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[機材レビュー]BOSS Noise Suppressor NS-2

エフェクターが増えるに連れてノイズが気になるようになってきた。そこで、今更ながらBOSSの定番ノイズリダクション/ノイズゲートペダルであるNoise Suppressor NS-2を導入してみた。結果的に、最近購入した機材の中で一番使用頻度が高く満足度が高い機材になった。

ノイズリダクションペダルが必要な理由

Yamaha THR10IIにもノイズゲートの機能はついているし、DAWで使える高性能なノイズ除去プラグインもある中で、あえてノイズリダクションペダルを使う理由はギター本体になるべく近い段階でノイズ対策をしておきたいからだ。

エレキギターのノイズはギター本体、シールド、エフェクター、アンプなど至る所で発生しうる。ピックアップが拾ったノイズは、シールドで防ぎきれなかったノイズと合わさり、エフェクターで新たな電源ノイズなどと混ざって加工され、次のエフェクターやアンプなどに送られていく。

ノイズは他のノイズと混ざったり加工されたりするほど、ノイズ成分と本来の信号成分の分離が難しくなるため、後から自然に除去するのが難しくなる。加えて、ノイズ成分が増えれば増えるほどエフェクターによる音の加工も濁りやすくなる。従って、ノイズはなるべく発生源から近いところで除去/削減しておきたい。

ピックアップ(特にシングルコイル)は最もノイズを拾いやすい箇所の一つだ。ギターから出た信号を他のエフェクターにつなぐ前に、まずノイズリダクションペダルにつなぐことでピックアップが拾ったノイズ(+シールドで防げなかったノイズ)を早期の段階で効果的に除去することができる。

ノイズ除去の仕組み

ノイズ除去には色々なアプローチがあるが、BOSSのNoise Suppressor NS-2では一定の音量以下の信号をミュートすることでノイズをカットする「ゲート」と呼ばれる方式が採用されている。

ゲートを下げる(ミュートする)閾値となる音量はTHRESHOLDツマミで調整できる。ミュートのかかり具合が急すぎて不自然に感じられる場合は、DECAYツマミを右に回すことで時間をかけて緩やかにミュートさせていくようなこともできる。ゲートが降りている(信号がミュートされている)かどうかを、左側のインジケーターで確認できるようになっていて便利だ。

MODEを切り替えると、ペダルのON/OFFどちらの状態でゲートが作動するかを変更できる。REDUCTIONモードの場合はペダルがONの時にゲートが作動し、OFFの時は信号がバイパスされる。MUTEモードの時はペダルがOFFの時にゲートが作動し、ONの時は完全ミュート状態になる。

ノイズゲートはどうしてもロングトーンで徐々に音量が下がっていくようなプレイとは相性が悪く、閾値を超えた途端に不自然に音が消えてしまう。それを避けるためには、リフやリードを弾いている時はゲートが作動する状態にしておき、ロングトーンの時は作動しないようにする、などの切り替えが必要となるため、自分の場合は基本的にREDUCTIONモードにして使用している。(MUTEモードはいつ使うのかあまりイメージができない)

NS-2にはINPUT / OUTPUT端子に加えてSEND / RETURN端子が用意されている。ギターからの信号をINPUT端子で受け取り、一旦ノイズ除去をした後SEND端子からエフェクターに送り、エフェクターから返ってきた信号をRETURN端子から受け取り、再度ノイズ除去した上でアンプに送りだす、というようなことができる。つまり一台でギター本体のノイズとエフェクターで発生するノイズの両方を除去(抑制)できるという仕組みだ。

ただし、ここに関しては手持ちのエフェクターのノイズの発生具合が小さいせいか、エフェクターをシンプルにOUTPUT端子から繋いだ場合とSEND / RETURNを使って再処理するように繋いだ場合でも、自分の環境ではあまり大きな変化は感じられなかった。そのため自分の場合はSEND / RETURNは基本的に使わず、シンプルにOUTPUT端子から次のエフェクター、アンプへと接続して使用している。

サウンドサンプル

Jan Rayと組み合わせて掛かり具合の実験をしてみた。ストロークとミュート/休符を繰り返すようなコード弾き/リフでは、ミュート/休符部分のノイズが消されることで音が締まりキレ味が良くなったように感じる。DECAYを小さくすればさらにキレ味は良くなるが、若干加工感が強くなってしまうのでこれぐらいの設定で使うのが好きだ。ロングトーンでは閾値周辺での減衰がどうしても多少不自然になってしまう。音痩せやトーンの変化はほとんど気にならない。

シンプルな仕組みだが効果は絶大

冒頭にも書いた通り、最近エフェクターを使う機会が増えたり、Bognerのハイゲインアンプを使うようになり、以前よりもノイズに悩まされることが増えていた。NS-2導入の効果は確かで、ロングトーン以外ではかなりノイズの不快さを感じる機会が大きく減り、演奏が実に快適で心地よいものになった。今ではエフェクターを使う際には必ず最初に挟む一台になっている。

上述の通り、ゲートを使うと音のキレがとても良くなるというのは思わぬ収穫だった。今までもプラグインのゲートを使う場面は時々あったが、演奏後に後がけでゲートを使うのと、効果をリアルタイムで感じながら演奏をするのでは最終的に録音されるサウンドにはかなり大きな違いが現れる。コンプレッサーと同じような感覚だ。

かつてバンドをやってライブハウスで演奏をしていた頃、他のギタリストの足元にNS-2を見かけることは珍しくなかった。当時の自分にはその必要性がわからなかったため導入に至らなかったが、今考えてみると当時出会いたかった一台だ。

NS-2の効果を実感する一方で、逆にAmpliTubeやYamaha THR10II Wirelessを使った演奏・録音がノイズ対策という点ではいかに合理的で快適かというのも改めて考えるようにもなった。物理的なエフェクター/アンプと、デジタルアンプ/プラグイン、どちらが良いと一概に言えるものではないが、NS-2は前者の弱点を一つ解消してくれるソリューションになった。

2023年10月追記
36年ぶりに新しく発売されたNS-1Xを試してみた。


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