ダブルクロスにおける衝動判定の成功率

（C）2009 Shunsaku Yano/FarEast Amusement Research Co.,Ltd.「ダブルクロス The 3rd Edition」

はじめに

ダブルクロス The 3rd Editionでは、通常、クライマックスフェイズにおいて衝動判定を行います。衝動判定に失敗すると、バッドステータスの暴走を受けることになります。この状態では、ガードを含めたリアクション不可、カバーリングも不可となるので、特にカバーリング専門のキャラクター（カバーリング屋）にとっては致命的です。また、PCたちの残りロイス数をコントロールするために、アタッカーや支援専門のキャラクターでもカバーリングエフェクトを取得する場合があります。このような場合も暴走は避けたいところです。あるいは、ある程度成長を重ねたらドッジ用のエフェクトも取得していくというのもアリ……ナシよりのアリ？　まあ、そんなことをしようと思った場合も暴走は受けたくないです。

本記事では、衝動判定の成功率を考えます。〈意志〉のレベルとその他衝動判定への修正があるときに、【精神】がいくつあれば衝動判定に成功できるのかを議論します。

衝動判定

導出

衝動判定は、〈意志〉を使用して行ない、難易度はGMが任意に設定できる。特に想定がなければ、9とするとよいだろう。

矢野俊策／F.E.A.R.『ダブルクロス The 3rd Edition』十二版、KADOKAWA、2015年、213ページ

ここでは、衝動判定は難易度9の〈意志〉判定であると仮定します。また、クリティカル値は当然10です。

今、〈意志〉レベルとその他修正の合計を$${m}$$とします。このとき、衝動判定のダイスの出目が$${9-m}$$以上ならば衝動判定に成功することになります。したがって、衝動判定に成功する確率$${p_\mathrm{u}}$$は、その判定のダイスの数を$${n}$$個とすると、

$$
\begin{align*}
p_\mathrm{u} &= 1 - \left[ \frac{(9-m) - 1}{10} \right]^n
\\
&= 1 - \left( \frac{8-m}{10} \right)^n
\end{align*}
$$

となります。

衝動判定に成功する確率。横軸は衝動判定におけるダイスの数。

考察

まず、99%以上の確率で衝動判定に成功するのに必要なダイスの数を考えます。カバーリング屋ならばこのくらい成功できると安心です。固定値が$${m=0, 1, 2, 3, 4, 5}$$のとき、必要なダイスの数はそれぞれ21個、13個、10個、7個、6個、4個となります。侵蝕率が80%以上で衝動判定を行うとして、必要な【精神】の値はそれぞれ19、11、8、5、4、2です。〈意志〉を4レベル、「思い出の一品」も常備化すれば、【精神】は2でよく、多くのビルドで対応できるでしょう。一方、〈意志〉を3レベルに変更する、もしくは〈意志〉は4レベルのまま「思い出の一品」を常備化しないのならば、【精神】は4にする必要が出てきます。

次に、95%以上の確率で衝動判定に成功するのに必要なダイスの数を考えます。カバーリング屋ならこれが最低限確保したい成功率でしょうか。〈RC〉アタッカーのような【精神】が高めのキャラクターがカバーリングエフェクトを取得する場合も、思い切ってこのくらいを目指してもいいかもしれません。固定値が$${m=0, 1, 2, 3, 4, 5}$$のとき、必要なダイスの数はそれぞれ14個、9個、6個、5個、4個、3個となります。侵蝕率が80%以上で衝動判定を行うとして、必要な【精神】の値はそれぞれ12、7、4、3、2、1です。〈意志〉を2レベル、もしくは〈意志〉を1レベルにして「思い出の一品」も常備化すれば十分でしょう。

最後に、〈白兵〉アタッカーや〈射撃〉アタッカーのような【精神】が低いキャラクターでの衝動判定の成功率を考えます。【精神】が1の場合、侵蝕率が80%以上で衝動判定のダイスの数は3個です。すると、$${m=1, 2, 3}$$に対して、成功率はそれぞれ65.7%、78.4%、87.5%となります。「思い出の一品」を常備化するのはもちろん、〈意志〉のレベルも1か2に上げることを検討した方がいいです。一方、【精神】が2の場合、$${m=1, 2, 3}$$に対して、衝動判定の成功率はそれぞれ76.0%、87.0%、93.8%となります。〈意志〉1レベルか「思い出の一品」の常備化のどちらかのみでもどうにかなりそうです。もちろん〈意志〉のレベルを上げるとより確実です。

まとめ

本記事では、衝動判定の成功率について議論しました。カバーリング屋ならば【精神】が4ならば〈意志〉は最低でも2レベル、できれば3レベル以上にするのがよいとしました。〈意志〉4レベルと「思い出の一品」の常備化をするならば、【精神】は2でもよいでしょう。一方、【精神】が低いキャラクターがロイス調整用にカバーリングエフェクトを取得したい場合、〈意志〉のレベルも少しは上げておいた方がいいことを示しました。