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[機材レビュー]Focusrite Scarlett 2i2

少し前まではiPadを使ってギターの録音することが多かったので、オーディオインターフェイスもコンパクトなiRig HD 2をメインで使っていたのだが、引っ越してデスクの周りに色々機材を置けるようになってからはMacを使ってギターを録音する機会が増えてきた。

iRig HD 2は軽量コンパクトで持ち運びが楽な反面、少しケーブルを引っ掛けたりするとすぐにどこかに飛んでいってしまうという問題があった。Mac用で常にデスクの上に出してくような使い方をするには、多少重くて安定して設置できるインターフェイスの方が良かったので、M-Track SoloやM-Track Duoを使って録音をしてきたのだが、今回FocusriteのScarlett 2i2に買い換えることにした。

M-Track Duoは値段の割に満足度も高く、機能面では大きな不満はなかったのだがそれでも今回買い換えることにした理由は3つ。

スタイリッシュな見た目

Scarlett 2i2は写真では少し伝わりにくいが、少し落ち着いたワインレッドの筐体、光沢感のある黒いフロントパネルとLED、金属製で黒光りするボリュームノブなど、全体的に高級感のあるデザインと質感で構成されている。フロントパネルも、文字情報は最小限、有効になっている機能だけがLEDで浮かび上がるというデザインでスッキリしていて格好良い。

オーディオインターフェイスを選ぶ上で一番重要なものは機能と性能だが、机の上に常設しておくとなると見た目も重要になってくる。正直なところこのデザインと質感が、自分にとって買い替えを検討する最初のきっかけになった。色といい質感といい、昔使用していたEDIROLのFA-66を思い出す。

2in / 2out、サンプリング周波数が192kHzまで対応

入力系統は2つ。それぞれ独立してフォン/XLRに対応し、ファントム電源も供給することができる。両チャンネルともマイクあるいはギター用にインピーダンスを切り替えることが可能。ユニークな機能として、FocusriteのISA マイクプリアンプをモデリングした「AIRモード」機能が搭載されている。AIRモードにすると、若干高音域が強くなるように感じるが、そこまで大きなサウンドの変化はない。サンプリング周波数は最大で192kHzまで対応。各チャンネルのノブ部分にLEDが付いていて、入力信号の強さを確認できるようになっている。

出力系統はヘッドホンの他にLINE OUTが二つ。ヘッドホンとLINE OUT用はそれぞれ独立して音量調整ができる。入力信号のダイレクトモニタリングにも対応しているが、残念ながらダイレクトモニタリングの音量とPCからの音量のバランスは調整することができない。

なお、細かい部分だが接続端子がUSB-Cになっているのも嬉しい。

バンドルプラグインが充実

バンドルプラグインはかなり充実している。ピッチ補正のAuto-Tune Access、SoftubeのアンプシミュレーターSilver Jubilee 2555、ドラム音源のAddictive Drums 2 Studio Rock Kitとピアノ音源Addictive Keys、Focusrite社のEQ/コンプをモデリングしたFocusrite Red 2 & 3 PLUG-IN SUITE、同じくFocusriteのチャンネルストリップをモデリングしたBrainworxのBx_console Focusrite SCなど、音源からエフェクトまで様々なプラグインがバンドルされている。

自分の場合、2i2の購入をきっかけにバンドルされていたAddictive Drums 2を使うようになった。今では曲を録る際のほぼ全てでAddictive Drumsを使っているほどで、バンドルが目当てだったわけではないのだがとても良いきっかけになった。

M-Track Duoとの比較と総評

2023年5月現在、Amazonでは2万円程度で販売されている。同じ2in / 2outのM-Tracks Duoは7千円程度なので、それと比べると多少割高感がある。サンプリング周波数はM-Tracksが48kHzなのに対してScarlettは192kHzなのでスペック上は大きな差があるが、人間の可聴域の上限は大体20kHzまでと言われており、楽曲配信におけるサンプリングレートは44.1kHz〜48kHzが一般的なことを考えると、192kHzで録音できることによるアドバンテージを活かせる場面は(少なくとも素人の楽曲制作においては)限定的になってくるのではないかと思う。

同じサンプリングレート48kHzでM-Track DuoとScarlett 2i2で録音して比較をしてみたが、正直なところ音質やノイズという点においては特別大きな差は感じられなかった。上述の通り、Scarlett 2i2ではAIRモードにすることでもまた若干サウンドが変化したりするのだが、これも好みの問題で「どちらが明らかに良い」と言い切れるような違いではなく、また取り込み後にDAW側のイコライザーで調整しても良いレベルではないかと感じた。

では、価格差に納得していないかというとそういうわけでもない。Scarlett 2i2への買い替えを検討したきっかけは、デザインだった。M-Track Duoのデザインは使いにくいということはないのだが、どうしても若干安っぽさと文字情報の煩さが気になってしまうことがあった。その点Scarlett 2i2のシンプルで高級感があるデザインは期待通り、机の上に設置していて良い気分になるものだった。音楽制作という点では本質ではないのかもしれないが、デスクに向かっている時間の中では音楽制作以外のことをやっている時間の方が圧倒的に長いため、デザインは自分にとって重要な要素だった。贅沢と言ってしまえばただの贅沢ではあるが、そういう意味では期待通り音楽制作中も音楽制作以外でも気持ちよく快適に過ごせるようになったのは良かった。

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