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トリクロさんぽ・あとがき

ここでの記事の投稿は半年以上ぶりのようです。
アイマスアイドルが出かけるお話を綴る「旅m@s」が一つ完結したらあとがきをここに残そう、と思ったのに2作分サボってしまっていました。
さて去る5月18日、ユニット「トリクロマティック・ナチュレ」の3人――五十嵐響子・北条加蓮・高森藍子を主人公とした「トリクロさんぽ~五輪会場とハロウィンの植物園を訪ねて~」の後編を投稿し、同シリーズは完結しました。技術は兎も角色々やりたいことはできたので、本作が自分が送り出すトリクロマティック・ナチュレの決定版だと思っています。
本稿はそのあとがきで、きっかけや狙い、制作時のあれこれについて振り返っていきます。

制作のきっかけ

「トリクロマティック・ナチュレ」は2019年4月にモバマスでお披露目され、星の数ほどあるシンデレラガールズのユニットに名を連ねます。ニュージェネレーションの姉妹ユニット的な側面もあってか、当時Pの間で話題になり、デレステのイベント(曲)実装も望まれていた印象です。私もこのユニットの誕生には衝撃を受けました。当時のキャラソート(好きな順に並べ替えるサイト)で2位・3位・5位だったアイドルが手を組んだ、あまりにも贅沢なユニットだったのですから。
そうなると、旅m@sでこの3人を扱ってみたくなってきます(どうやら私にとって、気に入ったことの意思表示は旅m@sあるいは駅メロディ化になるらしいです)。3人それぞれ既に何度か起用したことがあったので、ハードルは高くありませんでした。後は雰囲気が合いそうなテーマが出てくるのを待つだけ。そしてその年の暮れ、横浜赤レンガ倉庫のクリスマスマーケットをテーマにした旅m@sを送り出すことができました。

これ自体はある程度満足いく出来でしたが、ものの数分で終わる短編だったということもあり、もう少し時間が経って活躍もしてきたら2作目を出そうと思っていました。

ところが結成後、トリクロマティック・ナチュレはアイドルの知名度の割に渋い活躍が続きます。2020年・2021年ではエイプリルフールで話題にされ、モバマスのセレクトスカウトではその顔となり、グッズで顔を出すこともありました。が、ユニット曲が出る気配はなく、それどころかシンデレラガールズ劇場で共演すらもない。支持者が確実にいるのは知っていたものの、人気アイドルのマイナーユニット扱いなのは否めませんでした。

転機が訪れたのは2021年10月1日。モバマスの加蓮ハロウィンガチャの前日譚がシンデレラガールズ劇場に掲載されました。その回で加蓮の相談相手となったのは響子と藍子。まさしくトリクロマティック・ナチュレ回で、特大ホームランだと大騒ぎになりました。
この活躍を見届けた私は、トリクロマティック・ナチュレの旅m@s2作目のタイミングが来たと判断。テーマにハロウィンを含める方向で検討を始めました。

割と慌ただしかったロケ検討

実のところ、お出かけのテーマでハロウィンというのは楽ではなく、クリスマスのようにはいきません(イベントは各地で色々あるようですが)。結局ハロウィン要素は、例年10月にハロウィンらしい企画を展開する夢の島の熱帯植物館(以降「植物園」)で満たすことに。しかし植物園の見学は2017年の同時期に旅m@s化済みで(よりによって起用したのが藍子)、4年ぶりの夢の島訪問だけでは面白みがありません。そうなると、エリアをもう少し広げて散歩する形式が浮上してきます。
※2017年の植物園訪問 ↓↓↓

ところで2021年秋といえば、東京五輪2020大会が閉幕した直後でした。夢の島周辺でも競技会場がいくつかありましたが、閉幕直後ならそれぞれで仮設の設備撤去などの工事が進んでいるはず。そこでロケのコースに会場だった施設を数か所組み込み、本作に五輪会場巡り(と現況のレポート)の側面も持たせることにしました。東京五輪は過去作でも何度かネタにしており、どこかで開催後のエピソードを設けたいと思っていたところ、絶好の機会が巡ってきたわけです。このエリアは会場が多数ありましたが、植物園から遠すぎない場所として、夢の島のアーチェリー場と辰巳地区の新旧のプールを選びました。

これでハロウィンと五輪という2つの大きなテーマが決まったので、後は細部の検討です。ロケのコースの起点は地下鉄の豊洲駅に決定。これは現在やや変わった姿で、またこの頃検討が大詰めに差し掛かっていた新路線の起点となる豊洲駅を取り上げることが目的でした。ささやかながら鉄道要素を入れたくなるのは性というものでしょうか。
一方終点側では新木場駅から帰る前に、スタジオコーストに立ち寄ることに。8月に報じられた閉館の件に衝撃を受けたためでした。シンデレラガールズのイベントが開かれた場所が無くなるケースはまた珍しいはずです。
ところで、9月27日から有楽町のタニタ食堂ではコラボの歩数計が展示中でした。そのため、このロケのついでに展示も見学することにしました。しかし、展示期間が問題。どうやら10月末まではやってくれず、10日で終わってしまうというのです。この時点でロケは10日までに実行することが決定。10月1日にロケの検討を始めて1週間半で当日。かなり慌ただしい準備期間でした。そのおかげで本作のおまけで紹介することができましたが。

OP動画で一旦満足してしまった件

ここからは制作裏話のようなものです。あまり口にしてこなかったので多分裏話になるはずです。
本作の制作に費やした気力の半分はOP動画の40秒間に持っていかれたように思います。ちなみに全編で27分程度。大袈裟な話、OPができた時点で一度満足してしまった自分がいました。
今回OPでやりたかったことは見ての通り
①本作の移動経路
②トリクロマティック・ナチュレの歩んだ軌跡
③3人の衣装から如何にバランスの良い3色ユニットであるか
を紹介することで、いずれもなんとか果たせたものの問題と妥協の連続でした。特に①は当初3Dっぽい地図の中を軌跡が進んでいくようなイメージで、地図系のサービスで何かできないかと考えたものの早々と断念。2Dの地図をaviutlのカメラ制御で立体っぽく映し、その中で軌跡を描いていくようにしました。軌跡の設定もなかなか面倒でしたね。
③のアイドル紹介部分も、今できる水準でという感じでした。それでも背景を複数に分割してデレステのMVを複数流すなど、前進できた点もあります。3人の衣装の色がバランスよく、3色ユニットとして優れていることが伝わればなによりです。
②はわずか数秒に当たりますが、今回必ず押さえておきたかった要素でした。まだまだ発展途上であるものの、実はこんなに話題があったのだということを見せたかったので。そして画像を集めていくと、シンデレラガールズ劇場という機会を得たのは大きいと改めて感じたのでした。

こういうことをするともっと動画の勉強をしなければと思うこともありますが、制作を進める時間との兼ね合いがあるので難しいところです。MAD職人と共同制作?なんて考えが頭をよぎることもありますが……。

制作中に変わりゆく情勢

当初、本作は昨年の12月~今年1月頃の完成を予定していました。10月半ばのロケなので「それ自体は」不可能ではありません。
しかし11月28日のシンデレラガールズ10周年を記念した別の企画、またクリスマスに突発的に入れた別の旅m@sが影響し、完成時期はどんどん遅れていきます。その間に世の中も変わっていくわけですが、後編制作中の4月29日の知らせは本作に大きな影響を与えました。

そう、トリクロマティック・ナチュレがももクロコラボで「ピンキージョーンズ」のカバーに抜擢された件です。

まさかこのタイミングとは思いませんでした。カバー自体は姉妹ユニットともいえるユモレスク・ユニティがグラブルの曲をカバーしているのでいずれこちらにも、と思っていましたが……よりによってイベント曲「メモリーブロッサム」の予告でトリクロマティック・ナチュレ未遂があった、その数日後に。落として上げる、とでもいうのでしょうか。
この時点で本作のED曲はトリクロマティック・ナチュレ版「ピンキージョーンズ」で即決まりました。実は当時、ED曲は未定でした。Stage Bye StageはOff vocalとはいえOPで使用済みですし、3人のソロ版を重ねたお願い!シンデレラでは味が無さ過ぎます。そこに降ってきた、カバーとはいえ待望の3人の曲。これはもう使わない理由はありませんでした。
EDの演出はいくつか考えられましたが、途中までBGMとして扱ってサビ以降はデレステの2DMVをエンドロールと組合せて流す形に。Cメロの特別仕様になった歌詞を見てもらえるようにしました。一部のアニメのEDに近い雰囲気にもなったと思います。
Cメロの歌詞には感動を覚えました。原曲の歌詞がももいろクローバーのメンバーの名前を含んでいたのを知らなかったのもありますが、語彙って凄いな!と素直に感動したもので。プロ野球の選手ごとの応援歌でも見られよくできてるなと思うことがありますが、あれのもっと凄い版という印象でした。

情勢が変化したのはアイドル周りだけではありません。1月28日に東京メトロが豊洲~住吉間の建設について国交省に申請すると、2か月後の3月28日には国交省から許可が下りたのです。ここまで本当に長かった。いや、まだ建設は始まってもいないので、これからなんですが。

そうなると、本作前編の豊洲駅のシーンの解説文にも影響が出てきます。実際「建設を申請し、大詰めのところまできている(意訳)」としていたところ、3月28日を境に「建設が許可された」に改めています。この頃には投稿を4月6日(トリクロマティック・ナチュレ結成3周年)に定めていたので、投稿1週間前に急遽修正するという事態になりました。
アイドルだけでなく、リアルの世の中の情勢の影響を受けるところは旅m@sらしいなと思いますね。

今回も色々と妄想を……

振り返れば、今回も妄想大爆発でした。
まずいつもの年齢操作。この3人の世代は2021年度で23歳になる設定で、いわゆる四大に通っていたなら卒業直後の年になります。植物園の企画展(女子大生の公園デザイン展)で加蓮が唐突に卒論のことを思い出したのは、1年前に取り組んだばかりだからということで。一応3人の学歴もぼんやりとした設定があって、加蓮は経営学系のどこか、藍子は文学部歴史学系のどこか、いずれも四大卒です。一方で響子は家政系の短大卒のつもりです。きょうだい多いのも考慮して。
続いてオリンピック談義。加蓮は凛にダイマされてロードレースを配信で観たことにしました。スポーツ観戦する習慣はあまり彼女から感じられませんが、ある程度楽しめていると思います。諦めに支配されていた昔と違って、今はアスリートたちが大舞台にかける思いに共感しているかもしれませんし。響子は女子寮のTVで意図せずとも色々観ていたかなと思います。また作中では触れませんでしたが、実家の家族とLINEで××が凄かったよ!みたいな話に花を咲かせていたら微笑ましいですね。藍子については特に設定はありませんが……お読みの皆様は、彼女はどんな種目に興味を示したと思いますか?

他にもこの場所でこんなことしてほしい、を色々詰込みました。辰巳団地が建て替えられても戸数はほぼ維持されると聞いた響子が安堵の表情を浮かべたり、京葉線を眺めてディズニーどうやって行ってる?って話になったり。植物園でリアルな果物に加蓮と響子がはしゃいだり(Go Just Go組なのもある)、藍子がパッションを発揮し巨大なかぼちゃの持ち上げにやる気を示したり。危ないと見るや、意外にも(?)加蓮がきちんと止めに入ったり。かぼちゃの大きさと美しさから、その場のノリでつい最近のライブごっこを始めたり。
有楽町線沿線の海沿いのエリアを舞台に、3人が他愛もない話をしたり、思わずはしゃいだり、時に考えさせられたり――そんな様子を自分なりに綴れたかなと思います。

意外な衝撃スポット

ロケの感想も一応触れておきます。
最も印象に残ったのは、もしかしたら辰巳団地かもしれません。豊洲のタワマン群を抜けたすぐ先にある、昭和の面影が残る巨大な団地の風景。豊洲とのギャップを強く感じ、今時このエリアでこんな場所が残っているのかと衝撃を受けました。下調べでノーマークだったのもあって。但しこの風景も有限のもので、将来は高層アパートに建て替えられるとのこと。都心の新しい庶民生活の場がどんなスタイルになるのか、興味深いところです。
その団地の少し先から東京五輪の会場巡りになるわけですが、歩いてみるとやはり大会中に(観戦はできなくても)会場の近くを訪れ、大会の空気に触れてみたかったなとは思いました。勿論、それが許されるのは某感染症のなかった世界線においてですが。普段あまりこんなことは口にしませんが、一生で一度になるであろう祖国での夏季五輪開催が「画面の向こうの出来事」になってしまったのは本当に残念です。電車の普段ならあり得ないダイヤでの運行も見てみたかった

トリクロマティック・ナチュレに思うこと

制作に関する話はこの辺にしましょう。
ここ最近、トリクロマティック・ナチュレについて見方がやや変わりました。きっかけは「ピンキージョーンズ」のカバー抜擢ですが、この3人、想像以上に野心家で、体を張るのも厭わない?と。確かに加蓮はTrinity Field以降あんな感じですし、藍子の握手会の件は有名ですし、響子もぷちデレラでおや?と思わせる点はあります。ですが……
カバー曲の歌詞を覗くと「体は張りまくり」「気合根性満開覚悟情熱全開」「天下を取りに行くぜ」――驚きました。また原曲のリリース当時のエピソードを知ると更に驚きが。ももいろクローバーがアイドル戦国時代を勝ち抜いていくことを宣言した(ファンがモノノフと呼ばれだしたきっかけでもある)時の曲だったのです。
こんな曲のカバーを任されると、公式がこのユニットをどう考えているかをつい勘ぐってしまいます。確かに歴史はまだ浅いが、数えきれないほどのユニットの中で天下を取っていくぞという3人の意志がこの曲に現れていたとしたら?私はこのユニットを甘く見ていたのかもしれません。各々が持つセンスの高さを活かした美しい「三原色」のユニット……というイメージを持っていましたが、予想以上にやってくれる可能性があります。見方が変わった、としたのはそういう理由からでした。多分今なら、予想を超えた勢いで来られても面食らうことはないと思います。元々そういう気の強さは嫌いではありませんから。

ユニットを取り巻く空気にも目を向けてみます。やはり2021年頃から支持する声は大きくなってきたような気がします。イラストで取り上げていただく機会も増えてきました(その最たる例はU149作者の廾之先生でしょうか)。しかしまだ創作全体ではそこまで数が増えてないのかなという印象です。SSは高頻度で執筆される方を存じていますが、それ以外だとあまり聞きません。私の主戦場であるニコ動でトリクロマティック・ナチュレをタグ検索すると……結構悲惨な数字です。具体的には純粋なノベマスが2022年5月現在一つもありません。旅m@sもノベマスの一部ですが、このユニットのノベマスが私の2作だけという事態はあってはなりません。同人誌もこれからといった状況に見えます。
数が増えない原因は、公式での掛け合いの機会があまりに少ない点にあるのでしょうか。3人それぞれのエピソードは豊富ですし、3人が集まれば何でもできるでしょう。ギャグでも良い話でもきっと大丈夫。公式供給が少ないうちは、裏を返せば何でもできるのであって。……というわけで、トリクロマティック・ナチュレの公式での活躍は勿論、創作も増えていってほしいという願いを綴ったところで、本稿を締めます。最後に、あらゆる供給を受け止められるようにという意味で始まったとされる掛け声をかけましょう。

トリクロマティック・ナチュレ!!!(素振り)

-以上-


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