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エッセイ

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#大学

経験という名の物差し #自分にとって大切なこと

大学受験の合否が発表される時期になると、塾の講師をしていた時のことを思い出す。 学生時代にアルバイトをしていた塾は「できない」を「できる」ようにするがコンセプトの塾だった。入塾者の多くは、勉強が苦手と思っている学生が多く在籍していた。 塾の講師を始めてから、先輩にカリキュラムの作り方を学び、学習計画を作成する。作成した計画をもとに、親と本人と面談し、勉強のスケジュールを一緒に立てていく。 だが、計画を立てるところまではうまくいくのだが、実行になると話が変わってくる。宿題

3メートル先を照らしながら歩いていく

私と「はたらく」の初めての出会いは、1メートル四方の試着室の中だった。 社会に出て働きたいなんて一度も思ったことはなかったが、大学3年生の時に、ついにリクルートスーツを買った。 正確には親に買ってもらった。これから就職活動をする私のために、正月の休みを使ってスーツを選んでもらった。 「試着してみなよ」 と言う親の声に、全く気乗りしない声で面倒臭そうに答えて試着室へ向かう。 「サイズが合わなければお声がけください! 」 店員が餌を見つけたかのような声で、試着室のカー