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Epiphone Les Paul '56 Gold Topのメンテナンスとレビュー

中古の2001年製のEpiphone Les Paul '56 Gold Topをネットで購入した。事前の説明ではコンディションは問題なしとのことだったが、残念ながら届いたギターはリアピックアップの音が出ず、高音の詰りも発生しているなど、多く問題が発生していた。返品させてもらおうか迷ったが、自分で修理・調整して使うことにした。

Epiphone Les Paul '56 Gold Topについて

P-90タイプのピックアップが搭載されていた初期レスポールの最終形となる1956年製のレスポールの仕様を元に作られていたギター。2001年頃から販売が開始され、確認している限りでは2007年頃まで製造・販売されていたようで、現在は販売されていない。P-90タイプのピックアップと肉厚なボディによって、標準的なレスポールよりも切れ味がよくウォームなサウンドが特徴だ。

P-90搭載のゴールドトップ、という仕様は本家Gibsonのものを含めて流通本数が少なく、安価で気軽に試せる選択肢としては有力な選択肢なので、本家Gibsonのものとあわせて長い間探していたのだが、ようやく購入することができた。

リアピックアップの音が出ない

フロントの音はなるのにリアの音が出ない原因としては、「ピックアップセレクターの故障/不調」「リアピックアップの断線」「ボリューム/トーンの故障/不調」「その他・断線など」が考えられた。結論から言うと、今回の原因はピックアップセレクターにあった。

セレクターの不調であれば、スイッチを切り替えているうちにノイズが出たり一時的に音が出たりするだろうと思っていたが、今回の場合2-3分ほどスイッチを切り替えていてもノイズすら出てこなかったため、セレクター以外の箇所の問題だと判断し、無駄な検証時間を過ごしてしまった。落ち着いて考えれば、まずピックアップセレクターをミックスの位置にした状態で、リアピックアップのコイルを叩いて音が出るか確認すれば問題の切り分けは早かったのだが、断線を疑って無駄にキャビティを開けて回路のチェック、ゴミの除去などに時間を使ってしまった。

最初、2-3分ほどスイッチの切り替えを繰り返しても変化がなかったのだが、その後諦めずにさらに5分〜10分ほどスイッチを切り替え続けていたら時折音が出るようになった。その後詳しく調べてみた結果、スイッチのリア側の端子がキャビティ内の導電塗料に接触してショートしてしまっていたのが原因だとわかった。スイッチの取り付け穴の精度の問題なのか、輸送中に曲がってしまったのか、経緯は不明だが初めて出会うなかなかレアな現象だった。端子と導電塗料の間をテープで絶縁することで問題が解消した。

ハイポジションの音の詰まり

ハイポジションで音の詰まりが発生していた。順反りが起きていたのでトラスロッドを回してストレート気味に調整してみたが、それでも特定の位置で詰まりが発生している。細かくみてみると、ハイポジションの特定のフレットがなぜか他のフレットよりもわずかに高くなってしまっていたのが、詰まりの原因だった。

ローポジションや他のフレットでは問題が起きていなかったので、ハイポジションだけすり合わせを行うことにした。

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レベラーを滑らせて高さを揃え、クラウンファイルでエッジを整え、ヤスリがけで表面をスムーズにした後、コンパウンドで研磨した。PLEKと違い人の手ですり合わせをする場合は、どうしても前後のフレットも若干削ってしまうことになるのが残念だが、削る量はかなり限定的だったため、フレットの高さを残しつつ音の詰まりを解消できた。

クリーニング

いつも通りボディ・フレット・金属パーツのクリーニングを行った。そこまでひどい汚れはなかったので、クリーニングは無難に終わった。先日購入した小型電動ドライバーのおかげで、作業の効率が大分上がった。

弾きやすくはないが、音が期待以上に良い

20年以上前のギターで若干低めに感じるミディアムジャンボフレット、コンター加工やヒールカット加工などもないトラディショナルなボディ構造、ニュアンスのでやすいシングルピックアップという組み合わせは、なかなか弾きこなすのが難しい。ただ、全て調整が終わっていざ鳴らしてみると、音は期待していた以上に良かった。P-90ならではの切れ味、太くウォームで、ニュアンスが出やすく伸びやすいサウンドは、想像より大分良い。フロントピックアップはクリーンでもディストーションでも綺麗に粒が出るし、リアとミックスの切れ味の良さはカッティングやリフにマッチする。

まとめ

かなり悪いコンディションで届いたギターだったが、メンテナンスをして無事に問題なく弾けるコンディションに戻せてよかった。販売終了から時間が経っており、良いコンディションの個体を見つけるのが難しいギターかもしれないが、手頃な予算でP-90タイプ搭載のレスポールの良さを体験できてよかった。

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