見出し画像

02. 裁判傍聴記✐-覚醒剤の使用-


この記事は、私が裁判傍聴した時のことを、記録するために書いています。


私が記憶に残った3つの裁判について、書き記したいと思います。
1つ目は、私が人生で初めて傍聴した裁判です。


File1.覚醒剤取締法違反


全ての法廷には2つの扉があり、傍聴人入口と書かれた扉から法廷に入りました。
すでに数人の傍聴人が席に座っていて、私も周りの人と間隔をあけて、着席します。
開始時間になると裁判長が現れ、全員起立し、裁判が始まりました。


罪名:覚醒剤取締法違反
被告人:40代男性

路上で職務質問を受けた際、覚醒剤を所持していたため、捕まった男性の裁判でした。
人生で初めて使用したのは10年程前、友達に誘われて、好奇心で手を出した。
犯罪であることはわかっていたけれど、周りに迷惑はかからないと思い、使用し続けていた。
また、やめようと思ったことはあったものの、仕事のストレス発散のためには、使わないとやっていられなかったそう。
思うようにやめることができなくて、断ち切ることの難しさも感じていたそうです。

捕まった後は、反省文を書き、薬物離脱ブックという本を何度も読み返し、過ごしていたそうです。
これからも読み続け、定期的に医療センターにも通い、更生したいと話していました。

さらに、家族、特に父親に迷惑をかけたことに対して、何回も法廷で謝罪していました。


感想


被告人が罪を認めていることもあり、淡々と確認作業が進みました。
ドラマにあるような、誘導質問と感じる質問もなく、本当にただただ事実確認の時間だな、と感じていました。

被告人は、携帯を解約して友達とは縁を切る、夜に出かけることもやめるといったように、これからの過ごし方を具体的に話されていました。
私は、「とても反省されているんだな」と思うと同時に、「そんなに多くの目標をもって、全部実現できるのかな」とも思ってしまいました。
これは、私は他にも覚醒剤の裁判を複数傍聴しましたが、全てで感じたことです。
全員がとても反省をしていて、その言動に嘘があるようには見えないけれども、薬物使用をやめることは難しいと知られているように、またやってしまう人がいるのが現実なんだろうな、と思いました。

この裁判の中で、最も印象的だったのが、裁判長の言葉です。
裁判の終わりに、裁判長が一つ申したいと、話し始めました。
覚醒剤をやめるために、定期的に医療センターに通います、と被告人が話していたことに対して、

「薬物を断ち切るためだけに通うのではなく、行くからには何か学んでください。学べることはいくらでもあります。

と伝え、裁判が終了しました。
公平な立場にある裁判長が、事実関係を確認するためではなく、このような発言をしたことにびっくりしました。
私は、この時まで自分をただの傍聴人だと思っていて、深く考えずに傍聴していましたが、裁判長の言葉は、自分に言われているかのようでした。
貴重な発言だなと感じました。
また、それまでの法廷内は、被告人はとても反省しているといった空気感がありましたが、この一言で雰囲気が一変しました。
犯罪を犯したことに違いはないと、全員が再認識したような気がします。
裁判長の言葉の影響力は大きく、裁判長によって法廷の中身は変わりそうだなと思いました。


判決


後日、判決を聴きに行きました。
判決が出るまで2週間程度かかることを知らず、意外と長いんだなと思いました。

懲役1年6ヶ月、執行猶予3年間

被告人と覚醒剤のつながりは深いが、被告人の反省と前科がないことを踏まえ、執行猶予がついたらしいです。
私には、この判決が適切であるのかわかりませんでしたが、執行猶予の長さには納得でした。
裁判傍聴はここまでですが、被告人がこの3年をどう過ごすか、気になるなーと思いながら、初めて1つの案件を傍聴し終えました。



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


引用写真
絵本:にがいおくすりのめるかな
作・絵:深見 春夫
出版社:岩崎書店

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?