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母の口癖

私の母は、いつもお金がないと言っていた。お金があっても「ない」が口癖だった。「うちはお金がないから」と言いながら、晩ご飯にはこどもには価値のわからない豪華な食材が並ぶ日があった。「よその家ではこんなの、食べられないんだからね」と自慢げに言う母がイヤだった。ハンバーグやカレーがいいのに。大人の食材がこどもの口に美味しいわけがない。

「お金がない」以外にも、「人前でお金の話をするんじゃない、はしたない」もよく言っていた。それなのに高価なものを買ってはその値段を言う。高かったのよと恩着せがましい。聞いていて腹がたった。

お金は「ない」と言っていると、「ない」ことばかりがフォーカスされて「ある」ことに気づけなくなる。そうすると不満がどんどんたまっていくから気をつけてね。数年前に宇宙の法則を学んだ時、講師にそう言われた。

「ない」ことにではなく、「ある」ことにフォーカスして感謝すること。

お金がないわけがない。外を歩ける服を着て、朝昼晩とご飯を食べているなら、お金は「ある」のだ。なのに「ない」と思い込む。

最近、夫に「ジャム買って。いちごジャムがいい」と言われてイラっとして「うちはお金がないんだよ?自分で買って」と言ってしまった。あんなにイヤだったのに、母と同じことを言っている自分にゾッとした。

そういえば、魚屋でお刺身を買った時も「これ、〇〇円もしたんだから、味わって食べてよ」と恩着せがましく言ったことを思い出した。夫は「えー、そんなに高いの買ってくれて、いいの?食べていいの?」と素直に喜ぶ。

恩着せがましくお金のことを言われて、ムカついていちいち反応した私と、気にしない夫。この差って人間力の差なんだろうな。

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