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[機材レビュー]Bacchus Universe Series BTE-2-RSM/M(2021)

昨年、実売2万円台という低価格帯ながらローステッドメイプルネックを採用したことで話題になっていたBacchusのUniverse Seriesから、今度はテレキャスター版のBTE-2-RSM/Mが発売されたというので、購入してみた。

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ローステッドメイプルネック

元々BacchusからはBTE-2というテレキャスタータイプのシリーズが発売されていたが、BTE-2-RSM/Mはそれにローステッドメイプルネックを採用したモデルという位置付けになるようだ。近年少しずつ増えてきたローステッドメイプルネックだが、ストラト版のBST-2-RSM/M同様、実売2万円台のこのクラスのギターに採用されるのは珍しい。

実寸サイズは12Fで周囲12.6cm / 横幅5.1cm。指板のRは比較的フラット。薄めの艶消し塗装ということもあってか、実際に演奏しているとかなり細く感じられる。手触りはサラサラとしていて、演奏性はかなり良い。

フレットはやはり手入れが必要。そして低い。

ストラト版のBST-2-RSM/M同様、購入直後の状態ではフレットは表面がザラザラしており、スムーズとは言えない状態だった。今回も自分で研磨をしたところ、問題なくスムーズに演奏できるようになった。やはりこのシリーズはフレットの部分にコストカットの影響が現れているように見える。

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ストラト(BST-2-RSM/M)の方は、バリが発生していたがこちらのBTE-2-RSM/Mの方は、特に目立つバリは発生しておらず、弾いていて指が痛かったり弾きにくかったりということはなかった。ここは個体差があるのかもしれない。

調べてみたところ、店によっては出荷前にフレットの研磨をやってくれるところもあるようなので、自分で研磨するのに抵抗がある場合は研磨(場合によってはバリ取りも)してくれる店で購入するのが良さそうだ。

ストラト版もそうだったが、このシリーズのフレットは比較的低いものが使われている。ローステッドメイプルネックはビンテージ寄りのサウンドになると言われていることから、フレットもそれに合わせてビンテージなものが選ばれているのかもしれないが、昨今のジャンボフレットに慣れていると若干最初は違和感を感じる部分ではある。

フロントPUのP-90の太い音が良い

ピックアップはフロント/リアともにシングルコイルだが、フロントはP-90タイプが搭載されている。通常のシングルに比べてパワーがあり太くて甘い音がして、クリーンからクランチ気味のトーンでメロディを弾くと気持ち良い。また、ハーフトーンにすると適度に輪郭がありつつ耳に痛くない音になるのも良い。

このピックアップに関しては、歪みのサウンドメイキングが若干コツがいるように感じる。マーシャル系のサウンドでゲインをかなり絞った状態でのカッティングや、ブルース系の歪みでの高音ソロなど、このギターにしか出せない良い音がある一方で、相性が悪い歪み方だと簡単に輪郭の無いダーティな音になってしまう。ストラト版BST-2-RSM/Mのピックアップがかなり汎用的に色々なサウンドに対応できたのとは対照的だと感じる。

フロントとリアでパワーの差は結構大きい。フロントの方が圧倒的にパワーがあるため、「ソロのタイミングでフロントを使う」というような使い方なら便利だが、「バッキングでフロントとリアと使い分ける」ような使い方はなかなか難しいかもしれない。

ブリッジは3WAY

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ブリッジはトラディショナルな3WAYタイプ。シンプルな固定ブリッジ構造で、ピッキング時の弦からのフィードバックに一貫性があり弾きやすい。シングルピックアップからの出音との相性もあって、カッティングは特に弾きやすい。

3WAYタイプのブリッジの難点といえばオクターブチューニングがやりにくいことである。今後弦の種類・ゲージを変更した際に自分で良い状態に調整できるか若干の不安があるものの、幸い購入した個体は購入時点でオクターブチューニングはほぼズレがなく、今のところは問題なく快適だ。

まとめ: コスパの良いギターだが、インパクトはストラト版(BST-2-RSM/M)の方が大きかった

実売価格2万円に対して、品質は十分であり「テレキャスター」として買うには満足感のあるギターだった。テレキャスターというギターは、あまり自分の演奏スタイルにはマッチしないこともあり、ある程度予算をかけたいというモチベーションは無かったのだが、この金額でエッジの効いたカッティングなどテレキャスターでしか味わえない演奏を楽しめるのであれば、自分にとっては十分すぎると感じている。

初心者にとって手を出しやすい値段帯だが、サウンドメイキングの難易度が比較的高いことと、フレットの処理をしないと弾きにくいことなどから、初心者にはおすすめしにくい。一方で、他のタイプのギターを持っていて、サブでちょっとテレキャスタータイプを一本持ちたい、というような場合にはローステッドメイプルネックの強度を考えても、良い選択肢だと思う。最も、ローステッドメイプルネックが本当に反り、捻れに強いかどうかは時間が経ってみないとわからないが。

正直な印象としてはストラト版(BST-2-RSM/M)に比べるとインパクトは控えめだった。BST-2-RSM/Mはいわゆるスーパーストラト的な万能なギターで、ローステッドメイプルネック以外にもコイルタップができたり、ボディも軽くて取り回しが良かったり、と盛り沢山だったのに対して、BTE-2-RSM/Mの方はローステッドメイプルネック以外は比較的意外性の無いシンプルな構成だったからかもしれない。その分値段もBST-2-RSM/Mより安いし、決して悪いギターでは無いのだがインパクトは控えめだった。BST-2-RSM/Mより前にBTE-2-RSM/Mが発売されていたら、この価格帯でローステッドメイプルネックが採用されていて、それ以外のパーツもフレットの小さな問題以外はちゃんと作られていることに衝撃を受けていたかもしれない。

追記: 2021.03.23 ピックガードを製作した

参考

ストラトキャスター版(BST-2-RSM/M)のレビュー

24F HSHレイアウト版(IMPERIAL24-BP-RSM/M)のレビュー



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