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狂おしいほど美しいアンの言葉

ご無沙汰しています。「クルトン・カマクラ」編集長の白い犬です。

突然なんですが、編集長のボクは編集部員(飼い主の二人)に向かって、高らかに宣言したんです。「連載を始めます!」って。
もちろん、編集部員の顔が一瞬、引きつりました。もちろん、そんな部員の表情はスルーです。

「クルトン・カマクラ」には新連載が必要なのです!!

では、その連載とは何でしょうか。

連載タイトルは「狂おしいほど美しいアンの言葉」です。

アン?
きっと、皆さんは「だれ?」と思ったと思います。
それが何なのか、今から説明したいと思います。

今から数年前……2020年の冬のことだったと思います。
世界中で新型ウイルスが流行しました。日本社会もたちまちパニックに陥り、「不要不急」の外出の自粛が求められて、人々が家に引きこもっていたときのことです。

そんなとき、私と飼い主たちの計3人はコタツに入ってアニメを熱心に観ていました。

ボクたちはアニメオタクではまったくなく、たまに気になるアニメを見るという程度なのですが、飼い主の一人がたまたまテレビで『赤毛のアン』という昔のアニメ番組の再放送を見かけて、「主人公・アンの“いかれ具合”が俺の心に突き刺さった」ということで、みんなで最初から最後まで一気見をしたのでした。

確かに、アンはいかれていました。完全にいかれていました。

端から端まですべていかれていて、その非常識ぶりの言動を見ていると、アニメであることを忘れて、「こいつ大丈夫かよ」と本気でドキドキしてくるほどです。
アンは、マジでやばいやつでした。

例えば、家の中に置かれた鉢植えの植物について、アンはマリラ(後にアンを引き取る養母)に「名前はなんて言うの?」と尋ねるところです。マリラが植物の名前を教えると、アンは「そうではなくて、この子の名前を教えて」と言いながら、「もし、おばさんが名前ではなくて、いつも『女』と言われたら嫌でしょう。そうだ、この子をボニーと呼ぶのが良いと思う」と言うのでした。

……アン……明らかにどうかしています。

こんなアンの世界にボクたち3人はすっかり引きずり込まれ、この女の子のどうかしている発言やどうかしている行動に一喜一憂するようになっていったのです。いったいどれほどアンの繰り出すとんちんかんな言動にボクたちは気恥ずかしい思いをさせられたことでしょう。アンを見ていると、まったくこちらまで心の底まで気恥ずかしくなってくるのです。

そして毎回、アンが巻き起こす騒動にドキドキ、ハラハラ、恥ずかしい思いをさせられながら、気づけば感動して涙を流して鼻をすすっている自分たちがいるのでした。

アンは狂っています。間違いなくとんちんかんです。

しかし、美しいのです。

その言葉、その空想(妄想)、物事の捉え方、生き方がすべて狂っていて、それでいて濁りが一つもないダイヤモンドのような輝きを放っているのです。

アンをすべて見終わったとき、私たちは気づきました。
アンは、狂っているほどに美しいのだと。

狂おしいほどに美しいアン。

ボクは、そんな狂おしいほどに美しいアンの言葉を集めるようにと
編集部員に命じました。
少しずつ集め、少しずつお伝えできればと存じております。

『赤毛のアン』の物語の舞台となったプリンスエドワード島ではなくて、鎌倉の海です


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