Cubaseのコードトラックで手軽に伴奏を作る
Cubase 8以降のバージョンでは、コードネームを指定すると自動的に簡易的な伴奏を生成してくれる「コードトラック」という機能が搭載されている。うまく活用すると劇的にバッキングトラック作成のスピードが上がるので基礎的な使い方を紹介したい。
自分の場合は、元々この機能は仮歌用の伴奏コード生成にしか使っていなかったが、最近ではそのまま(もしくはちょっとだけエディットして)オケに使うケースが多くなった。下の曲のキーボード/シンセはCubaseのコードトラック機能を使って作成したものだ。
また、次の曲ではコードトラックを使って作った伴奏に、ちょっとだけ音を後から足す、という形で使っている。
「表現力豊か」なバッキング生成はできないが、楽器と楽器の間を埋めるようなパートを作るのには十分な機能なので、使い方を紹介しようと思う。
伴奏用のVST Instrumentを追加する
まずは、伴奏に使いたい音源のVST Instrumentを用意する。和音を鳴らせる楽器であればどのような音源でも問題ないが、ここではCubase付属のHALion SONIC SE 3のE-Piano MW Stringsを用意した。
コードを鳴らすためのMIDIトラックを追加する
その伴奏パートを鳴らすためのMIDIトラックを追加する。ここまでは普通に伴奏をMIDIで打ち込むのと同じだ。わかりやすいように「EPiano」という名前をつけておいた。
コードトラックを追加する
コードトラック(Chord Track)を追加する。
追加したコードトラックのモニター用トラックを設定する。ここでは先ほど用意した「EPiano」のMIDIトラックを指定した。こうすることで、このコードトラックから生成される和音は「EPiano」トラックのノートとして再生されることになる。
コードトラックにコードを追加する
鉛筆ツール(Draw)を選んで、コードトラックの適当な箇所をクリックすると、そこにコードが追加される。
追加されたコードをダブルクリックするとEditorが開くので、そこから適切なコードを選ぶ。
このようにしてコード進行を入力していく。
この状態で曲を再生すると、入力したコードに合わせてEPianoトラックを使って自動で伴奏が再生されるようになる。
和音のヴォイシングを変える
Adaptive Voicingsを有効にしておくと、指定した音域の中で自動的に無難な和音のヴォイシング(構成音の調整)をしてくれるが、この機能をOFFにして上のツールバーのVoicingから手動で選ぶこともできる。Adaptive Voicingsを使った自動ヴォイシングは、並行5度や3度の重複など「よくない」とされている響きを避けつつ適切なヴォイシングをしてくれるのでとても便利なのだが、同じコードが続く中で変化を付けたい時などはOFFにして手動で指定する必要がある。(もしくはMIDI化して、手動でノートをいじる)
コードトラックの内容をMIDIにする
コードトラック上のコードをMIDIトラックにドラッグアンドドロップすると、伴奏の内容をMIDIに変換することができる。MIDIに変換すると、あとは自由に音程や音価、ヴェロシティなどをいじっていくことができる。
この状態では、MIDIトラックの内容とコードトラックの内容が両方再生されてしまうので、MIDI化したあとはコードトラック側のコードを削除するか無効化しておこう。削除してしまうと、後からコードを変えて作り直したくなった時にもう一度入力し直す必要が出てくるので、無効化しておくのがおすすめだ。
なお、一度MIDI化してしまうと、その後コードトラックを使ってコードを変更したとしても、MIDI化した内容は自動では更新されないので注意だ。コードを変更したい場合は、コードトラック側でコードを変更した後、一旦MIDIを消去してコードトラックからコードをドラッグアンドドロップしてMIDI化し直す必要がある。したがって、コードが決まってから、最後にMIDI化して調整する流れで進めるのが良い。
まとめ
Cubaseのコードトラックには、他にもコード進行のサジェスト機能やスケールの表示機能など、様々な機能が搭載されている。似たようなソフトではPlugin BoutiqueのScalerなどがあるが、DAWの機能として実装されていることによる使い勝手/わかりやすさという点ではコードトラックの方が優れているように感じる。
作曲のアシスト機能に対する否定的な考え方も理解はできるが、個人的には作っている本人の楽しみが増えるのであれば、こういったテクノロジーはどんどん活用していくのが良いと考えている。Cubaseを使っている方は是非試してみて欲しい。
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