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深夜特急4 シルクロード 第12章 ペルシャの風 シルクロードⅢ

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磯崎夫妻 なんとかという名のホテル コモドアホテル 欠食児童風 偶像崇拝の拒否 コーランの声と人間は動物の一部 久しぶりのご馳走で胃が恐慌 公衆電話 都会のテヘラン ズール・ハーネ 芝居小屋 予定の失敗をする鎖の男 都会の匂いに飽き始める 貴金属はお金のない旅人には縁がない ペルシア人の無愛想さ 砂漠を見たい 女体を思わせるコカコーラの瓶 値段交渉が楽しくなってきた バス・ボーイ 飛行機と同じ意味の長距離バス 無料の温水シャワー 有頂天 温泉気分 4、5歳の兄妹の写真  温かい気持ち カメラが久しぶりに役に立った アドレス交換と必要な錯覚 バツの悪いありがとう 活字が恋しくなる 本の交換 廃墟ペルセポリス ここからどこへ 見捨てた? 行きずりの人 胸の奥が疼く 置き去り 世界の半分 王のモスク アリとフォアマン アリも老いた イスファハンは老人が多い 古い懐中時計 時計屋の演技の怒り 値段交渉での勝ち ペルシア商人の商才 旅という長いトンネル 真っ当なものと折り合うことは不可能なのか 老いの哲学 

旅の軌跡
香港→マカオ→香港→バンコク→チュンポーン→ソンクラー→ハジャイ→バターワース→ペナン→バターワース→クアラルンプール→マラッカ→ジョホールバル→シンガポール→カルカッタ→キウル→ガヤ→ブッダガヤ→パトナ→ラクソール→ビルガンジ→カトマンズ→ビルガンジ→ラクソール→パトナ→ベナレス→サトナ→カジュラホ→ジャンシー→デリー→アムリトサル→ラホール→ラワルピンディ→タクシラ→ペシャワール→カイバル峠→ジャララバード→カブール→カンダハル→ヘラート→イスラムカラー→カルカレフ→テヘラン→シラーズ→ペルセポリス→イスファハン

テヘランからのヒッピーバスにはポリスも同乗しているのだが、
長旅のおかげなのかバスの中に一体感が生まれ、ポリスも仲間のようになってきた。
実社会でも同じで、役職、バックグランドなど異なる人たちでも、
長い間一緒にいると、不思議と親近感が湧いてくる。

テヘランからシラーズには別のバスに乗って、
その中級以上のサービスに驚くのだが、
今までが今までだったので、全てが豪華に見えたようだ。
人の感動は過去の体験と比較することから来るのだと思う。

主人公の旅は東から西への移動なので、
つまりそれはアジアかヨーロッパ方面の移動ということで、
それは物価の上昇を意味する。
この章では少しずつ物価の上昇が見て取れるシーンがいくつかあった。

シラーズで見つけた宿に感動する主人公。
それは温水シャワーが無料だということだ。
私たち日本人は普段からシャワーは温水だと思っているが、
当時のアジアでは温水は貴重で、基本水。
冬はとてもではないが、シャワーは寒くてできず、体を拭くだけ。
そこの宿で体調不良の外国人と出会い、心配を掛けるが、
おせっかいと受け取れられ、調子の良さを恥じる場面のあるが、これは温度差だろう。
何度かその体調不良の人にブドウをあげていて、
体調が回復した暁にはアドレス交換までするようになった。
この時は体調回復した青年の方がバツが悪そうに微笑んで、仲良くしようとしきてた。

シラーズから次に行こうと決めたイスファハン。
回復した青年は独り言のように一緒に行こうかなと呟いたが、
主人公は聞き流して、一人でイスファハンへ行く。
そのときに、助けを求めていた青年を見捨ててきたのかもしれないと思い、
胸の奥が疼くような複雑な気持ちを持つ。

イスファハンについた主人公はこの大都会に老人が多いことに気づく。
そしていつものように町を散策し、廟などのランドマークを見て、
宿を探しバザールに行く。

バザールで一つの懐中時計に目を奪われる主人公。
老人の時計店主人はその時計を2000で売ろうとする。
主人公は目標を1000設定したが、まずは500からスタートした。

自分も価格交渉は面倒ではあるもののエンターテインメントとして
好きな方で楽しく話しかけるがこの話では半日以上粘るというのだから、すごい。
時計も一点ものになるとどうしても欲しくなるのは自分も同じだ。
最終的には主人公が勝ったものの、
時間が経ち、ふと強欲になりすぎたかと反省する場面がある。
これも分かる。
定価がない以上決まった値段が決まった値段だ。原価はわからない。
売り手は売った瞬間にそれで決済になり、もう後には戻れない。
そこに商人の商才とプライドが見え隠れしていて
心の機微が面白い。

最後に
ペルシア逸話集から「若いうちは若者らしく 年を取ったら年寄りらしくせよ」

深い。


深夜特急5  トルコ・ギリシャ・地中海 第13章 使者として トルコ に続く

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