ぽえ村 春太郎

ぽえ村から来ました春太郎と申します。 ぽえ村の情報発信をするため、no+eに参加させていただくこととなりました。 ステキな村でございます。 村の人口は0人、犬も0匹、猫も0匹でございます。 あなたのおいでを村民一同お待ちしております。

ぽえ村 春太郎

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マガジン

  • 日出高オフサイド伝説。

    天才サッカー少年におとずれた挫折の危機。「糖質控えめ」と謳いながら、脂質たっぷりの御菓子をみるたびに、なんだかバカにされた気がしてしまうおませな少年が見いだした答えとは。青春とはなにか。明日はどっちだ。

  • 菓子男異邦箱由来

    あの日、オレは動かぬ霧のなか、ともづなをといて…… お菓子をこよなく愛する男が、その幸福な毎日のなかで不意に遭遇した悲劇とは。明日はどっちだ。

  • 失われたカッパを求めて まとめ

    頭の羽かざりを揺らし、ちくびのピアスを鳴らして、教室の窓から飛び降りた先生。あのとき先生は、たしかに「カッパは存在する」といった。運命に翻弄された、ある男の物語。果たして彼は英雄か、それとも……。

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芸術から私たちを守れ!

昨今、「カリスマ」首長による文化事業切りが話題になっています。これからも同じような動きは加速していくことでしょう。 さて、私たちが芸術を守るべきいくつもの理由については今更の感がありますが、いちおうざっと述べておきます。 社会は複雑系です。 初期値に対してあまりにも敏感なので、入力の調整によって出力をコントロールすることができません。 また、冗長性のない系は不測の事態に対して脆弱です。 したがって社会という系のレジリエンスを保持するための方針は次のようになります。 できる

    • 怪盗るぽんの回答 20(完)

      「いよいよね」 女は山頂の、建設中の城をみあげた。それは巨万の富と絶大な声望、そして権力を得るにいたった明智小三郎の居城である。国民の探偵だった彼だが、熱狂的な支持層である後援団体「少年探偵団」の強烈な後押しもあって、いまや次期総理大臣の呼び声もたかい。 「あいつも変わってしまった」木によりかかってそれを見つめていたるぴんがつぶやいた。「あいつと俺たちは不倶戴天の関係とはいえ、どこかにスポーツマンシップのようなものはあった。しかし、あの事件依頼、変わってしまった」 その事件と

      • 怪盗るぽんの回答 19

        「おじいさまが大切にしておられたのはこころでした」 武者小路はいう。 「こころ?」 「怪盗としてのこころ」武者小路は試すような目でるぽんを見つめた。「わかりますか? 怪盗としてのこころ」 るぽんは静かに自分の考えを告げた。 「わかりません」 他人の前で、怪盗のこころなどわからない、と答えたことで、るぽんは自分のなかで何かが解き放たれたのを感じた。過去に囚われていた自分から、今まさに本当に脱却したのだ、という気がした。 「私には怪盗を名乗る資格がありません。出所したら、ふつうの

        • 怪盗るぽんの回答 18

          「ここは不思議な場所ですね」 るぽんは今更ながら武者小路の独房を見回してつぶやいた。猛火がすぐそばでうねっているのが窓からは見えた。パチパチとあちこちの構造材が焼け、爆ぜていく音が聞こえた。にもかかわらず、この独房はしずかで、むしろ涼しいとさえいえた。 「なんの。ただのトリックですよ」 武者小路は謙遜するでもなく、ほんとうにただのちょっとしたトリックなのだというふうに肩をすくめた。 「おじいさまが得意としていたワザですよ。一流の怪盗は火事ぐらいならコントロールできるのです」

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        芸術から私たちを守れ!

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        • 日出高オフサイド伝説。
          9本
        • 菓子男異邦箱由来
          10本
        • 失われたカッパを求めて まとめ
          15本

        記事

          怪盗るぽんの回答 17

          小早川平太郎脱走の報はすぐさま近隣の警察署に伝達された。十台をこえるパトカーが動員され、よぞらにパトランプで赤い点線を描きながら、夜の町を縫うように徘徊した。 監視カメラではそれらしき影が駅の方にむかうのが確認されていた。 しかし、るぽんは駅などに向かってはいなかった。 るぽんは燃えさかる西棟のなかにいた。 たえざる訓練を続けてきたるぽんにとっても、やはり火炎うずまく建物内での活動は困難を極めた。目がかすみ、肺がやけた。涙がとまらず、まばたきをするたびに粘性の高い汁が視界を

          怪盗るぽんの回答 17

          怪盗るぽんの回答 16

          夜が明けたかと思われた。 ちいさな格子窓からなんとなしに外を眺めていると、空の低いところが赤々と染まり始めたのである。はじめは何かの自然現象化とぼんやり眺めていたのだが、数瞬後にはさすがに気づいて、外の様子をたしかめるために壁にはりついた。 こんなにもおおぜいいたのかというくらい、たくさんの看守たちが右へ左へかけまわっている。それぞれ必死の形相で、いかにも忙しそうに走っているのだが、背伸びして小さな窓から見下ろす目には、なにか滑稽な幕間劇のような間延びした感じがした。 その表

          怪盗るぽんの回答 16

          怪盗るぽんの回答 15

          いや、まて。 武者小路がるぽんの祖父のことをいっていると考えるのは早計ではないか。まず昭和期に活躍した大怪盗に血縁者があるという事実自体、世間にはあきらかになっていないはずだった。誰かと勘違いをしている可能性の方がはるかに高い。 武者小路は理知的に見えはするが、塀の中での生活がながいだけに、ちょっとズレている部分がないではない。鷹揚なのは美徳ではあるが、あまりに度を超えている部分はあって、見方によれば軽度の痴呆のようにさえ見えないではない。 現実的におじいさまが正体を誰かにつ

          怪盗るぽんの回答 15

          怪盗るぽんの回答 14

          それからもるぽんは怠りなく過ごした。 ひと月がたち、ふた月が流れた。場所がら気のあらいものもいればこちらに挑んでくるようなものもいた。そのいずれにも惑わされることはなかった。るぽんの時間はただおのれと向かいあうことのみに費やされていった。 なんとおこがましく、傲慢だったことか。るぽんは過去の自分をそう振り返っていた。記憶のなかの自分は居丈高で、自信過剰で、それでいて実力をともなわない、ひ弱わな羽虫にみえた。まるでおじいさまとは異なる、このあわれな姿を、るぽんはしかし、慚愧もな

          怪盗るぽんの回答 14

          怪盗るぽんの回答 13

          るぽんはそこで模範囚として過ごした。 もちろん犯してもいないわいせつ罪への後悔の念からそうしたのではない。それはるぽんというおのれの誇りの置き場だった名を捨てるための儀式だった。 るぽんという名は、燦然と輝く過去、語り継がれる歴史と直結していた。自分はその高貴な血統の末裔なのだ、という自覚はるぽんに不安と恍惚とを与えた。その名があらわす理想、秩序を唾棄し、万難をものともせず、情に動き、義をなす。あらゆるものから隔絶して、圧倒的に孤立する力能。 るぽんはこの名を捨てようと決意し

          怪盗るぽんの回答 13

          怪盗るぽんの回答 12

          判決はすみやかに下された。 るぽんは有罪。逮捕される直前に女子大学にかけつけて最後の一騒動を起こそうとした点と、そうでなくても刑事を前に逃げようとした点とが悪印象を与え、執行猶予なし。 それまで交番のご厄介になることはあっても、正規の手続きを経て有罪判決をうけたことはなかった。それも反逆罪といったような豪気な罪ならばともかく、である。 もともとは父祖の遺産を兄たちに先んじて得ようとしたのだった。それがどういうわけかひったくりを誤認してしまい、あれよあれよという間にこんなとこ

          怪盗るぽんの回答 12

          怪盗るぽんの回答 11

          堂々たる予告に始まり、警察当局の総力をむこうに回して、ときにはその姿をあきらかにしながら、ついに紙一重で追跡をかわしきってシゴトをこなし、爽やかな傲岸でもって権力と権威とに後ろ足で砂をひっかけて、風と去る。これが義賊である。怪盗である。るぽんは兄たちと共にそう心がけていた。いや、心がけというところながら、その優秀な兄たちにはるかに立ち勝ってそう考えていた。 惜しむらくは、志余って技倆は不足していた。 るぽんは目の前の刑事の手つきを呆然と眺めていた。刑事はまるでトランプのマジ

          怪盗るぽんの回答 11

          怪盗るぽんの回答 10

          るぽんが部屋を出そうとすると、いやな予感に足が止まった。郵便物を確認するふりをして周囲の様子をうかがうと、若い男が二人、道ばたに座り込んで缶コーヒーを飲みながら駄弁っているのが見えた。るぽんはさりげなくその二人の様子を確かめた。 二人とも大きめの服をラフに着ていたが、かなりいい体格をしているらしいことは見て取れた。短髪に刈り込んだ頭部は額のあたりからしっかりと日焼けしていた。すっと伸びた背筋から、談笑にそぐわない緊張感が立ち上っていた。 おそらく刑事だろう。 るぽんはドアを

          怪盗るぽんの回答 10

          めやに

          めやにがとまらない 朝起きると目があかない かゆい ちょっと掻くと、もう止められない アイキャントストップ 目頭がめやにでバリバリに固まっている 指でほじりすぎて血が出ていた 携帯充電する 寝ながら まぶしい光 ベルリオーズの幻想 ディングドング ディングドング 鐘が聞こえる

          怪盗るぽんの回答 9

          「小早川平太郎さんですか?」 玄関のドアをあけると、小柄な男が立っていた。口調は慇懃だったが、立つ姿に押しがあり、ぶしつけなほどまっすぐにるぽんを見つめていた。これはやっかいなことになった、とるぽんは直観した。 「はい」 「私はこういうものです」と、男は警察手帳の証明写真のページをさっと見せた。じっくり見ようとするるぽんを無視して、パタリと閉じた。それは隠そうとしているというよりは、手続き上必要だからそうしているだけといったやり方だった。さだめし有無をいわさず我を通す性格なの

          怪盗るぽんの回答 9

          怪盗るぽんの回答 8

          「そういうわけで、犯人はあの窓から入ったのではないのです」 男はうちやぶられた高窓をゆびさした。ガラスの割られた窓枠からはきれいな満月がのぞいていた。その広間にあつめられた人々は、みな男の動作につられてあんぐりと口をあけて天窓をみあげた。 「あの窓を割ったのは捜査の目隠しであり、同時にこの密室窃盗トリックのキモでもあるのです」 男はそういって一歩動いた。すると人々はそのわずかな動作にひきつけられてそちらに注目した。男は全員の視線を確認しながら、しかしさりげなく部屋をおおきく左

          怪盗るぽんの回答 8

          怪盗るぽんの回答 7

          あいつ、はるぽん一家にとって宿命の敵だった。 あらゆる悪行をなしながら、いつわりの顔で世間をだまして、うまくその罪を他者におしつける、えたいのしれぬ妖術をつかう、おとこ。 るぽんを含む兄弟たちとの対決の結果、あいつは刑務所にほうりこまれたはずだった。出所はまだまだ先の話である。しかしるぽんの勘はこれはあいつだと告げていた。 あいつの手にかかれば看守をだきこむなど造作も無いことである。それを警戒して箝口令が敷かれているはずだが、それとてもかいくぐるだろう。全員が全員、るぽん兄弟

          怪盗るぽんの回答 7