見出し画像

読書記録(善か悪か編)

最近の主食はカロリーメイト(バニラ味とメープル味)、青木です。
あれ、完全栄養食だからさ。健康健康。せーふせーふ。

1月2月が気付いたらいなくなり、そのうち3月もあっという間にさりそうので、「告解室」をもさもさ書いていた時に「あれ読みなおしたいなあ…」と思った本たちをつめこんだ読書記録です。


『昔話法廷』(NHK Eテレ「昔話法廷」編、株式会社金の星社)

NHKの教育番組として放送された番組の書籍です。
いつの日だったかテレビで赤ずきんの回を見て、妙に覚えていた作品。

「赤ずきん」「ヘンゼルとグレーテル」等、古今東西の昔話に対して、登場人物が起こした行動は罪に問われるかどうか、裁判員の視点で考えるというものです。実際に法律監修がされてかなりわかりやすい内容ですが、児童書だがやけに現実の生々しさや登場人物達の人間味があり、ボクは個人的に書籍版も好きでした。

そして、個人的に面白いなあと思ったのははっきりと正解を出さずに終わります。だからといって、弁護側・検察側のどちらでも正しく思えてしまうような主張なので多分子どもだけなく大人が読んでも迷う。ボクは迷った。

『論理的思考力を鍛える33の思考実験』(2017年5月、北村良子、株式会社彩図社)

思考実験の有名どころといえば、「トロッコ問題」が有名どころではないでしょうか。

思考実験を取り扱った本を何種類か読み漁ったのですが、この北村さんが書かれた書籍のいくつかはかみ砕いて書かれているものが多く個人的に読みやすかったです。ありがたい。

この書籍も、トロッコ問題だけでも3種類、そこから臓器くじなどを取り上げたり、少数派と多数派がどうわかれてこういう考え方で決断がわかれたのかヒントもついているので根っこを理解しながら読めます。

はじめて思考実験の本を読まれる方や、ボクのように「ハーバード白熱教室」を読んだけど全くついていけなかっが思考実験は気になってしかないという方におすすめです。

また、思考実験を取り扱った本では「100の思考実験 あなたはどこまで考えられるか」(2012年、ジュリアン・バジーニ、紀伊国屋書店)もおすすめです。とにかくたくさん出てきます。たっぷり大容量、いい響きですね。


『高瀬舟』(森鴎外)/「流人の話」(『翁草』より)


遠い昔に教科書に載っていたのを授業で読んだ記憶があり、その時にグループワークで「裁判員として喜助にどういう処罰にあたるのか考え話しあって発表しなさい」みたいなことをしました。これがのちに「告解室」の投票制度につながったのはまた別の機会に…。

『翁草』の中の「流人の話」は『高瀬舟』の原話といえる古典作品です。
「流人の話」で書籍として掲載されているがうまく見つからなかったため、いくつかネットサイトを渡り歩いて読みました。

「流人の話」は「こんな流人がいたんだよ」の数多の流人のうちの一つみたいに語られ、『高瀬舟』は流人の表情を見て気になって話しかけて…という、より物語的になっていました。

あと、『高瀬舟』にでてくる喜助と「流人の話」に出てくる流人(仮)が、個人的な感想になりますが全然違う印象をうけました。もちろん、『高瀬舟』にしかない部分(登場人物に名前がついていたり、喜助に弟いたり…)があるのですが、「流人の話」の流人(仮)は「いやあ、飯も食えて金ももらえるなんてありがたいよ」みたいな反省の様子を一切感じなかったのに対して、喜助は喜んでいるというよりもはや悟った表情に見えてくる印象でした。

学生の時は「なんか…難しい話だな…( ‘ᾥ’ )」みたいな感想しかでなかったところから考えると…。なんかごめんなさい…。

『地獄変』(芥川龍之介)/「仏絵師良秀」(『宇治拾遺物語』より)

「流人の話」と『高瀬舟』同様、『宇治拾遺物語』の中の「仏絵師良秀」は『地獄変』の原話といえる古典作品です。

これも問題集かなんかでみたか、それとも読んで強烈になんか覚えていました。「こんなくらい表現ばっかの作品書いてたらいけんのやろうか」と思ったら青木の中で思い出す作品のひとつでもあります。

実はね芥川先生の作品の中でも特に好きなんですよね、『地獄変』。いくつか読んだとはいえ、全網羅はしていないので偉そうなことはいえないのですけど、はじめて読んだとき「( ゚д゚)」のような顔をしていたと思います。

だって、焼くんだぜ。人間を。絵のために。絵の素材を用意する殿様もだし、受け入れる娘もだし、絵のためにとち狂った人間しかでてこない作品だなあと青木は思ってます。でも同時に良秀の作品に対する執念とラストの潔さが不覚にもかっこいいと思ったのもありました。

また、「衣着きぬ妻子」「人の書かする仏もおはわしけり」というたった一文からあんなこいゆい登場人物が生み出せるんだなと読み直しと読み比べをして思いました。なんでしょう、「スイカに塩かけると甘く感じる」みたいに「キャラに人間性が交じるとその分狂気が増す」という表現がしっくりきました

また、思い出したのは芥川先生が『闇中問答』のこの部分。

或声 お前の書いたものは独創的だ。
僕 いや、決して独創的ではない。第一誰が独創的だつたのだ? 古今の天
 才の書いたものでもプロトタイプは至る所にある。就中なかんづく僕は度
 たび盗んだ。

青空文庫『闇中問答』(https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/18_14822.html)より引用


有名どころ『羅生門』『鼻』しかり、芥川先生は古典作品を題材にしている作品はいくつかあることを考えると、多分おそらくそれに悩んだこともあったんじゃないかと思える文章だけど、それでもこんな狂気ましましにできるのはやっぱすごい才覚があってこそだったんだなと思います。

犬の餓死(怖い話)

本ではないけれど読書記録を書いていたら思い出した作品(?)。怪談話や人怖話など怖い話の朗読や動画を見ていた時に取り上げていた方がいて知りました。

元の詳細が出てきてはないので、作り話か元ネタがある話かは不明です。
ですが、コスタリカのホンジュラスで実際に「野良犬が餓死していく様子を展示する」という作品が展示会でだされたそうです。背景としてこの土地は野良犬が多く、作者は批判の声に対して「飢えた犬が道端にいても気にしないのに、その犬が展示会場にいると批判をいうのはあなたがたの偽善だろう」と答えたとか…。

展示会のHPも作者の詳細も正確な情報と言い切れるものは見つからなかったので、真実か嘘にリアリティを足したものかはわかりません。ですが、調べる限り、「展示会自体は本当にあって、それに展示された犬を引き取る観衆やラストは作者の返答をもとに作られた脚色の、半事実半創作の話」かと青木は思ってます。

命を題材にする作品は青木の好きなダミアン・ハーストさんはじめ、題材としても古今東西とり扱ってる作品はごまんとあるのですが、【それは生命の冒涜か否か】はわかれますよね。

人間のエゴが怖い。だけど、犠牲になるのが結局犬だけ。そんなお話です。


あとがきのようなもの

2月にだした「告解室」もですし、今まで創作会でもネットに作品を出し始めてからもよくいわれるのは「青木さんの作品って見る人選ぶよね」「褒め言葉として表現がきもい/きつい」とよく言われます。そういうときこう答えます。

ですよねぇ〜(️️️ ´ᾥ` )

否定もしなければ重々承知というか…むしろ、思っていることを素直に言葉にしてくれるほうがボクは「ああ、よんでくれたんやなあ」と思います。昔は「そんなことない!これは立派な表現だ!」みたいな無謀な自信はあったのですが、よりよいものを、よりすごいものを、いろんなものを見るうちに「表現というより、作品に識別カラーがついてるみたいなもんだしなぁ」と思うようになりました。個性が問われる創作物で、断られる理由が個性という、もう笑い話の域を生きてます。

もともと、青木のペンネーム上の名字の由来は青木ヶ原樹海の青木からとったし、葎は雑草なので、極端な話「樹海の雑草」と書けば青木葎になる、もはやそこから暗いのです。

「分かる人にわかれば」というよりも、「自分の中でなんとなしでも焼き付いた様々な作家の作品の背中を追い続けてる」からという方が近いかもしれません。

芸術と狂気は紙一重。でも、そんな人間をつい見てしまう気持ちも、それを作品として残したい気持ちも、結局怖さ恐ろしさは狂気となんらかわらないのだと思います。

それではまた…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?