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狂おしいほど美しいアンの言葉②―――最後に「e」を付けて

But if you call me Anne please call me Anne spelled with an e.
      (L. M. Montgomery. Anne of Green Gables. Standard Ebooks.)

もし、どうしても私のことをアン〈Ann〉と呼ぶのでしたら、
どうか最後に「e」のあるアン〈Anne〉にしてください


〈アンの狂美ポイント〉
憧れの名前で呼んでくれないときは、少し改変した本名で呼んでもらいたい


〈この言葉の背景〉
自分が引き取られる子どもでないことを知ったアンは絶望のどん底の落ちる。マリラ(後の養母)に名前を尋ねられたアンは、本名の「アン」ではなく、お気に入りの架空名「コーデリア」で呼んでほしいと懇願するが、冷淡なマリラは受け付けない。そこでアンは、同じアンでも、「Ann」ではなく、綴りの最後に「e」が付く「Anne」で呼んでほしいとお願いする。


〈周辺の原文〉
“only I like Cordelia better. I’ve always imagined that my name was Cordelia⁠—at least, I always have of late years. When I was young I used to imagine it was Geraldine, but I like Cordelia better now. But if you call me Anne please call me Anne spelled with an e.”
“What difference does it make how it’s spelled?” asked Marilla with another rusty smile as she picked up the teapot.
“Oh, it makes such a difference. It looks so much nicer. When you hear a name pronounced can’t you always see it in your mind, just as if it was printed out? I can; and A-n-n looks dreadful, but A-n-n-e looks so much more distinguished. If you’ll only call me Anne spelled with an e I shall try to reconcile myself to not being called Cordelia.”
“Very well, then, Anne spelled with an e, can you tell us how this mistake came to be made? 
      (L. M. Montgomery. Anne of Green Gables. Standard Ebooks.)

「私は「コーデリア」のほうが(アンより)もっと好きなんです。私の名前がコーデリアだったらって……いつも想像してきたんです。少なくとも、この数年はそう。もっと幼いときは「ジェラルディン」だったけど。もし、どうしても私のことをアン〈Ann〉と呼ぶのでしたら、どうか最後に『e』のあるアン〈Anne〉にしてください」
「その綴り方でどんな違いがあるんだい?」
 マリラはティーポットを手に取りながら、冷え切った笑顔でそう尋ねた。
「大違いよ! eが付いたほうがはるかに素敵でしょ。発音された名前を耳にすると、印刷された文字がパッと頭に浮かんで見えてきませんか。私はそう。「A-n-n」は悲惨だけれど、「A-n-n-e」はとても上品で、それ以上のものがあるの。もし、eの付いたスペルのアンと呼んでくれさえすれば、コーデリアと呼ばれたい自分を諦めます」
「よろしい。それではアン……eの付いたアン、どうしてこのような手違いが生じたのか話してちょうだい。

『赤毛のアン』の物語の舞台となったプリンスエドワード島ではなくて、鎌倉の海です

〈おことわり〉
原文の翻訳は編集部員によるものなので不正確かもしれません。
正しい訳は邦訳の出版物をご参照ください。


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