誰も提示しないスポーツ自転車の魅力

最近スポーツ自転車に乗った。たいていの人はスピード感が気持ちいいとか持続力があってどこまでもいける距離の達成感だとかを魅力に上げそうだが、僕は違う。 

僕が魅力に上げたいのは細い車輪から感じる道のちょっとしたデコボコの楽しみ。

もう一つは人間の持っている自覚しない生物的エネルギーがよくわかることだ。 

普段通っている道の路面などはあまり小さな石などが落ちていても気に留めない。

しかし車輪の細いクロスバイクやロードバイクに乗ると、路面の不良による衝撃がダイレクトに伝わってきて「その道の個性」のようなものを感じる瞬間が多くある。 

「この新しい道路、きれいに舗装されていると思ったが表面は割とガタガタだな」とか、「今、舗装道路の継ぎ目に乗り上げたな」とかそういったものだ。

この日常にして、非日常的な感覚が楽しめるのが、スポーツバイクの一番の魅力だと思う。 

あともう一つの魅力について語ると「人は普段から歩いているが、どれだけの力で歩いているのか」ということはよくわからない。

ちょっとした段差のエネルギーロスはなかなかしっかり体感できないし、そういった細かいロスを含めればどれだけのエネルギーを移動時に移動以外の目的に消費しているのか、などだ。

これもロードバイク、クロスバイクに類する乗り物に乗ると分かりやすくなる。 なぜなら体に来る細かい衝撃のほとんどはバイクに座っているだけでフレームがほとんどチャラにしてくれるからだ。 

更に言えば、僕らは足という生きた部品を活用しているのだが、これも速度という意味ではタイヤという部品が足の代替をする。 

つまり足から歩くという目的を除外し、タイヤと自転車という文明に頼って単純に力だけを使って移動すると、どうなるか、といった感覚だ。

実際は全身の筋肉をつかっているわけだが。

こうなると普段から僕らが何気なく過小評価している人間の肉体的能力というものがよくわかるようになってくる。 

足という生体部品のコストの高さがうかがえることだろう。 

生命の力をできるだけわかりやすく感じることができる。 

それが僕にとってのスポーツ自転車の魅力だ



  


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