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嫌だなと思うこと

人は死ぬ
分かりきっている運命であり、不変のもの
抗う気はないけれど
嫌だなとは思うんですね。

友達とLINEしてて
物分りの良くない子が混じってるもんですから、まあ素っ頓狂な返事をしますよね。
それに「その方法だと私は駅の駐輪場を使うからどの道お金かかるし、なんなら駐輪場の管理してる人と仲がいいから時間を取られるかも───」

そんな風に考えていたところで、ふと、嫌だなと思ってしまった。
相手が人間だからではありません。

私が故郷を去らねばならなかった時
心がバラバラに千切れてしまうちょっと前に
駐輪場からちょっと出てきて飲み物を買いに来ていた人が居たのです。
シルバー雇用の人材が集まるところです。皆さんお歳を召しています。私が大学生の頃から働いてるから、パッと見で顔が割れるほどなのです。

相変わらず、おっ、嬢ちゃん久しぶりやな、何しに行くん?と世間話をしてくれます。
まさか家出ですとも言えず、友人と遊ぶんですと返します。
そうかー寒いのになぁ~暖かくしていくんやで。と言ってくれます。(1月です)
無難にありがとうございますと返しましたが、なんかいつもなら「じゃあ戻るから~」って言うものなのに、動く気がないみたい。
乗車するものが来るまで話をして、乗ったあとは行ってらっしゃいと手を振ってくれました。

私の様子がおかしいと、気付いたかは分かりません。
でも、何も言わず時間いっぱい側にいて、行ってらっしゃいと手を振る人が居る。

そんな人達がいるから
私はこの土地を深く愛している。

だからこそ
そんなささやかな優しさをくれた人達が『居なくなる』こと、耐えられないかもしれないと。

高校の頃、既に60は過ぎてるよな70かなみたいな恩師がいました。さすがにもう生きてても教師だった頃と同じとはいきません。
何人かは恩師が死んだとも聞きました。
そう、時は流れています。人は老いていくのです。

「元気でな。」

最後に聞いたこの言葉が、何を意味したのか、私には分かりません。
でも彼らは高齢者です。私より死に近い場所に居ます。

わたしにやさしくしてくれたひとばかり
先に逝ってしまう。
わたしをきずつけたひとばかり
ふてぶてしく生きていく。

嫌だなぁ。

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