障がいのある方が輝ける場所を一つでも多く生み出す One Leaf Cloverの挑戦
世界でも屈指の少子高齢化社会に突入している日本。
そして人口が減っていく日本では、多様な人たちの能力を活かせる社会にならなくてはなりません。今ではAIもフル活用した新しい社会を創り出す動きが、少しずつ生まれ始めています。
そんな中、株式会社クリーク・アンド・リバー社(C&R社)のグループ会社 株式会社One Leaf Cloverは、障がい者の無限の可能性を追求して新しい活躍の場をどんどん生み出す会社として誕生しました。
今回は、One Leaf Cloverが東京大田区に開設した水耕栽培施設「羽田Labo」を取材したレポートをお届けします。
One Leaf Cloverとは
まずOne Leaf Cloverについて説明します。設立は2022年4月。C&Rグループの特例子会社(障がい者の雇用促進と安定を目的として設立される子会社)です。2024年2月現在で約50名の方を直接雇用しているほか、C&Rグループ全体で数十名の方の雇用の支援を行っており、国の定めた法定雇用率を上回っています。One Leaf Cloverでは障がいをもつ方が様々な業務で活躍いただけるように取り組んでいます。
One Leaf Cloverの社名の由来は四葉のクローバーの花言葉からきています。One Leaf、一つ葉には「困難に打ち勝つ」、二つ葉は「調和」、三つ葉は「信頼」、そして四つ葉は皆さん良くご存じの「幸運」です。様々な障害を乗り越えて「困難に打ち勝ち」、社会と「調和」し「信頼」を得て最後は四つ葉になって「幸運」をつかんでいく、という想いが込められています。
障がいのある方にどんな仕事で活躍してもらっているかというと、C&R社本社での庶務や清掃の仕事をはじめ、サテライトやリモートで行うデータ入力業務、PCの設定を行うキッティング、独自の室内水耕栽培施設で行う新しい農業、クリエイターとしてのクリエイティブ業務などがあります。
多岐にわたる業務のなかの一つが農業で、One Leaf Cloverでは独自の室内水耕栽培施設として「羽田Labo」を開設しています。
One Leaf Cloverが開設した「羽田Labo」とは
C&R社本社のある東京の新橋からJRとモノレールを乗り継いで30分ほどで到着する「昭和島駅」。そこから徒歩で8分ほど歩いたところに昭和島ロジテムセンタービルがあり、ここにOne Leaf Cloverの「羽田Labo」があります。
水耕栽培施設はビルの2階。衛生管理を徹底した施設でミネラル豊富なフリルレタスや低カリウムレタスなどを育てています。1週間で700パック、1,200株ほどのフリルレタスを出荷する計画で事業を行っています。室内なので、天候に左右されず働ける職場です。この日はOne Leaf Cloverの社員や知的・精神障がい者の方、体験実習に参加した実習生とジョブコーチなど総勢10名ほどが、一生懸命に作業をしていました。午前中は出荷作業、お昼休憩をはさんで午後は種まきなどの作業を行っています。
種まきから6週間で出荷できるサイズにまで育った野菜は、問屋などを通じて、スーパーやデパートなどに卸され、ホテルやレストラン、家庭の食卓に上っているということです。
「羽田Labo」の目的とは
「羽田Labo」設立の経緯はどのようなものだったのでしょう。One Leaf Clover代表取締役の井坂徳雄(いさか のりお)さんに話を伺いました。
井坂さん:「障がい者のある方が働ける場所を作りたいと考えていた時に、たまたま運営を任せたいと考えている水耕栽培施設にめぐり合いました。室内で定型業務を行う水耕栽培は、障がいのある方も活躍できる可能性があると思って事業を開始しました。One Leaf Cloverの目的は障がい者が働ける場所を一つでも多くつくることで、その一つが室内での水耕栽培事業だったということです。そしてこの羽田Laboは、就労継続支援B型事業所も併設しているんです」
就業継続支援B型事業所とは、いったいどのような施設なのでしょうか?
就労継続支援B型事業所BeanStalkって何?
この疑問に答えてくれたのは、井坂さんと一緒にOne Leaf Cloverでの事業を推進している新妻繭子(にいつま まゆこ)さんです。
新妻さん:「就労継続支援B型事業所(B型事業所)というのは、障がいのある方など、雇用契約を結んで働く一般就労はまだできないけれど、いずれ一般就労を目指したい方、社会参加したい方向けの事業所です。私たちのB型事業所BeanstalkはOne Leaf Cloverで培ったノウハウを活かして水耕栽培や清掃作業、各種プログラム、イベント・レクリエーションなどで利用者を支援します。2023年9月にBeanstalkをつくり、今年2月から通ってくる方の受け入れを始めました」
井坂さんが続けて説明してくれました。
井坂さん:「このB型事業所での体験をOne Leaf CloverやC&Rグループの一般就労につなげて、そのまま羽田Laboの水耕栽培で働いてもらったり、庶務や清掃作業、PC作業で活躍してもらったり、いろいろな業務を通じて成長していってもらいたいと思っています。さらに外部企業に就職を紹介できるくらいにまで事業として大きくしていきたいです。B型事業所から一般就労に結び付くのは1割程度しかないという状況を、私たちの取り組みでどんどん変えていきたいです」
One Leaf Cloverの今後の目標は
井坂さん:「障がい者雇用の仕事の幅をどんどん広げていきたいと思います。C&Rグループに貢献することがまず第一ですが、それだけではなくて水耕栽培作業をはじめB型事業所自体を拡大していきたいです。このB型事業所の定員は20名と限りがあるので、事業場外労働でもっと受け入れをはかったり、新たな事業所をつくったり、障がいのある方が働き方や働く時間・場所を自由に選択できるような取り組みも行っていきたいです」
新妻さん:「B型事業所と特例子会社の垣根が変化してきています。私たちの目標は、B型事業所で経験を積んだ方々が、One Leaf Cloverを通じてさらにレベルアップしていけるように、一歩一歩ステップアップできる環境を提供することです。今一緒に働く障がいを持たれている方々はとても頼りがいがあって、いろいろ教えてもらうことが多いんです」
障がいに関係なく皆さんが一体となって育っていくイメージを、今回の取材を通じて感じました。誰もが輝く場所と機会さえあれば、実力を発揮してどんどん活躍する。どんな困難にも打ち勝って、幸運をつかんでいくことにつながっていく。One Leaf Cloverの挑戦を応援し続けたいと思います。■CR
CREEK & RIVER 公式note編集部 TK
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