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映画配給会社の仕事④~ご縁こそがブッキング?

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さて、買い付けが終わったら次は劇場ブッキングです。
ブッキングというのは、映画の上映館を確保すること。弊社のようにミニシアターでの上映の場合、まずは東京の封切り館を決め、そのあとに順次日本全国のミニシアターに上映のお願いをしていきます。
今、東京のミニシアターはざっと数えて30館ほどあるでしょうか。配給会社に個性があるように映画館にもそれぞれ特色があります。配給会社は映画がなくては始まりませんが、それを上映してくれる映画館が何よりも大切なのです。この映画を買い付けたい!と思うと同時に上映してほしい映画館が頭に浮かびます。
映画祭で試写室から出て、ああ、この映画配給してみたいなあと思いながら歩いていると、頭によぎった映画館の担当者とバッタリ会うなんてことも。それこそが相思相愛なブッキングといえるかもしれませんね。

クレストが初めて劇場ブッキングしたのは六本木俳優座シネマテン改め俳優座トーキーナイト、作品はペドロ・アルモドバル監督の『セクシリア』でした。
アルモドバル監督と言えば、今や大巨匠、昨年のカンヌ映画祭のコンペに出品された『ペイン・アンド・グローリー』で主演のアントニオ・バンデラスが見事主演男優賞に輝きましたが、『セクシリア』はバンデラスのデビュー作です。『バチ当たり修道院の最期』、『神経衰弱ぎりぎりの女たち』など抜群の色彩センスとキッチュなアルモドバルの初期作品が大好きでしたので、旧作でしたが、クレスト配給第一作として迷いなく配給を決めました。

セクシリア2

俳優座シネマテンは俳優座の舞台が終わった後の劇場を使い、午後10時からの上映をするレイトショーとして1981年にスタートし、トリュフォーの『アメリカの夜』、ヴィスコンティの『ベニスに死す』、フェリーニの『甘い生活』などのリバイバル上映をはじめ、ジェイムス・アイヴォリー監督の『眺めのいい部屋』の封切り(初上映)など、それはもう綺羅星のような作品を上映してきたミニシアターのパイオニア的存在です。1995年俳優座シネマテンからシネマトーキーナイトへと名称を変え、その第二弾として『セクシリア』は上映されました。今でもあの初日は忘れられません。
弊社は『眺めのいい部屋』、『ベニスに死す』もリバイバルで配給していますが、両作ともに私の個人的ベスト5に入る作品で、いつかは配給することが夢と思ってきた映画です。今更ながら初のブッキングができた劇場との不思議なご縁を感じています。

『ベニスに死す』sub2

では、次回は宣伝用写真についてのお話です。


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