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【短編】雪

 いつから、雪にワクワクしなくなるのだろう。僕の知る大人は、雪の予報を見ても顔をしかめるのばかりだ。たった今車のワイパーを上げに外へ出たパパも、さっきから明日履くブーツを探しているママも、どこか困ったような顔をしている。どうして、「積もらなければいい」なんて言うんだろう。あの真っ白い世界が待ち遠しくないのだろうか。おかしなパパとママを横目に、僕は僕のとっておきのブーツと手袋を引っ張り出して、歯磨きもそこそこに、僕の部屋の布団に潜り込んだ。白く輝く校庭で、何をして遊ぼうか考えていたら、いつのまにか寝てしまっていた。


 19時のニュースは、積雪の予報を伝えている。この地方では3年振りのことだ。父さんは明日通勤できるように車のワイパーをあげに行った。母さんは仕事で履くブーツを探している。僕は間近に迫った期末考査の勉強をしなければならないので、歯磨きもそこそこに自室の机に向かった。

 一通りの勉強を終え、時計をみると22時をさしていた。ふと窓の外に目を向けると、ぼたん雪と形容できるような大粒の雪が降っていた。この分なら積もってしまうだろう。明日の数学は期末考査の対策になっている。明朝の登校のことを考えて陰鬱な気分になった僕は、朝の6時に目覚ましをかけ、布団に潜り込んだ。

いつから、雪にワクワクしなくなってしまったのだろう。

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