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失われたカッパを求めて 13

あなたはカッパが実在すると考えますか?

おそらく、そんなものは民話世界の存在にすぎないとお答えになるでしょう。実在の生物として確認されたことはない、と。
それはそうでしょうね。
では、あなたはコンドロクラディア・リラの実在は信じておられますか?
答えてください。
おそらくあなたはコンドロクラディア・リラは実在する、とお答えになるでしょう。それはそうだ、なぜならその存在は確認されているのだから、と。

しかし、ほんとうにそうでしょうか?
コンドロクラディア・リラを実際に確認したことはありますか?

こういえばあなたはこうお答えになるかもしれません。
そんな言い方をするならば、たしかに私が実際にこの目で確認したことのある生物種など、それだけ多く見積もっても数百程度であって、珍しい生き物をはじめ、海外、極地に棲む生き物などは実際に見たことはない。しかし、それは実在しないということにはならないはずだ。
なぜなら世界中の科学者たちが実際に研究をしていたりするわけだし、しかるべきところにいけば見物することだって不可能ではないのである、と。

たしかにそうかも知れません。

ところであなたは、再現性の危機、という言葉をご存じでしょうか?

現在、実験科学のほとんどの分野で、「実験を再現できない」という問題がとりあげられています。これは現代科学が直面している致命的な問題と考えられています。
誰にとっても真実である、すなわち誰がやっても同じ結果が得られる、というのが科学の普遍性の方法的基礎でした。この問題はこの普遍性を根底からゆるがすものなのです。

さて、ひるがえって、カッパです。
私が何を言いたいか、すでにおわかりでしょう。
じつはカッパの実在を否定する理由はないのです。
もちろんそれはカッパは実在するということの証明にはなりません。
あたりまえのことですが。カッパが実在しなければ、カッパが実在していることにはならないのです。
ここで私が言いたかったのは、先入観によって、カッパの実在を頭から否定しないでいただきたい、ということのみです。


では、カッパを見せてみろ、ということになりますね。


お見せ致しましょう。


さあ。
私を見てください。


これがカッパです。
人間による実験的教育に適応した結果、自分を人間であると思い込み、仲間の危機に目を閉じていた、あわれで、卑劣な、一匹のカッパです。


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