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2023年 劇場鑑賞新作 字幕担当者様 ありがとうございました

今回は例年より早めに〆たので、年間鑑賞作品のリストを見ながら色々と余分に考える余裕があります。ということで、前々からやろうと思っていた「字幕担当者」さんを軸にして振り返る、ということをやってみました。

わたしは観た作品をデータベースで管理しているのですが、それを CSV でエクスポートして、ChatGPT に食わせて加工してみたのが以下になります。

(※なお本文中の字幕翻訳者のみなさまについてはすべて敬称略ということでご容赦ください)

新作鑑賞リストでの登場回数ランキング

ということでまず、今年観た新作をすべて並べたランキングの中で、それぞれの字幕担当者さんが何作品担当しているか、というカウントで登場回数を上から順に並べてみました。
(※ちなみにその元となっているランキングは以下の記事です↓)

2023年鑑賞作・担当作品数ランキング

  1. 松浦美奈 - 12作品

  2. 松崎広幸 - 5作品

  3. 石田泰子 - 4作品

  4. 中沢志乃 - 3作品

  5. 風間綾平 - 3作品

  6. 戸田奈津子 - 3作品

  7. 佐藤恵子 - 3作品

  8. 林完治 - 3作品

  9. アンゼたかし - 2作品

  10. 岩辺いずみ - 2作品

  11. 種市譲二 - 2作品

  12. 伊原奈津子 - 2作品

  13. 牧野琴子 - 2作品

  14. 草刈かおり - 2作品

  15. 安藤里絵 - 1作品

  16. 星加久実 - 1作品

  17. 小西朋子 - 1作品

  18. 高内朝子 - 1作品

  19. 稲田嵯裕里 - 1作品

  20. 北村広子 - 1作品

  21. 関口英子 - 1作品

  22. 小寺陽子 - 1作品

  23. 野口尊子 - 1作品

  24. 伊藤美和子 - 1作品

  25. 永井歌子 - 1作品

  26. 横井和子 - 1作品

  27. 柏野文映 - 1作品

  28. 岸田恵子 - 1作品

  29. 玄岩瑛子 - 1作品

  30. 今井祥子 - 1作品

  31. 小山朋子 - 1作品

  32. 根本理恵 - 1作品

  33. 平井かおり - 1作品

  34. 川又勝利 - 1作品

  35. 林大介 - 1作品

  36. 松嶌明男 - 1作品

  37. 吉川美奈子 - 1作品

ということで、トータル37人の字幕翻訳者のみなさんにお世話になってるわけですが、やはり個人的に「現・字幕の女王」だと思っている松浦美奈さんが圧倒的な存在感を放っています。というか、そこまでの印象はなかったんですが、わたしが観た作品の中だけで数えてコレか、と思うと凄い数ですね。まぁ、今年は「コロナが猛威を振るっていた時期に公開を見送っていた作品が改めて放流されている」みたいな気配があって、その分のカウントが上乗せ的に入っている、というのもあるかもしれません。とりあえず松浦さんをはじめ、字幕を作るという困難な仕事を担当していただいているみなさんには、改めて感謝したいと思います。

作品ランキングによる重み付けランキング

続いて、このリストを元に、担当された作品をわたしがどう評価しているか、ということに基づいてスコアを算出してランキングを作ってみます。考え方は色々あるかと思いますが、単純に、全作品のランキングを元に(対象は89作品)、1位に88点、89位に0点ということで1ポイントずつ単純傾斜をつけて、各字幕担当者さんごとにスコアを合算したランキングを作ってみます。こういうの、ChatGPTがやってくれるようになってすごく便利な世の中になりました。なお、ここからは10位までのランキングとします。

  1. 松浦美奈 - 552 ポイント

  2. 石田泰子 - 278 ポイント

  3. 佐藤恵子 - 185 ポイント

  4. 戸田奈津子 - 173 ポイント

  5. 中沢志乃 - 166 ポイント

  6. 牧野琴子 - 121 ポイント

  7. 風間綾平 - 121 ポイント

  8. 種市譲二 - 121 ポイント

  9. 伊原奈津子 - 120 ポイント

  10. 林完治 - 111 ポイント

まぁ松浦美奈さんのポジションは当然ながら不動なんですが、「誰が自分の好きだった作品を担当していたか」という、ある意味、「今年自分がお世話になった字幕翻訳者さん」というランキングだと2位以下が大きく動きますね(松崎広幸さんどこ行った)。ちょっと興味深いので、内訳を確認してみます。

  1. 松浦美奈 - 552 ポイント
    ザ・ホエール (2位/90ポイント)
    aftersun/アフターサン (4位/88ポイント)
    エンパイア・オブ・ライト (6位/86ポイント)
    To Leslie トゥ・レスリー (16位/76ポイント)
    名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 (27位/65ポイント)
    アラビアンナイト 三千年の願い (55位/37ポイント)
    対峙 (63位/29ポイント)
    ノースマン 導かれし復讐者 (68位/24ポイント)
    ボーンズ アンド オール (69位/23ポイント)
    モリコーネ 映画が恋した音楽家 (75位/17ポイント)
    SHE SAID/シー・セッド その名を暴け (79位/13ポイント)
    ドミノ (88位/4ポイント)

    ※さすが字幕の女王、2位の作品から88位の作品まで、全方位にまったく隙のない構えというか。トップ5に入っている作品を2作品手堅くゲットしつつ、ランキング半分より下の作品もガッチリ洩らさず貪欲にスコアを稼いでいるのが強いですね。

  2. 石田泰子 - 278 ポイント
    TAR ター (3位/89ポイント)
    バーナデット ママは行方不明 (10位/82ポイント)
    枯れ葉 (38位/54ポイント)
    アステロイド・シティ (39位/53ポイント)

    ※石田さんは今年は、特に字幕ということについて深く考えさせられた『TAR/ター』だけではなく、『バーナデッド ママは行方不明』でもケイト・ブランシェットをしっかりサポートしていただきました。ありがとうございました。

  3. 佐藤恵子 - 185 ポイント
    スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース (13位/79ポイント)
    マーベルズ (25位/67ポイント)
    Pearl パール (53位/39ポイント)

    ※佐藤さんは今年の3作品はいずれも「続編があることが確定している」シリーズものなので、来年もお世話になりそうです。よろしくお願いしたいと思います。

  4. 戸田奈津子 - 173 ポイント
    フェイブルマンズ (12位/80ポイント)
    ミッション インポッシブル デッドレコニング PART 1 (45位/47ポイント)
    インディ・ジョーンズと運命のダイヤル (46位/46ポイント)

    ※なっちゃん、まだ頑張ってるんだなぁ、という感じですが、相変わらず細かいところでなかなか合わないんですよね。特に『ミッション・インポッシブル』シリーズは、主演がトムなので、というのも分かるんですが、出てくる言葉がかなり新しいものが多いので、そろそろ、という感は否めません。

  5. 風間綾平 - 170 ポイント
    TALK TO ME トーク・トゥ・ミー (11位/81ポイント)
    イコライザー THE FINAL (43位/49ポイント)
    ノック 終末の訪問者 (52位/40ポイント)

    ※風間さんにも継続的にお世話になっていますが、今年は特に『TALK TO ME』がよかったですね。現代性の強い作品というか、割とリアルタイムの若い世代が出てくる作品にもしっかりアジャストして対応されている辺り、安心感があります。

  6. 中沢志乃 - 166 ポイント
    ファースト・カウ (24位/68ポイント)
    イノセンツ (29位/63ポイント)
    リトル・マーメイド (57位/35ポイント)

    ※中沢志乃さん、最近、自分があまりディズニー系を観ないのでここ数年あまりお目にかからなかったのですが、今年は『ファースト・カウ』『イノセンツ』と個人的にかなり刺さった作品でおせわになりました。

  7. 牧野琴子 - 121 ポイント
    イニシェリン島の精霊 (5位/87ポイント)
    生きる LIVING (58位/34ポイント)

    ※イギリス方面なら任せて安心、という感じの牧野さんですが、今年もやはりあちら方面の作品でお世話になりました。しかし、映画の字幕翻訳っていう世界で英語を扱うのに、米国英語と英国英語でジャンル違いというか畑が違ってくる部分があるんですかね。

  8. 種市譲二 - 121 ポイント
    ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック! (28位/64ポイント)
    M3GAN/ミーガン (35位/57ポイント)

    ※『ハッピー・デス・デイ』シリーズやジョーダン・ピール監督作品なんかでお世話になっている種市さんですが、今年も娯楽性の高いホラー『M3GAN/ミーガン』でお世話になりました。来年もぜひこういうホラーでお世話になりたいものです。

  9. 伊原奈津子 - 120 ポイント
    ウーマン・トーキング 私たちの選択 (30位/62ポイント)
    ヴァチカンのエクソシスト (34位/58ポイント)

    ※この2作品が並ぶ、というのも字幕翻訳という世界の面白さかな、という気がします。伊原さん、『ブライトバーン/恐怖の拡散者』とか『イット・カムズ・アット・ナイト』とかの印象が強いのですが(リメイク版『フラットライナーズ』も確かそうだった)、まぁ『ウーマン・トーキング』もホラーといえばホラーですかね。すごい作品なので未見の方はぜひ。

  10. 林完治 - 111 ポイント
    ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 (44位/48ポイント)
    エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス (51位/41ポイント)
    ドラキュラ/デメテル号最期の航海 (70位/22ポイント)

    ※一時期は本当にお世話になりすぎていた感のある林完治さんですが、最近はMCUもいろんな方が担当するようになっていて、多少は肩の荷が降りるような感があったりするのでしょうか。来年のご活躍にも期待したいと思います。

なお、5作品担当されて回数ベースでは2位だった松崎広幸さんは14位で、担当作はこんな感じでした。

  • ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り (49位/43ポイント)

  • ザ・クリエイター/創造者 (77位/15ポイント)

  • 聖闘士星矢 The Beginning (81位/11ポイント)

  • ジョン・ウィック:コンセクエンス (82位/10ポイント)

  • 65/シックスティ・ファイブ (86位/6ポイント)

ある意味、むしろ頭が下がるというか、足を向けて寝られない感があります。

終わりに

ということで、今年劇場での新規公開作の内、「わたしが観ることのできた作品」という極めて限られた範囲ではありますが、これだけの方たちに「映画を支えてもらっている」という事実に改めて感謝したいと思います。

字幕というのはただでさえ色々と難しい「翻訳」というものの中でも、とりわけ制約が厳しいジャンルで、かつ、それを誰が観るか、というところで「見る目の厳しさ」「伝え方の難しさ」みたいなところを考えるとさらに頭が痛いというか、ぶっちゃけ「しんどい」世界だと思うんですよね。この記事は、そんな中で、日々、映画に字幕をつけてくださっているみなさんに改めて感謝する、という趣旨でまとめたものであって、ランキングで優劣云々とか、上下がどうこう、とか、そういうことでは「全然ない」ので、そこのところはぜひご了解いただきたいと思います。スコアをつけてはいますが、あくまで「作品をどれだけ気に入ったか」であって、「字幕の良し悪し」ではありません。

ということで、みなさんもぜひ、今年気に入った作品を振り返るにあたって「誰の字幕にお世話になったか」ということを、ちょっと気にしてみていただけたらな、などということを申し添えて、この記事の結びとしたいと思います。

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