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百合漫画寸評014 - 雨夜の月

近況

 そういや最近新作百合漫画あんまキャッチできてないなぁと思っている間に女幹部月ドナ僕に無断で完結してしまい、悲しみに暮れている。
 ここ、くだらない能書きとかじゃなくてこういう使い方でいいよね。

ほんへ

作:くずしろ
既刊:3巻
連載:コミックDAYS

あらすじ

高校入学前、ピアノレッスンに向かっていた金田一咲希は、見知らぬ少女とぶつかってしまう。少女は終始無言であった。
やがて咲希は高校でその少女が同級生・及川奏音である事と――彼女が聴覚に障害を抱えていたことを知る。
障害があるからと周囲から距離を置いている奏音に対し、咲希が取る行動は――。

作中環境

基本環境:高校生
百合要素:格差百合
辛い要素:B+

作品に漂う緊張感とどう向き合うか

 障害が第二のテーマであるからにして、重い話に終始せざるを得ないだろうという気持ちと、それを"読める話"に落とし込もうという作者の努力が見える。
 当たり障りのないお為ごかしより、フィクションに振ってくれた方がお互いのためではなかろうか(ここでそういう論に向き合うこと自体が作者の本意ではないのだろうし)。

百合漫画に必要な精神。書にしたためて毎朝新宿駅前で朗読しろ

基本的要素はしっかりと

 とまぁ、あれこれ御託を並べることで「やることはやった」感を出したので本筋に戻ることにしよう。
 二人の関係は近いはずなのに無限大の深さの溝があって(この深さは作品によりけりだが今回は格別に深い)、その間をどうにか埋めようとさえしていればそれはだいたい百合である。
 作者に違うと言われようとも百合である。

二人の世界がすぐに始まる

 咲希は割と最初に一般(悪い意味で)の人との縁を撫で斬りにして奏音の方へ突っ込んでいく。素養がありすぎる
 なので俗世との隔たりで苦しむような要素は(無いとは言わないが)不連続かつ低頻度になっていく(互いの性格もある)。
 そういう(寓話的)作品ではない、という意思表示なのかもしれない。

あとがき

こういうのは色々な意味で書くの難しいです。
それではまた。

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