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銀行がコンフォートゾーンから抜け出すための方法とは


00.はじめに

2020年1月から「クラウドローン」という融資のプラットフォームを展開させていただいています。
ローンチ以降、参画金融機関は徐々に数が増え、担当者皆さまのご協力のもと、2023年5月には30もの参画数の見込みです。

最近でも、参画準備中の担当者も含めると、週に1・2回はディスカッションをさせていただくのですが、あらゆる課題感を共有いただきます。
特に対面される担当の方は、私と同じ40代前後の方が多く、今後地域金融機関の重役を担っていく皆さんが、普段から多忙な中、コンフォートゾーンから抜け出すことを日々真剣に考えておられます。
その課題感と、私なりに考えられる解決につながるシナリオを、大変おこがましい事を重々承知のうえ、いくつか紹介させていただけたらと思います。
(※以下は、あくまでも担当者と議論をさせていただく中で感じた個人的見解であり、決して批判している内容でないことはご理解いただけたらと思います。)

01.地域へ貢献するという本質

皆さんは、銀行等の金融機関がどのような経営理念を掲げているのか、ご覧になったことはありますでしょうか。
ほぼ全てと言っていいほど、「地域社会への貢献」という理念で、「総合力の強化・人的資本経営の実践」と記載されています。
「質の高いサービス、、、」
「健全な利益の適正な還元、、、」
と、パーパスそのものが記載されていることが殆どで、特に消費者には、金融サービス・商品との関連性が具体的に伝わっていない。ことが課題かと考えています。
法人については、事業運転資金の貸付や事業承継、資産売却やビジネスマッチングや、人材の提案など、多角的なサポートが広がりつつあります。
一方で、個人には預金商品・融資・投資信託や保険商品が存在しますが、この商品の中の何が貢献されているか、実感のない方が殆どではないでしょうか。
例えば、住宅ローンだと、取引のある銀行のとなりの銀行にも同じような商品があります。金利以外の差別化を構築することが、非常に難しい領域がこの金融商品なのです。

02.具体的行動の取捨選択

銀行業務をされている皆さん全員と言っていいほど、多忙を極めています。支店では窓口業務・渉外業務、本部でも企画やマーケ、DX化など多忙で基本的に人材が不足しています。
そこに経営統合が進んでいたりすると、少なくとも2年以上は新しい動きは進められません。

また、地方銀行には経営者も含め、プロパー出身の方が多く、ITリテラシが必ずしも高い方が多い業界ではありません。さらに、他金融機関との情報交換が殆ど行われないため、新しい企画を進めるにしても、手段の取捨選択するまでの検討期間と優先順位が一つ下がるだけで、相当な時間を要してしまう。。そんな状況が引き続き続くことは不可避であると考えています。
元銀行員であった私からしても、DX推進や新しい事業提携を推進するのは、担当者からすると企画を推進するための弛まぬ努力があることを、なんとか理解いただけると嬉しいです。

一方で、各金融機関でできることも限界があることは事実です。
自行でのUXの強化だけでは、差別化を解消されたとは言えません。消費者が知らないことのハードルの高さをクリアして初めてパーパスを達成することができると考えています。

03.マクロ環境はさらに厳しい

残念ながら少子化や金融緩和縮小など、金融業界においては、厳しい状況がこれからも続きます。
収益ポイントである顧客自体が減っていることと、金利以外の差別化が厳しい状況です。
住宅ローンではすでに実質マイナス金利になっている商品が出ていることを報道されましたが、マイカーや教育などの証貸でも収益率が低いのが現状です。

このように、預金と融資の「利ざや」で稼ぐビジネスモデルに崩れが出始めると、公的資金を注入したとしても、根本的解決に繋げられないことも今後もさらに顕在化してくることが想定されます。

本来の金融に関わる業務に就けないとなると、銀行員としてのプライドやアイデンティティを維持することも難しくなり、さらに優秀な人材確保が難しくなり、負のスパイラルから抜け出すことも容易でなくなります。


04.負のスパイラルから抜け出す方法-その1

では、どのような手段で生き残り(差別化)を図っていくか。結論としては、圧倒的に人が集まるプラットフォームやプロダクトと連携させることが解決になるかと考えています。

先週は、アップルにゴールドマンサックスが貯蓄考査の提供や管理を担うリリースがされました。
アップルはすでに決済事業やBNPLを展開していた中に、なんと金利が4.15%の預金サービスもリリースすることが話題になりました。
これは一般的にBaaSと呼ばれる業態で、アップル商圏の中に、ゴールドマンの仕組みが土管化された連携です。
まだ、日本国内で展開される予定は無いため、おそらく他国の出来事と見ている金融機関は多いと思います。

ところが、日本では、上場したことでニュースになっている住信SBIネット銀行や楽天銀行がBaaSとして大手企業との提携が顕著です。

日本では、銀行代理業の要件をクリアすれば、銀行そのものを構築するよりかはハードルは低く、事業会社は独自の金融商品を提供することで、新たな収益モデルを構築し、BaaSを提供する金融機関も、接続しやすい仕組みやIFを提供すれば、新規顧客を開拓することができるようになります。

ネット銀行以外でも、デジタル口座サービスをドコモ×UFJの展開も開始されいて、まだまだ事例は増えると思います。


個人的な予想の域を超えないですが、今後は決済サービスを持つリクルートや、フィナンシャルを子会社にもつトヨタも参画する可能性はあると考えています。

地域では地域の大手事業会社があります。
銀行代理業や割賦販売法など、規制面でクリアしないといけない課題はありますが、クラウドローンをはじめ、独自で連携できる仕組みを用意できれば、疑似的BaaSにより、強い集客力のある企業と連携できることは、そう遠くないかもしれません。

05.負のスパイラルから抜け出す方法-その2

地域の貢献に圧倒的にコミットすることは、金融機関が行える業務範囲のことを考えると、容易ではない部分はありますが、スタートアップとの協業で成功している例はあります。

例えば、ココペリが提供しているビジネスマッチングソリューションのBigAdvanceは導入している金融機関や事例も多く、導入企業も2022年4月時点で72050社と利用が広がっています。

独自でビジネスポータルを展開している伊予銀行では、取引先企業にソフトウェアを中心としたあらゆるソリューションを紹介しています。

人材面でも、人材マッチング企業との連携を行っていたり、ソフトウェアの紹介に、スタートアップとも提携している例も頻出しています。

それぞれ地域企業の課題やニーズを計測・分析できるような人材を確保することができれば、地域に特化させた戦略を構築することが可能になると考えます。
取引先企業の収益を上げるための手段を創造することは、本当は容易ではありません。しかしながら、コミュニケーションを図りつつ、成功事例を生み出し続けることが、地域課題の解決にもつながり、信頼関係が差別化につながります。
さらにそれを仕組み化して、開発し続けることを諦めないことが不可欠と思います。

06.さいごに

金融機関担当者の皆さまへ
クラウドローンでは、個人向け無担保ローンでは、2023年4月現在、唯一無二のエンベデッドレンディングを展開しています。
消費者に認知されづらいローン商品について、事前の保証審査を経由させ効率のよい集客を実現させることができます。

クラウドローンで働いてみたいと思った方へ
クラウドローンは、2023年4月時点でまだ正社員が3人の少数精鋭の企業です。しかしながら、個人向け融資という大きな市場で、銀行や保証会社という大きなステークホルダーから協力をいただきながら、融資について情報格差のない社会を作ることをミッションにしています。

ご関心がお在りでしたら、一度カジュアルにでも面談させてください。
ご連絡をお待ちしております。
https://corp.crowdloan.jp/#contact


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