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武器をもつ生き物7選(創作ネタさがし)

みなさん、
「最近なんか新しい情報に触れる機会が減ったような気がする…」そんな悩みを持っていませんか??

クリエイターズマガジンはそんな時代に、みなさんの生活圏とは違った情報を得る機会を作りたいと考えています。
特に創作においては、そういう体験が新しいアイディアを生むきっかけになったりもしますよね!!

ということで、Twitterフォロワー3.8万人のサイエンスライター&Vtuberの彩恵りりさんに記事をお願いしました!!

今回のテーマは、
武器をもつ生き物7選!!
生き物には思いもよらぬ攻撃的な進化遂げた生き物いますよね??

ボリュームがヤバ過ぎる…!!そしてめっちゃ面白いので、ぜひ読んで創作や日々の活動のインスピレーションにしてみてください!!


皆さんこんにちは!サイエンスライターの彩恵りりだよ!今回は、動物が持つ様々な武器について解説していくよ。

え?動物の武器だったらフィクションの方がスゴいって?
確かにそうかもしれない。けどその発想の素はどこからかと聞けば、それは現実の動物からと言う事になるよ。

何より、動物の世界ではフィクションでも中々ない、あるいはみんなも知らないかもしれない武器を持つ動物がいるんだよ!順に解説していくね!

有名だけどスゴい!電撃を放つ動物

変わった武器を持つ動物、という考えで行くと、最初に思いつくのはデンキウナギ (Electrophorus electricus) かもしれないね。
名前の通りデンキウナギは強力な電撃を発するよ。ただし、実はデンキウナギは最初に記載された事で有名になったけど、2019年になり実は一番電圧の低い種である事が判明したんだよ。新種として記載された2種が860ボルトと570ボルトを出すのに対し、最古参のデンキウナギは最大でも480ボルトなんだよ。何はともあれ、この電撃で獲物を麻痺させ、安全に食事ができると共に、危険が迫った時の攻撃手段としても使うよ。ウマも感電死させることもあり、時には水面より上に飛び上がって身体を密着させ、効率よく電撃を流すなんて芸当もするよ。一方で、発電にはかなりのエネルギーを使うために、放電後しばらくは追加の電撃ができなくなるよ。これを利用し、水面を叩いて驚かせて放電させ、疲れたところを捕獲する、なんて漁もあるくらいだよ。

実は、電撃を放つ魚類そのものはそこまで珍しくはないよ。ただそういうのは大抵、極めて弱い電気を周囲に流し、電場の乱れから獲物を察知するレーダーの機能として使われているよ。デンキウナギなどの電気魚は、これを極めて強力にしたものと言えるよ。発電をする電気器官は、ほとんどの電気魚が筋肉組織が変化したもので、一部は神経組織が変化したものだよ。いずれにしても言えるのは、筋肉と神経を持つ全ての動物が持っている、微弱な電気信号の強化型が電気魚と言う事になるよ。面白い事に、淡水生の電気魚は高電圧低電流で、発電器官は直列に並んでいるよ。一方で海水生の電気魚は高電流低電圧で、発電器官は並列に並んでいるよ。これは海水が淡水よりも電気を通しやすいという性質に応じて生じた適応であるとも言えるよ!だからもし淡水生の電気魚を創作するなら、なるべく細長い身体にすると良いよ。デンキウナギだと、電気器官の長さは身体の80%の長さになっているよ!

生物界最強!?金属のキバを持つ動物

スゴく雑に言えば、生物は有機物の塊だよね?このために生物は大概のものを有機物でどうにかしちゃうから、フィクションで観るような金属の塊を持っている生物はいないよ。金属を含んでいる単純な無機化合物を使っている例は、例えば貝殻などの炭酸カルシウムが代表例としてあるよ。炭酸カルシウムの装甲を持つ唯一の昆虫であるパナマハキリアリ (Acromyrmex echinatior) や、硫化鉄の装甲を持つウロコフネタマガイ (Chrysomallon squamiferum) など珍しい例もあるけど、いずれも防御を目的としたものだよ。攻撃に使う武器としての硬い物質は、リン酸カルシウムが主体のキバを除くと、ケラチンやキチンのような硬い有機化合物が主体だよ。

そんな中で、攻撃に特化し、なおかつ金属を多く含んでいるキバを持つ生物がいるよ。それはグリセラ・ディブランチアタ (Glycera dibranchiata) という動物だよ。ゴカイの仲間であるチロリの1種だよ、って言われてもピンとこないと思うから、軽く説明するね。見た目には体長30cmくらいの、毛が生えた真っ赤なミミズっぽい生き物で、赤色は血液の色が透けて見えるからだよ。普段は泥や砂の中に潜っていて、獲物が近づくと顎を伸ばして獲物に噛みつき、32種類もの毒が混ざったカクテルを注入するよ!でもグリセラ・ディブランチアタの最大の特徴は、噛みつく時に使う長さ2mmのキバだよ。このキバはめちゃくちゃ硬くて、甲殻類や貝殻をやすやすと貫くよ!この中には10%もの銅を含んでいて、銅そのものだけでなく、タンパク質やメラニンを結びつける事で、キバの強度を最大限上げているんだよ!硬さは生物由来の物質で最も硬いとすら言われており、銅の含有量も生物で最も多いとすら言われているよ。最近になり、この一見複雑とも思えるキバの生成についての詳細が判明したから、もしかすると人工的に硬質有機金属ポリマーを合成するためのヒントとなるかもしれないね!またこのプロセスを使えば、亜鉛などの他の硬質有機金属ポリマーの生成のヒントになるとも言えるよ!

皮膚を突き破る毒液付き肋骨を突き刺す動物

かの有名な創作作品だと、主人公の武器は手から出てくる爪だよね。これは自分の肉体を傷つけて出てくるものだけど、主人公は再生能力が高い特異体質があることから大丈夫という設定があるよ。さて、自らの肉体を傷つけて武器が出てくる生物、なんていそうにはない、と思うのも当然だけど、ところが実際には存在するんだよね。

それはイベリアトゲイモリ (Pleurodeles waltl) というイモリだよ。身体をつかまれるなどの攻撃を受けると、肋骨の先端を身体の外側に突き出し、トゲとして使うという驚くべき行動を取るよ!しかも、肋骨が飛び出る部分には毒液を含んだ腺があり、これを突き破ることで毒針として機能するんだよ!こうすれば、咥内の薄い皮膚に毒液付きの肋骨が突き刺さるというわけ!

こんなことをしてイベリアトゲイモリは大丈夫なのか?と思うかもだけど、それは問題ないよ!イモリは両生類の中でもかなりの再生能力を持っていて、この程度の傷は簡単に再生するからだよ。加えて、突き破った肋骨はコラーゲンに覆われていることから、普通の傷よりも修復がしやすい、という利点があるんだよ。

高温で毒性のある “屁” が武器の動物

フィクションではドラゴンを初めとして、様々な動物が炎を吐くね。残念ながら炎を吐く動物は現実には存在しないけど、高熱を武器として利用する動物は実在するよ。それはホソクビゴミムシ類、エグリゴミムシ類、ヒゲブトオサムシ類など、オサムシ科に属する数百種の昆虫で、中でも日本にも生息するミイデラゴミムシ (Pheropsophus jessoensis) は非常に洗練された武器を持ってるよ。危険が迫ると、お尻を向けてガスを放出するんだよ。この時に “ぶっ” と音がする事から付いたのがヘッピリムシで、あんまり強そうには聞こえないね。でもこの “屁” は温度が100℃を超える上に、タンパク質を侵す毒性を持つヒドロキノンを含むから、威力は抜群だよ!実際、ヒキガエルなどに食べられたとしても、この “屁” を口の中で放出すれば脱出できる可能性があるんだよ。また、アリのような小さな相手なら、これで殺す事さえできるよ。

では、こんな高温のガスをどうやって放出するのかな?ミイデラゴミムシの体内には、過酸化水素とヒドロキノンという物質が別々に収納されている部屋があるよ。危険を感じるとこの部屋の入口が開き、過酸化水素とヒドロキノンが混ざって化学反応を起こすよ。これによって100℃以上の水とベンゾキノンが発生して、20%くらいは気化し、急激に圧力が高まるよ。この圧力によって、過酸化水素とヒドロキノンを収納していた部屋は自然に閉じ、お尻にある出口が開く事で噴射されるんだよ。このシステムには筋肉をほとんど使わない事から、ミイデラゴミムシは “屁” の素があればいくらでも噴射できるんだよ!多くの昆虫ではあまり高温にはならず、主にヒドロキノンの毒性に頼っているけど、ミイデラゴミムシのような昆虫では高度に洗練され、温度が極めて高くなっているんだよ!

時に命懸け!毒液を吐き出す生き物

炎と比べると少ないものの、毒液や溶解液を吐き出して攻撃するというのもフィクションではよく見かけるよね?現実の生物では毒を保持していても、水分などが無駄になるのを避けるために、積極的に吐き出すものは少ないよ。とはいえ全く例がないわけじゃなく、時に驚くべき方法を使う者がいるよ。

ニシブッポウソウ (Coracias garrulus) のヒナは、捕食者が近づくと、胃から黄色い吐瀉物を吐き出すよ。これは猛烈な悪臭を放ち、親が戻ってくるまでの時間稼ぎとして機能するよ。フルマカモメ (Fulmarus glacialis) の場合は撃退のために、近づいてきた相手に直接吐瀉物を吐きかけるよ。これら鳥類の吐瀉物は、専門用語では胃油と呼ばれるように、油っぽさを持っているよ。水鳥にとってこれは致命的とも言えるよ。なぜなら羽が立たなくなって飛行機能を失うだけでなく、水に触れた時の断熱性も失われてしまうからだよ。これら吐き出される成分は直前に食べたものが由来だから、例えば餌を食べてから時間が経つと量が少なくなるし、せっかく食べたものを吐き出すわけだから栄養失調のリスクも発生するわけで、まさに諸刃の剣だよ。

テキサスツノトカゲ (Phrynosoma cornutum) やオオツノトカゲ (Phrynosoma asio) など、ツノトカゲ属の少なくとも8種もスゴいよ。手のひらに乗るほど小さいこのトカゲは、砂漠の岩に溶け込む茶色をしていて、食べようとする者がいれば身体を膨らませて全身のトゲを逆立て食べにくくするよ。それでもなお食べてこようとする相手には、なんと眼から自分の血を噴射するんだよ!その飛距離は最大1.5mにもなるよ!これは頭から出る血流を遮断し、血圧によりまぶたの周りにある血管を破裂させる痛々しい方法だよ。血を飛ばす時点でだいぶひるみそうだけど、血は悪臭を放っていて、オオカミ、コヨーテ、イヌと言った動物を効果的に撃退するよ。ただ、猛禽類には効果がないみたいだよ。悪臭の素となる物質は血液の中に予め含まれているようで、その由来は不明だけど、餌とするアリの毒ではないかと言う仮説があるよ。不思議な事に、ツノトカゲ属の8種にこの血液を飛ばす能力が備わっているのに対し、サバクツノトカゲ (Phrynosoma platyrhinos) など密接な3種にはこの行動は観られないよ。サバクツノトカゲが血を飛ばすトカゲとして紹介されるケースをよく見るけど、これは間違いだよ。

更に変わった例として、自ら爆発して毒液をばらまくものもいるよ!それは、名前がそのまんまのジバクアリ (Colobopsis saundersi) だよ。ジバクアリの働きアリは、敵に襲われ、勝てないと悟ると文字通り自爆するよ!自爆は腹筋の急激な収縮で起こるもので、顎下腺に詰まった液体を噴射するよ。これはベタベタしているだけでなく、タンパク質を侵す化学毒性も持っているよ。また、フェロモンとなる物質も含んでいて、仲間に緊急事態を知らせる機能もあるよ。自らの命と引き換えにコロニー全体を守るなんてすごいね!あるいは、コロニー1つが1個体の生命体とも言えるほど、個々の役割分担が特化した真社会性昆虫の極端な例かもしれないね。実際、オートサイシス (利他的自殺) と呼ばれる自己犠牲的な武器を持つ昆虫は、シロアリの1種であるキイロマルガシラシロアリ (Globitermes sulphureus) など、他の真社会性昆虫にも一部見られるよ。

勝手に他の動物を武器にする動物

フィクションの生物は、自前でスゴい武器を持っているものが多いけど、現実の動物では、自前では持っていないけど、他の動物の武器を利用している例も存在するよ。例えばキンチャクガニ (Lybia tessellata) というカニは、ハサミにカサネイソギンチャク (Triactis producta) などのイソギンチャクを付けているよ。外敵に対してイソギンチャクつきのハサミを振り回し、毒で撃退するよ。代わりにカニハサミイソギンチャクは、キンチャクガニが脚として移動手段になってくれることで利益を得ているよ。このように互いに利益のある共生関係での武器としての利用はいくつかの例があるね。

しかしながら、他の動物の武器を使いながらも、全く共生関係ではない例も存在するよ。それはムラサキダコ (Tremoctopus violaceus) というタコだよ。ムラサキダコのメスは最大で2mにもなるけど、オスはせいぜい2.4cmまでしか成長せず、体重の差は実に4万倍にもなるよ。そしてオスと7cm未満のメスは、身体にカツオノエボシ (Physalia physalis) の触手をまとっているんだよ。カツオノエボシは非常に猛毒のクラゲ (正確にはクダクラゲというヒドロ虫の仲間) で、刺されると時にはヒトですら死んでしまうくらいだよ。

カツオノエボシの毒針は本体の生死に関係なく、刺激によって放出されるよ。ムラサキダコはこの特性を利用し、千切れたカツオノエボシの触手を身体にまとって振り回し、防御と捕食の両方に使っているんだよ。また、これほどオスとメスで身体の大きさに差があるのも、この防御方法を使っているからだと見られているんだ。ちなみに、ムラサキダコ自身はカツオノエボシの毒に影響を受けないけど、これは毒自体にに耐性があるのか、もしくは毒針に刺されても平気なだけなのかはよくわかってないよ。

最後はやはり、道具を武器にする動物!

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フリーランスで活動始めた当初、本当に何をしていいのか分からず途方に暮れていました。そのとき「こんなんあったら助かったのに…」と思ってたものを作っています!クリエイターさんむけではありますが、他業種の人も楽しめるような内容になってるとは思います!!

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