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映画FGO キャメロットの感想

おはようございます。6月19日の日記と、映画の感想。
noteでは映画の感想も随時記録したいと思う。映画の感想や評価付けはFirmarksというアプリで記録しているが、こちらではもっと個人的な感想を拙い日本語でぶちまけていく、つもりだ。

さて、今回観に行った映画は、トレンド占拠で有名なアプリゲーム、『Fate/Grand Order』の一部ストーリーを映像化した、
『劇場版Fate/Grand Order-神聖円卓領域キャメロット-
 Paradin; Agateram』

だ。タイトルが長くなってしまうと、初見の人からすると気取りやがってとなるかもしれない。まあ、そもそもこの映画はだいぶ一見さんお断りだった。

たまに映像化や舞台化されるときに「これ全部の話じゃないよね?」「どこのどういう話なの?」となりがちで、その点は運営サイドが順を追って別媒体化しなかったのが悪いと思うが、一応簡潔に説明したい。
Fate/Grand Orderアプリのストーリーは

プロローグ
第1部
・第一特異点
・第二特異点
・第三特異点
・第四特異点
・第五特異点
・第六特異点←この章のシナリオが今回、前後編で映画化
・第七特異点←2019年10月にアニメ『絶対魔獣戦線バビロニア』が放映
・終局特異点←2021年7月30日に映画放映予定
第1.5部
亜種特異点Ⅰ、亜種特異点Ⅱ、亜種特異点Ⅲ、亜種特異点Ⅳ、
亜種特異点 深海電脳楽土SE.RA.PH etc.
第2部
・第一の異聞帯~(2021年6月現在では)第六の異聞帯前編

といった構成になっている。第1部では人類の過去の歴史が改変され、未来がない状態へと人間の歴史が”焼却”されたものを修正するために奔走するストーリーとなっており、第2部からは「もしもありえたかもしれない世界線」、枝分かれした平行世界の歴史を”伐採”するストーリーとなっている。1.5部では第2部にも繋がる要素の導入の話や、第1部の残滓の話などが組み込まれている。
一応大方コミカライズはされているが、別媒体化されていない章も存在している中、Fateシリーズのメインライターが担当しており人気もある章のみが映像化を許された。(しかも7章→6章→終章と順を追っていない)第1部の中でのクライマックスに当たる部分なので当然全体としても盛り上がるポイントなので見どころや人気もあり、「to be Continue」などと謎が多いまま終わることも少ないので収益が見込めるのは確かだが、何も知らない人からすると「あー、熱狂的すぎるゲームの映画だけど途中までストーリー知らないとわからないんだねえ」である。まあ、これは某鬼を滅する映画にも言えることだ。

さて、ここからは映画本編の感想になり、完全に作品を語るオタクになるため、興味のない方は飛ばしていただいて構わない。ネタバレをある程度含む部分もあるので、これから見に行くという人は注意。

ゲームプレイ済みでストーリーが頭にある状態で、2020年12月に公開された、第六章映画の前編を見に行ったが、その当時に書いたFirmarksの評価はこうだ。

☆2.0
ゲーム既プレイ+好きな章であるという補正で2.0。補正がなければ1以下だったかもしれない。

悪かった点
・元々のシナリオが長いため、前後編に分ける時点でかなり巻きになることは予想していたが、それ以前に描写や台詞が少なすぎており大幅に端折られている。
・公式サイトでは初見でも分かりやすいようにと説明されているが、原作を知っている自分でさえ、"語られるべきだと思う""重要なシーンなのでフォーカスすべき"と思う所が、全て流されている。
・風景描写、情景描写にリソースや尺を使いすぎている。前編は動きが少ないとはいえ、キャラクターの出るシーンはアップが多かったり使い回しのカットがあったりするところを見ると、雑に処理しているようにか感じられない。
・正直、一部では不評とされているバビロニアアニメの方が格段にクオリティは高かった。好きな章であるために非常に残念である。
・貴重な戦闘シーンでさえ尺を割かず、序盤のガウェインの宝具があっさりしすぎていて全く威圧感を残さなかった。対してアーラシュの宝具シーンは「どうせこれが見たいんでしょう?」と言わんばかりの冗長さであった。
・ゲーム内外であまり出番がないキャラが唯一輝く章(だと思い込んでいる)からといって、他の主要キャラより出番が異常に多い、割には脈絡もない意味深な台詞しか言わない。

個人的にまだ評価できる点
・キャラクターの作画は好みである。
・舞台が砂漠であり、全体として殺伐とした内容なため、口数を少なくするなどシリアスを崩さないように努力してそうだと思えた。(その割にはユーモアを捩じ込もうとしていたり、どうしたいのかが全くわからない)


完全にゲームプレイ済みである前提の映画。 さらにプレイ勢からしても肝心な所が端折られていたりと、監督と脚本の至らなさが酷い。後編が少し空いてから公開されることも考慮して纏めるべきだった。

恐らく、鑑賞前に原作を読み返した方がまだ楽しめるかもしれない。

流し見でも分かる程度には酷評した。書いてある通り、筆者は第1部では6章が一番好きなのだ。荘厳で、無慈悲で、残酷、それでいて清廉潔白。ゲーム内でシナリオは何度か読み返したくらい好きだ。(1回シナリオ読むだけでも数時間はかかる)
話の流れ的に、起承転結を前後編に分けると、前編は起・承のみとなり当然話は薄くなってしまうのだが、それだけの問題ではなかった。

散々各所で言われているが、少しの戦闘シーンを除けば、作画はシンプルを超えて手抜きとしか言えない部分が目立ち、既プレイ前提としても説明が足りていなさすぎる。
十字軍の遠征があった時代、エルサレムの土地を舞台とした中で何故かエジプト王朝とアーサー王伝説に語られるキャメロット城が出現している、という異次元を、まず説明されるべき、理解・解明していくべきところが、全く抜けている。十字軍遠征が人類史でどれほどのファクターとなっているかは世界史を知らなければわからない。物語の主軸なるアーサー王伝説も、知っている前提での描写ばかりで、ランスロット卿がアーサー王の妻と恋に落ちたために内部分裂が起きてモードレット卿の反逆によりアーサー王が失墜する、などの話は所謂オタクでは常識かもしれないが普通は知らない話だ。

そういうわけで語りの少なさと手抜き映像に対して酷く落胆し、当時一緒に見に行ったFGOも世界史もアーサー王伝説も知らない友人には苦笑いをさせてしまったりなどもあって、後編には不安しかなかった。期待も薄かった。それでも一度観た手前、後編も観て振り返った感想を述べるのが筋だろうと思い、公開を待っていた。
すると、予告映像だけでも相当な気合の入れようが見て取れる上、公開後の反響も「最高だった」「円卓の騎士全員が主人公だった」「涙が止まらなかった」と賛辞がちらほら散見された。
たまたま劇場来場者特典がちょっと欲しい週だったので、土曜日に鑑賞した。

劇場ポスター

来場者特典のイラスト入りポストカードとラバスト 

Firmarksへ投稿したレビューは以下の通りだ。

☆4.2
前編鑑賞済み。

良かった点
・短い時間の中でメインの円卓の騎士たちそれぞれにスポットを当てており、作画も演出も演技も最大限のものを魅せてくれた
・ゲーム本編の中では描かれていなかった心象風景や、あやふやだった戦闘描写がしっかり描かれていた
・原作中ではシステム上、主人公がほとんど戦闘していたところを、キャラクター各々の立場や役割を持って、ある意味分担して戦闘するように持っていっており、良い改変がなされていた

惜しい点
・前編同様、やや駆け足にならざるを得なかった(かといって3編構成だと冗長だっただろうが…)
・シーン毎に作画の違いが少し出ていたのでやや気になった


公開当初に前編を観た時は、作画も尺の使い方もあまりの出来に、好きな章なのに酷評せざるを得なかったので、正直後編は期待よりも不安の方がかなり大きかった。
本予告が公開された時はかなり印象が覆ったので、後編もめげずに見届けようという気持ちで鑑賞したが、大変良かったし涙腺が緩むような場面もあった。
円盤が出たら購入したい。

鑑賞直後の筆者の心境は語彙力を失っており、見たかったモノ、シーン、良い改変、あると嬉しい回想描写や心象風景、そういったものが詰め込まれていて、短い時間の中でもギリギリまで丁寧に描こうという姿勢が、アングルやカメラワークなどに出ていたりと、感心や感嘆、感動が一気に浴びせられていた。他のレビューの中には、「回想をちょいちょい挟むのでスピード感やテンポ感が損なわれて気になることはある」との意見もあり、確かに思えばそうだったなと感じなくもない。

脚本やバランスといった点からだと全編通してあまり褒められたものではなかっただろうが、(特に後編に関しては)それらを気にさせない細やかな描写・演技が際立っており、浅からず深すぎずに、全ての登場人物が如何なる理由で挑んでいるかが明確になっていて、感情のぶつかり合いを全力で見せてくれたので、ファンからしてみると感涙に噎ぶだろう。
(後編を振り返って思うが、やはりこれはファンムービーの域でしかないとは思うので、映画論として評するのはナンセンスだろうと、個人的には結論づける)

前編が大コケしてしまったのは、ストーリー上”しょうがない”としか言えない。元々後半に詰め込まれているシナリオだったのだから。どのようにプロモーションして、どう内容を弄れば良くなったのか。「後編ありき」として宣伝するか、もういっぺんに放映するか(3時間強になるか?)がベストなのかなあ。作画が手抜きだったのは事実であり、後編も全力を出していたとはいえ少し気になる部分はあったので、全体的に丁寧に作業してほしかったかもしれない。どうせゲームストーリーの順番ガン無視で映像制作しているのだから。

さて、ところで1日置いて振り返って気づいた、明らかに映像的におかしな点。余談。鑑賞済みの方向けの独り言。
・アバンタイトルや回想で多々流れていたベディヴィエール卿が剣を湖に変換するシーンはアーサー王伝説に沿ったものだと思うのだが、隻腕の騎士にも関わらず両手で立ち振る舞っているのはおかしいのでは?というレビューを見た。調べたところ、隻腕とされているのだが、湖に聖剣を返す絵はどれも両腕が描かれているので、義手の銀腕はマーリンの魔術とは別に、生前から持ち得ていたものだろう。
・特異点でのトリスタン卿は王が聖断されたときに両目を潰しており、映画中でもその描写はあったにもかかわらず、呪腕のハサン・静謐のハサンとの戦闘では一瞬目を開くシーンがあった。これは大規模な作画ミスなのか、それともサーヴァントの身であるので、決戦の前に潰した目も癒やしていたのか。
・それと、空想樹を想起させるものがありましたね。最後のシーンの玉座が樹の形をしているのも、空想樹をモチーフにしたのか、アヴァロンの森をイメージさせるものとしてなのか。少し気になりますね。

とりあえず、良かったです。よく動くし声優の演技も良いし劇伴もとても良い使い方をしているので、劇場で見る価値はあるかと思います。
それでは今日はこの辺で。

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