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動物の変わった繁殖行動

みなさん、
「最近なんか新しい情報に触れる機会が減ったような気がする…」そんな悩みを持っていませんか??

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特に創作においては、そういう体験が新しいアイディアを生むきっかけになったりもしますよね!!

ということで、Twitterフォロワー3.8万人のサイエンスライター&Vtuberの彩恵りりさんに記事をお願いしました!!

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ぜひ読んで創作や日々の活動のインスピレーションにしてみてください!!

みんなこんにちばんは!サイエンスライターの彩恵りりだよ~。

今回は初めてのシリーズ!創作のヒントになるかもしれない、世界の不思議な事を紹介するよ!
さて今回のテーマは「動物の変わった繁殖行動」。動物のほとんどは、他の相手とつがいとなる事で子孫を増やすよ。繫殖のための戦略も多種多様だよ。今回は、そんな中でもかなり変わっているものを紹介していくね!
 
複雑で合理的な巣を作るフグ



アマミホシゾラフグ (Torquigener albomaculosus) のオスは、繁殖のためにスゴく複雑で巨大な巣を作るよ!身体やヒレを振るわせて海底の砂をかき分けて、中央部にくぼみを作り、その外側には洗濯板やシャンプーハットのような山谷のある構造の巣を掘るよ。上から見ると花のように見えるこの巣の直径は1.5mから2.5m。これを体長12cm程度のフグが作っているというのだから驚きだね!この非常に複雑な構造は、海流に卵が流されないようにするための工夫と観られているよ。実際、同じようなモデルを作成して流れを作ってみると、中央部の流れの強さは、周りと比べて4分の3に減少する事がわかっているよ!このミステリーサークルの存在自体は1995年頃から知られていたけど、このフグが作っているという事が判明したのは2012年ごろだよ!しかも作っているのが新種のフグだった事が分かり、アマミホシゾラフグとして2013年に新種として記載されたんだよ!

巣作りをしているオスのアマミホシゾラフグ (左) と、実際にできた巣だよ。

[参考文献]
Hiroshi Kawase, Yoji Okata & Kimiaki Ito. “Role of Huge Geometric Circular Structures in the Reproduction of a Marine Pufferfish”. Scientific Reports, 2013; 3, 2106. DOI: 10.1038/srep02106
[画像引用元]
“Showing Off to the Universe: Beacons for the Afterlife of Our Civilization”. (Jan 25, 2018) Stephen Wolfram. https://writings.stephenwolfram.com/2018/01/showing-off-to-the-universe-beacons-for-the-afterlife-of-our-civilization/ (CC BY-SA 4.0)

求愛行動がとっても粘り強いペンギン
求愛で苦労するという点では、世界最大のペンギンであるコウテイペンギン (Aptenodytes forsteri) もスゴいよ!-60℃にもなるブリザード吹き荒れる氷原で、4ヶ月間も絶食しながら、1シーズンでたった1個の卵を温めるという、世界一過酷な環境で子育てする鳥類とも言われるコウテイペンギン。だからこそ、パートナー探しはとても重要だよ。コウテイペンギンは、短く繰り返す鳴き声や、まるで胸を張ったりお辞儀をしているように見えるダンスを組み合わせた求愛行動で、相手がパートナーを組むのにふさわしいかを見定めるよ。他の動物の求愛行動は、15分から長くて数日と言われている中で、コウテイペンギンの求愛行動は平均で6週間もかかるよ!これは繁殖期間全体の16%を占めていて、他のペンギンでもここまで極端な長さ・割合の種はいないよ!過酷な環境にもふさわしいパートナー探しというのは苦労するね!


コウテイペンギンが1シーズンに育てるヒナはたった1羽!だから相手を見定める求愛行動は大事だよ!

[参考文献]
André Ancel, Caroline Gilbert & Michaël Beaulieu.”The long engagement of the emperor penguin”. Polar Biology, 2013; 36 573-577. DOI: 10.1007/s00300-013-1285-9
[画像引用元]
WikiMedia Commons (Autor: Denis Luyten) https://commons.wikimedia.org/wiki/File:2007_Snow-Hill-Island_Luyten-De-Hauwere-Emperor-Penguin-65.jpg (Public Domain)

 求愛のために黒さを極めた羽を持つ鳥
こんな風に鳥類の求愛行動にはスゴいものはいろいろあるけど、カタカケフウチョウ (Lophorina superba) もかなり極めているよ!オスはメスに求愛ダンスを行い、この時、頭と胸の青い羽、そして開いた嘴の黄色を目立たせるために、身体全体の黒い羽を展開するよ。この模様はまるで顔のように見える、ちょっと不気味なものであるけど、この黒い羽はとてつもなく黒いよ。なんと反射率は0.05%!自然界でも人工物でも、これに匹敵するのはわずかしかないよ!この黒さは、羽が極めて細かく枝分かれしているのが理由だよ。この枝分かれの森の中で、光が何回も反射するうちに吸収されきってしまうのが理由だよ。求愛行動のためとは言え、ここまで黒さを極めた羽を作り出すなんてすごいね!


手前がメス、奥がオスのカタカケフウチョウだよ。


非常に細かく枝分かれした羽が何回も光を反射し、ほとんどを吸収してしまうのが暗さの理由だよ。


[参考文献&画像引用元]
Dakota E. McCoy, Teresa Feo, Todd Alan Harvey & Richard O. Prum. “Structural absorption by barbule microstructures of super black bird of paradise feathers”. Nature Communications, 2018; 9, 1. DOI: 10.1038/s41467-017-02088-w

交尾の成功率を上げるため、自らメスに食べられるクモ
ところで、カマキリやクモのような生物は、交尾をし終わったオスをメスが食べてしまう!って聞いたことはあるかな?実際ゴケグモの仲間は、交尾後のオスを食べてしまうメスが多く知られているけど、オスにとっては望ましくないのか、逃げ出したり、囮となる餌を持っていくなどの工夫をしているよ。それでもそんなイメージが払しょくできないのは、日本では危険な外来種としても知られているセアカゴケグモ (Latrodectus hasseltii) がいるからかもね。セアカゴケグモのオスは交尾の最中に身体をひねり、メスの口の近くにわざわざ配置するよ。メスは交尾をしながらオスを食べてしまうから、オスは交尾中に3分の2が死んでしまい、残りも深刻なケガが原因で餓死してしまうよ。交尾の時間を長くして成功率を上げるほか、オスを食べたメスは別のオスと交尾をしなくなる事が観察されているから、確実に遺伝子を残す戦略とみられているけど、にしても極端だよね!?


セアカゴケグモのメスは交尾中にオスを食べてしまうけど、オスは自ら食べられるように仕向けているよ!

[参考文献]
L. M. Forster. “The Stereotyped Behavior of Sexual Cannibalism in Latrodectus-Hasselti Thorell (Araneae, Theridiidae), the Australian Redback Spider”. Australian Journal of Zoology, 1992; 40 (1) 1-11. DOI: 10.1071/ZO9920001
[画像引用元]
WikiMedia Commons (Autor: Toby Hudson) https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Latrodectus_hasseltii_close.jpg (CC BY-SA 3.0)

自分から呼び出しておいて喪女を食べてしまうクモ!?
このように、大部分の生物ではメスの方がオスよりも力関係が上で、だからオスを食べるメスはいても、メスを食べるオスはいない…とちょっと前までされていたんだけど、実は全然そんな事ないというのが見つかったよ。アロコサ・ブラシリエンシス (Allocosa brasiliensis) とアロコサ・アルティセプス (Allocosa alticeps) という2種のクモは、普通のクモとは逆に、オスがフェロモンを放出し、メスがそれに引き寄せられるよ。それだけでなく、オスは若いメスとは交尾をするけど、年老いたメスはなんと食べてしまうんだよ!若いメスほど子孫を残す確率が高いという判断なんだろうけど、自分から呼び寄せておいて、その喪女に厳しく対応する、というのはなんだかねぇ。


アロコサ・ブラシリエンシスは、オスがメスを引き寄せ、しかもメスを食べてしまうという珍しい生態を持っているよ。

[参考文献]
Anita Aisenberg, Luciana Baruffaldi & Macarena González. “Behavioural evidence of male volatile pheromones in the sex-role reversed wolf spiders Allocosa brasiliensis and Allocosa alticeps”. Naturwissenschaften, 2010; 97, 63. DOI: 10.1007/s00114-009-0612-z
[画像引用元]
WikiMedia Commons (Autor: Marcelo Casacuberta) https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Allocosa_brasiliensis_male_-_cropped.jpg (CC BY-SA 3.0)

メスに触れるとアウト!?毒がみんなをオスにする
一方で、メスの力関係が極端すぎて、オスは子孫を残す以外にほとんど役割が無いんじゃないかってくらい小さなものを矮雄と呼んでいて、主にチョウチンアンコウなんかに観られるよ。ただ、ボネリムシ (Bonellia viridis) ほど極端なのもなかなかないよ。多毛類というゴカイの仲間で、長さが10cmくらいの緑色の紐のような身体、一見頭のように見えるけど実は広げた口というT字型の先端部を特徴としているよ。ただ、この目に見える大きさの個体は全部メス!ではオスはというと、顕微鏡サイズの小さなものがメスの身体の表面や内部に寄生虫のごとく群がっているよ!ボネリムシは幼体の時にはオスもメスも決定されていない未分化の状態だけど、メスに接触すると、メスの身体から分泌されるボネリンという物質の作用でオスになる事が決定づけられるよ!だからどのメスにも接触せず、他の生物にも食べられない幸運な一握りだけがメスになれる特権を得られるんだよ!ちなみにこのボネリンという物質、他の生物に食べられないようにする毒の役割も果たしているんだよ!


ボネリムシはかなり奇妙な姿をしているけど、目に見える大きさの個体は全部メス!オスはメスの身体の内外にいる顕微鏡サイズのものだよ。

[参考文献]
Ludek Berec, Patrick J. Schembri & David S. Boukal. “Sex determination in Bonellia viridis (Echiura: Bonelliidae): population dynamics and evolution”. Oikos, 2005; 108 (3) 473-484. DOI: 10.1111/j.0030-1299.2005.13350.x
[画像引用元]
Iconographia Zoologica (Public Domain) https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bonellia_viridis_-_-_Print_-_Iconographia_Zoologica_-_Special_Collections_University_of_Amsterdam_-_UBAINV0274_103_11_0006.tif
こんな風に、動物の求愛や繁殖は千差万別。ここに紹介しきれなかった、変わった繁殖行動を取る動物はまだまだたくさんいるけど、何か創作のヒントになるようなものもいるかもしれないね!


【著者の彩恵りりについて】
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