別冊・医学のあゆみ あの時の公衆衛生

「別冊・医学のあゆみ 医療システムの質・効率・公正」
医歯薬出版株式会社 今中雄一 編集

 医学部四年生のころ、CBT直前に公衆衛生・疫学の試験があった。CBTに出題されない範囲であるから、必要最小限の過去問で試験に挑んだ記憶が残る。時は変わって、6年生で医師国家試験対策をはじめた際、国試は公衆衛生からの出題が50%を占めることを知り、大学の公衆衛生・疫学の授業をまじめに受けるべきであったと後悔したものである。

 立場は変わって臨床研修医・専攻医となり、DPCに基づいた入院期間の設定、包括支払い方式であることを踏まえ入院中に行うべき検査の選定することを求められた。また、入院患者のレセプトチェックを一医員として求められ管理料や薬剤の値段を初めて把握した。 医療現場に出てようやく、公衆衛生学で学んだ国民医療費、介護保険制度の知識を頭の片隅から引っ張り出し始めているのである。昨今、ツイッター、ネットニュースにて医療費や医師偏在、診療科医師偏在について論じられるのを度々目にし、渦中にいるにも拘わらずこの問題について基礎知識が全くないことに焦りを感じた。

 自分が身を置く業界の問題点を知らず、考えずに、末端の一医員として診療行為を続けることに疑問を覚えた。日本の医療システムの現状と問題点、その分析方法を知り、自分なりの考えを持って診療行為に当たりたいと考える。知識を得る材料として、「別冊・医学の歩み 医療システムの質・高率・公正」を購入した。
 
 私が医学部6年のころは国民総医療費は40兆円と教わったが、現在は43兆円と増額している。ここ数年の業界の変化、制度のそもそもを知るために読み進め、自分の考えをまとめたいと思う。



 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?