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狂おしいほど美しいアンの言葉①―――コーデリア

please do call me Cordelia. It can’t matter much to you what you call me if I’m only going to be here a little while, can it? 
      (L. M. Montgomery. Anne of Green Gables. Standard Ebooks.)

どうか私のことを「コーデリア」と呼んでいただけないでしょうか。
どうせここには少しの間しかいないんだから。
どんな名前で呼んだって、たいした違いはないでしょ。


〈アンの狂美ポイント〉
少しの間しか付き合わない人なら、憧れの名前で呼んでもらいたい


〈この言葉の背景〉
孤児院から「グリーンゲーブルズ」(屋号)と呼ばれる家にやってきたアン。しかし、自分が引き取られる子ども(家主たちは男の子を希望)ではなかったと知り、絶望のどん底に落ちる。マリラ(後にアンを引き取り養母となる)はアンに名前を尋ねる。アンは絶望の淵に立たされながらも、せめて憧れの名前「コーデリア」で自分を呼んでほしいと切望する。しかし、冷淡なマリラは受け付けない。それでもアンは食い下がり、上記の言葉を発した。


〈周辺の原文〉
“Well, don’t cry any more. We’re not going to turn you out-of-doors tonight. You’ll have to stay here until we investigate this affair. What’s your name?”
The child hesitated for a moment.
“Will you please call me Cordelia?” she said eagerly.
“Call you Cordelia! Is that your name?”
“No-o-o, it’s not exactly my name, but I would love to be called Cordelia. It’s such a perfectly elegant name.”
“I don’t know what on earth you mean. If Cordelia isn’t your name, what is?”
“Anne Shirley,” reluctantly faltered forth the owner of that name, “but oh, please do call me Cordelia. It can’t matter much to you what you call me if I’m only going to be here a little while, can it? And Anne is such an unromantic name.”
“Unromantic fiddlesticks!” said the unsympathetic Marilla.
      (L. M. Montgomery. Anne of Green Gables. Standard Ebooks.)

「さぁ、もう泣かないの。今夜すぐにお前さんをドアの外に出すなんてことはしないし、事の顛末がはっきりするまでここにいるしかないだろうからね。お前さん、名前はなんていうんだい?」
その子は少しためらってから熱望するように言った。
「コーデリアと呼んでもらえないでしょうか?」
「コーデリアと呼んでほしいって! それはお前さんの名前なのかい?」
「いいえ……正確には、それは私の名前ではないです。でも、コーデリアと呼ばれるのがたまらなく好きなんです。だってその名は完璧にエレガントでしょ」
「あんたが何を言っているのか私にはさっぱりわからないよ。コーデリアがお前さんの名前でないのだとしたら、あんたの名前は何だい?」
「アン・シャーリー」と、その名の持ち主はしぶしぶと答えた。
「でも、どうか私のことをコーデリアと呼んでいただけないでしょうか。どうせここには少しの間しかいなんだたら、どんな名前で私を呼んでもたいした違いはないでしょ? アンという名前はたいしてロマンティックではないんですもの」
「ロマンティックではないって! ばかばかしい」とマリラは無慈悲に言った。

『赤毛のアン』の物語の舞台となったプリンスエドワード島ではなくて、鎌倉の海です

〈おことわり〉
原文の翻訳は編集部員によるものなので不正確かもしれません。
正しい訳は邦訳の出版物をご参照ください。


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