7人制ラグビーの強さについて考えてみる

こんにちは!
東京オリンピックで7人制ラグビーが開催されました。結果は男子が11位/12チーム、女子が12位/12チームになりました。

フィジー・ニュージーランドがメダルを2個持っていき、アルゼンチンが男子で3位、予選から勝ち上がってきたフランスが女子で2位になりました。

2020年のラグビーシリーズが無かったこともあり、日本は前回の結果のようにはいきませんでした。

1.7人制ラグビーは15人制とは別に国内大会がある

7人制のラグビー大会事情について調べてみました。
筆者の労力の都合でプロ化が進んでいる男性に限定して調べてみました。ただ、女性も男性と比べて小規模ながら同様の大会がどの国にもあるようです。

A.日本のケース

日本では15人制ラグビーに関してはトップリーグ(現リーグワン)があり、7人制ラグビーに関しても一応大会はあります。
ただし、15人制ラグビーとはチームの顔ぶれが異なる状況、となっています。

また、リオオリンピックまではトップリーグのチームが参戦していましたが、2016以降はその傾向がなくなっています。大学のチームがやや目立つ印象ですね。

B.ニュージーランドのケース

ニュージーランドのラグビーは各地域のラグビー協会がチームを形成し対抗するという考え方です。スーパーラグビーのチームは各地域のラグビー協会を5つの大きな地方に分けて結成している形です。
日本でいうと国体の県別対抗戦がプロ化している状況に近いです。
(スーパーラグビーのチームは喩えるなら関東・関西・東北・九州・中四国でチームを作っている感じです)

勿論7人制ラグビーのトーナメントもあり(2020はcovid-19の影響で中止)、直近ではワイカト・オークランドが好成績を収めている傾向にあります。

15人制ラグビーとラグビー協会が同一であり、一貫してチームマネジメントを行っていることが分かります。

Cオーストラリアのケース

オーストラリアもラグビーのチームの運営形態はニュージーランドと似ています。各地区のラグビー協会がチーム運営のベースになっています。

大学選抜・先住民選抜・タスマニア・アデレード・北オーストラリアがチームとして登録されています。これは15人制にはない特徴です。とはいえ、15人制が強い地域がやはり7人制でも好成績を収めています。

D英国のケース

英国の中でもイングランドを例に見てみます。
7人制に関してはローカルな大会が行われていることが分かります。(プロアマ問わず) 各地で試合が行われ、最終的に決勝が2020年の場合はノッティンガムで行われたようです。

チームエントリー・地域のチームへの登録なども協会のページから直接アクセスできるようで、メンバーになるための導線が明確になっています。
(上の”RFU”のページ⇒地図のピンをクリックで各地域のチームのページに誘導されます。GoogleMapベースなので制作も容易ではと思われます)

Eフィジーのケース

ここまで書いてフィジーが何故ないのか?あります。
公式のラグビー協会のホームページからだと7人制ラグビーは国際試合の情報しか得られませんでしたが、SNS(主にFacebook)から何とか断片的な情報を得られました。
フィジーの場合、7人制の国内大会が”私設でも”結構な頻度で行われているようです。

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Posted by Tabadamu Rugby 7's Team on Monday, April 19, 2021

こちらの場合、男性が82チームエントリー・500$登録費を支払い、1位になった場合5000$、2位には2000$を貰えるようになっています。
1位は日本円換算で25万円ほどです。

筆者から見るとこれは日本の野球でいう私設トーナメントに近いものという印象です。日本の草野球(※軟式)の場合は、草野球三番地というマッチングサイトでバット(5~6万円ほど。レガシーとかビヨンド素材)を景品にトーナメントの募集がかけられることがあります。
それくらい7人制ラグビーが草の根レベルまで浸透しているという事ですね。

2.15人制代表は7人制代表にどのくらいの選手がなれているのか

女子ラグビーについては知識がまだ浅いため今回は男子ラグビーについて数チーム見ていきます。

銅メダル/アルゼンチン:代表Cap所持者2名
半数が地域のアマチュアチームの選手になっているようです。15人制代表経験のある選手はGermán Schulz、Santiago Álvarezでいずれも3キャップほどです。

銀メダル/ニュージーランド:代表Cap所持者0名
マオリオールブラックス経験のある選手は3名いますが、オールブラックス経験者は0名です。(マオリ:Joe Webber、Kurt Baker、Regan Ware)
一応バックアップメンバーに2020年にオールブラックスに選出されたケイレブ・クラークが入っていますが出場機会はありませんでした。
個人的に興味深いのはAmanaki Nicole選手が29歳にして初めて地区代表になり国代表にもなっている所です。

金メダル/フィジー:代表Cap所持者1名
代表経験のある選手はラドラドラのみとなっています。ただ、15人制ラグビープレイヤー全体を対象にすると3名ほどになってきます。うち1名はフランスのトゥーロンでプレーしています。
ただ、そのほかの選手は地元フィジーとセブンスシリーズでプレーしている選手になります。

15人制ラグビーと7人制ラグビーは必要とされているスキルが異なる所もあり、両方代表になるというのは簡単なことではないようです。
これを踏まえて7人制は7人制に強い選手ー例えば足が速い、ハイボールキャッチに長けているといった一芸に長けた選手の育成も必要になるかもしれません。

3.2024パリオリンピックに向けて

セブンズでメダルや上位を狙うことを目指すのであれば、今までのように15人制の選手を都度召集する形では勝てない時代になってきたかもしれません。
幸い、日本には高校・大学レベルで7人制ラグビーの大会があるので社会人レベルでの大会をどれだけ作れるかがポイントになると思います。

リーグワンの各チームが7人制のチームを別途編成して大会を組むのも一つの手かと思いますが、資金面でそれが可能かかというと不透明なのではないかと思います。

日本のラグビー協会が15人制を重視するという事で、7人制ラグビーの体制整備に積極的でないことも考えられます。ラグビーに造詣があり、資金に余裕がある方がフィジーのように随時スポンサーを募って私設で賞金付きの大会を立ち上げてみるのも面白いかもしれません。

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