見出し画像

サムナットが入らない

最近、70年代前半に製造された国産ギターのレストアに取り組んでいる。パーツ類が取り外された抜け殻状態のジャンク購入だったため、各種パーツの手配から始めなければいけないのだが、この年代のギター特有の「規格が微妙に独自」で今手に入るリプレイスメントパーツが使えないという問題に頭を悩ませている。

エスカッションやペグ類はいざとなれば穴を埋めて開け直せば良いのだが、ブリッジやテイルピースに関してはアンカーを打ち直すとなると大分大ごとになってしまう。残念ながら今回のギターは、ブリッジもテイルピースも購入したリプレイスメントがはまらないという事態が起きてしまった。

スタッド間のピッチは79.9mm

テイルピースに関しては、現在流通しているリプレイスメントパーツの多くのスタッド間ピッチが82mmなのに対して、このギターのピッチは測ってみたところ80mmだった。2mm程度なのでなんとかなるのではないかという淡い期待を持ってパーツを買ってみたのだが、やはりはまらなかった。探してみたところ、ごくわずかだが80mmピッチのリプレイスメントパーツも販売されていたので、取り寄せているのだがこちらは届くまでまだしばらく時間がかかりそうだ。

ブリッジの方は、スモールポストタイプのチューン・O・マチックタイプで、こちらはポスト間ピッチもポストの径も4mmで一般的なリプレイスメントパーツと互換性がありそうだった。届いたパーツを試しに仮組してみると、幸いブリッジ自体はポストにピッタリ収まったのだが、なぜかサムナットが全然噛み合わない。

ノギスで改めて径を測ってみると4.01mmでわずかに4mmよりは大きいがM4で間違いなさそうで、ピッチもおかしくなさそうだ。となると、購入した安いサムナットの方に問題があるのではないかと思い、サムナットだけ少し高い国産のパーツを買い足してみたのだが、残念ながらこれもまた同じように入らない。

その後いろいろ試しているうちに、何かのはずみで六弦側のポストにサムナットがはまった。この調子で一弦側もトライし続けていればはまるのではないかと頑張ってみたが、結局数時間粘っても一弦側ははまらなかった。一度六弦側にはまったナットだったら、一弦側にもはまるのではないかと期待したがそれもダメで、こうなると問題はポスト側にある可能性が高そうだった。

改めてポストを見てみるとサムナットが刺さった六弦側のポストは、購入時に比べると大分光沢が戻っているようだった。となると表面が錆などで変形・膨張してサムナットが入らなくなっている可能性がありそうだ。ということで、ポストの表面をヤスリで少し削ってみた。溝部分は手持ちのヤスリではどうしようもなかったが、とりあえず山の部分だけでも削ってみることにした。5分ほど表面を削ったところ、運よくサムナットがはまるようになった。まだ工具のことがよくわからなかった時代に買ってしまったヤスリ10本セットだったが、こんなところで役に立ってくれた。

テイルピースの問題はまだ解決していないが、一番厄介そうだったブリッジの問題が解決して一安心。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?