サイドの思惑としては早めに引退発表をして、引退試合に向けて記念品を作り販売することで収益を上げたいのだろう。

そして何より、このエスカレートする引退試合のイベント化に私は大反対である。

もし私がコミッショナーなら野球協約に

「引退試合は当該チームの順位決定前に実施してはならない」

と絶対に加えるだろう。

昨年、ロッテの福浦和也選手の引退試合は順位決定前、しかもCS出場の可能性がある中で実施された。引退試合の日に福浦選手はシーズン初出場且つ初先発であった。

私はロッテが川崎時代から球場に足を運び、千葉に移ってからも1年に一度はロッテ戦を球場で観戦していた。
福浦選手とは同じ歳であり、2000安打に向けて野球を続ける姿勢は、私がボクサーを続ける上での励みであった。

そんな私が批判を覚悟で敢えて言いたい。

シーズンの戦力となっていなかった福浦選手の先発出場に、球団がCS出場の可能性より営業の都合を優先したことに私はショックを受けた。そして私は、マリンスタジアムからの撤退を考えたのであった。

これは引退試合の過度なイベント化がもたらした負の典型例だと感じる。

果たして功労者を讃える方法は、イベント化された引退試合しかないのだろうか?

私は中学生の時に友達が「今日は神宮球場の外野席が無料だし、若松勉選手の引退試合だから行かないか?」と言い出したので何故か10人近くで観戦に出かけた。

今と比べたら地味な引退セレモニーで、フェンス越しに応援団長の故岡田正泰氏と若松勉選手が握手を交わすといった、牧歌的で温かさのある引退試合だったことを昨日のことのように覚えている。

過度な演出や限定商品を販売したから良い引退試合になるのではない。
その選手の生き様や辿った軌跡、それを知り見守ってきたファンの眼差しが素敵な引退試合を作り出すだと私は信じている。

今年こそは引退試合のイベント化に歯止めがかかって欲しい。そう藤川球児投手の会見から思った次第です。

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