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エッセイ

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#日常

つながる道、つながる街、つながる私

緊急事態宣言下になってからのもっぱらの趣味は、歩くことだ。 家から駅までの道を、歩く。駅から会社までの道を、歩く。通勤の駅から一駅分離れた駅まで、歩く。正直ちょっと疲れたりもする。けれど、不思議と心地よい気持ちになる。 歩く時間を確保するために、少し早い時間に起きる。7時台の街並みは、車通りも少なく、少し静かだ。朝日が徐々に上がっていくのを、体の表面で浴びる日の角度で文字通り体感していく。少し汗をかくと気持ちがいい。足は疲れているはずなのに、なぜか軽く感じてくる。 歩く

ダニに教わった、熱中する趣味の見つけ方

「ちょっと布団で寝られそうにないから、部屋がきれいになったらまたくるね」 彼女と半同棲生活をはじめて8ヶ月、今まで何不自由なく過ごしてきた。このままなんとなく過ごしていれば、ずっと一緒に過ごすことになるのだろうと思っていた。その矢先、事件が起きた。この話は、目に見えない不安との戦いを通して得た「熱中」に関する人生訓である。 きっかけは、彼女が家に泊まった時、足が痒くて寝られないと言われた時である。 とても嫌な予感がした。家の掃除は割と丁寧にしている。6畳一間の部屋には、

ボディソープの切れ端を捨てたとき -日々の積み重ねと向き合う-

毎朝、シャワーを浴びてから仕事に行く支度を始める。その日、ボディソープに手を伸ばすと、ちょうどあと2〜3回使うと無くなってしまう程度の量しかないことに気づいた。詰め替え用パックを買っていたので、お風呂場で先端を切って開ける。切った先端のゴミを洗面台に置き、ボトルに詰め替えて一安心をする。さあ、仕事に行こう。 仕事から帰ってくる。夕飯を作らなきゃと思いつつ、結構疲れたのでまずはお風呂に入ることにする。シャワーをひねると、朝に詰め替えたパックの先端の切れ端が洗面台に置きっぱなし