見出し画像

読書記録(からすまみれ)編

最近、カロリーメイトが「バランス栄養食」だと知った青木です。…そうだよね…か、完全だったら…もっと高いよね…(動揺)

今回は、カラスが出てくる話を中心とした読書記録です。春だし、あてどなしの座長はカラスなんで、たまにはいいよね。



※これら以外にもカラスが題材の書籍はたくさんありますが、今回は【作り話(小説や漫画、童話など)のみ】に絞ってます。最初、写真集も入れたかったのですが書いていたら青木がカラスの肩を持ちすぎていたので、あくまで、物語の中のカラスにしぼりました。いつかそっちも書きたいと思います。

◯「おしゃれなカラス」(1989年、ブティック社)

幼い頃に読んで、当時「…?(何かわからないけどなんか違和感)」が残っていた作品。

読み返して思ったのは、

◯カラスが他の鳥から羽を強引に引っこぬいて集めたわけではない
◯「美しい鳥を決める」大会の、ルール上に「飾り物をしてはいけない」などはない。
◯悩んでいたカラスからカラスは自分の黒さにコンプレックスを抱いており、そのコンプレックスに対して物語の鳥たちもとい審査員の王様も何も言わない。
◯カラスを認めた上で「ルール違反だ」と群衆に晒し上げた状態で引きずり下ろす。

…これ、カラス、何も悪くなくね?

ただ、この話だけでなく最近の童話は表現が現代に合わせ変化しているそうです。例えば「カチカチ山」でも、『残酷になるから』とおばあさんはババア汁にならず、怪我だけで済み、たぬきも泥舟に乗ったまま溺死せず、助けられておばあさんと和解する」みたいになったと、マイルドになっているとか…。ババア汁のくだりは、うん、わかる気がします。

これは、カラスの面子のためにも、もとの教訓はどうだったか原作を読まないと思い、読んでみました。

◯「黒丸烏と鳥たち」(『ワイド版岩波文庫211 イソップ寓話集』(2002年6月、中務哲郎訳、株式会社岩波書店))

調べていて知ったことなんですが、「イソップ寓話」そのものは「イソップ(アイソーポス)が作ったであろう寓話」だそうで、いま語られている物語もいくつかの写本、校本などなどから集められたものらしいです。

現代の「おしゃれなからす」にあたる「黒丸烏と鳥たち」を読んだのですが内容はほぼ現代に残っているあらすじどおりでした。

イソップさん、そんなにカラスはお嫌い…?

冗談はさておき、教訓を残す意味合いもあって「このように人間の場合でも、借金をする人は他人の金を手にしている間は一廉の者と思われるけれども、返してしまえば、元の姿を晒すのだ(原文ママ)」(九十四頁より引用)という部分がありました。

お金とか富とか名声はわかります。ただ、【生まれながらだめだったら、努力しても無駄だいっているようなもんじゃないか】と思ったり…。

だからさ、イソップさん、カラス、悪くない。わるくない。

※補足 文学の中のカラスたち

『イソップ寓話集』には他にも烏が出てくる寓話があったのですが、笑いものにされたり、騙されて馬鹿にされたりというような「悪いお手本」とされているのものが多かったです。青木は納得がいかずおこだった不思議に思ったので浅くですが調べてみました。

『文学シンボル事典』(2005年8月、マイケル・ファーバー、株式会社東洋書林)の中で「ワタリガラス(raven)」のイメージはたくさんありました。複数イメージはあるものの、「死肉を貪る(不吉)」「神の使いだったのに嘘ついた(裏切者)」的なニュアンスで描かれた古典作品もあったみたいで価値観やイメージの一種として「カラス=悪者」があったからかなあなんて浅い想像をしてみたり…。

◯「からすのぱんやさん」(1973年9月、かこさとし、偕成社)

幼い頃に読んだ(か、読み聞かせてもらったか?)絵本の一冊。おそらく、こっちのイメージも強くて「からすわるくないじゃん」とひっかかったんじゃないかと大人になって振り返ると思います。

あらためカラスの表情もなんですが、1ページまるまる色んな形のパンが出てくる場面は思い出深く、大人になっても思い出の本を読むのはいいものだなと思いました。

あと、偕成社さんのからすのぱんやさん特設HPを眺めてた時に、このカラスの子どもたちが開いた「からすの●●やさん」シリーズが出ててちょっとうれしかったのと探してまた読んでみようと思います。

◯「フクロウの染め物屋」(昔話)

学生時代に入学して間もなく、レポート課題として宮沢賢治さんの「烏の北斗七星」を読んだ同時期あたりに、「宮沢賢治さんでたしか鳥の染め物屋のはなしあったな」と検索していたら出てきた昔話。

タイトルが思い出せず、設定も似てたのですが「ボクの知ってる話とちがう。からすは西陣織(?)だったか高価な織物っぽいやつにしてっていってたし、その時にオーバーワークのふくろうがブチギレてカラスを墨にぶちこんでた」という、文字で書くとめちゃくちゃな覚え方をしていたのですが、そこから調べなおしたら「林の底」という作品の方でした。ごめんなさい。

※補足2 宮沢賢治の世界のからすたち

学生時代、恩師の研究分野だったこともあり「化石のような膨大な知識量が作品のところどころに詰め込まれている作家さん」という印象がありまして…。全集の索引から調べてみたら多分ここだけでは言葉がたらないのでほんとにかいつまんでご紹介まで…。

『新宮沢賢治語彙事典』(1999年7月、原子朗、東京書籍株式会社)の分類分けが一番わかりやすかったそちらの区分けを参考にすると下記のように分けられるみたいです

①天体に出てくる烏座 →童話「烏の北斗七星」「双子の星」など
②生き物としてのカラス→文語詩「烏百態」など
③そのほかの比喩として→童話「林の底」、詩歌「春と修羅」など

『新宮沢賢治語彙事典』(1999年7月、原子朗、東京書籍株式会社)参照

青木は「気になったり、読む機会があったらその作品だけ読んでみる」という虫食いのような読書をしているので、カラスしばりだとこの中では「烏の北斗七星」と「林の底」しか実際に読んだことがありません。「カラスの北斗七星」しかり、ちょっと別枠で浸るのもありだなと思ったのでいったんさわりだけ備忘録として。「烏百態」はめっちゃ気になる…。

ちなみに、本を漁っていた時に読んだ『宮沢賢治 鳥の世界』(1996年5月、国松俊英、株式会社小学館)も、カラスだけでなく鳥類幅広く書かれていて、「よだかの星」のヨタカの章もあります。あわせてぜひ…。


〇『ポー傑作選Ⅰゴシックホラー編 黒猫』「大鴉」(2022年2月、エドガー・アラン・ポー、株式会社KADOKAWA)

恋人を失った青年のもとに鴉がやってきて、青年のどんな質問にも「Never more(二度とない)」と答える、という詩として書かれた作品。

いいよねぇ( ◜ω◝ )

悪役は悪役だけど、こう、凛とした悪役(?)っぽい側面が、(好みという名の偏見だけど)いいですね( ◜ω◝ )

エドガー・アラン・ポーさん、気になった作品だけいくつか読んだことはあるのですが、「飛び蛙」も青木は好きです。気になった方はぜひ。

◯「カラスのいとし京都めし」(2017年3月、魚田南、株式会社祥伝社)

タイトルにひかれて書店で即買いした漫画。「主人公のカラスが人間の食べ物に心奪われ、人に化けて色んな店を食べ歩きする話」です。誇張じゃないです、本当です。

ところは京都、烏寺。
昔喋るカラスがいたというこの寺に、これまたずいぶん長生きのカラスが一羽おりました。食に焦がれてこのカラス、とうとう人の世界まで降りてきてしまったのです。
正体はカラスにハト…?にちょい枯れ坊主までイケメンたちが食べ尽くす、リアル京都めしシリーズがスタートです!

祥伝社HP(https://www.sun.s-book.net/slib/slib_detail?isbn=9784396791094)より引用

途中からこう食レポと同時にすすむストーリーとか、出てくる料理やお店に対しての登場人物の思い出とか、様々な面で魅力的な漫画です。

巻末にその巻で登場した店舗を含めた「いとし京都めしざっくりMAP」があまして、青木がまだ体調が落ち着いていた時期、某流行り病の前に、主人公・カラスこと烏丸の跡をおって京都旅をしたことがありました。さすがに「まんがのこれを」と直接いうのはと思って、携帯に「どこの店で何食べていたか」「(あわよくば空席でご自由な席どうぞっていわれたら)どのへんに主人公座ってたか」は道中で頭にいれて、お店で携帯とかみずしれっ頼んで心ではしゃぎ尽くして静かに楽しむということやってました。

思い出深いものはたくさんあるのですが、ひとつ選ぶなら、一巻第1話「桜とうなぎと時々よもぎ」に出てくる中村軒のうなぎ茶漬けでしょうか。一番最初に出てきたということと、うなぎの佃煮もいわずもがな、あと、付け合わせのほうだったかうなぎの佃煮だったか、山椒の味のする奴がおいしくて…あれは死ぬ前にもう一度食べたい。(春じゃない季節に行ってしまったのと、旅の初日行ってしまってよもぎ餅と店頭の生菓子を買いそびれてしまったので元気になったらリベンジしたい…)青木、学生時代に演劇部部で役者やってたんで、はつらつがにじみ出ていたこと以外は多分ばれてないと思います。…思いたい。

余談ですが、京都の丸善は「檸檬」の舞台です。コロナ禍前だったので今もやっているか謎ですが、檸檬がおけます。青木は2回檸檬おきました。またいきたい…。

物語において「カラス=悪者」とはかぎらないとだけ。特におしゃれなからすのからすは、とても個人的に、理不尽に一票。イメージもあるのだろうけど、あの物語の中で、からすはわるくない。健気なだけや。

まあ、未来すらないボクらですから。
あてなく好きなことやりましょう、座長。

それではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?