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描き 考える

こんにちは。

2020年4月より

武蔵野美術大学 大学院 造形構想研究科 造形構想専攻クリエイティブリーダシップコースに通っています。

私の学科では「クリエイティブリーダーシップ持論」という授業があり、
毎週クリエイティブとビジネスを活用して実際に活躍されているゲスト講師をお招きし、
お話をうかがいます。


武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第1回【講義日】2020年5月18日(月)

今回は、株式会社グラグリッド 代表取締役/ビジョンデザイナーの 三澤直加さん にお話を伺いました。



1,グラグリットについて

これからを 描き つくる

ともに考え ともに育てる 事業戦略パートナーグラグリッドは、デザイン思考やさまざまな手法を効果的に活用しながら、ともに戦略をつくり出す共創型サービスデザインファームです。企業と、行政と、学校と、明るい未来をつくり出すためにプロジェクトに伴走します。
引用:グラグリットホームページ 私たちについて


グラグリットは
ビジュアルシンキング(人間の複雑な思考をシンプルなイラストにして描き出す「視覚的な思考法」)、
ファシリテーション(会議やミーティングが生産的かつ効果的に進むように発言を促進し、話の流れを整理し、また参加者の合意形成をサポートする行為)、
サービスデザイン を専門とし、
事業戦略やブランド力の強化を支援する「ビジョンづくり」から、イノベーション創出を支援する「商品づくり」、クリエイティブな組織文化醸成を支援する「組織づくり」まで、幅広くサポートされている会社です。

無知な私にとって、世の中にはこんな会社もあるのか…と
頭をゴーンと打たれた様な気分でした。


2,ビジュアルシンキングとは?


三澤さんのお話を聞く中で印象的だった、ビジュアルシンキングという思考法。
ビジュアルシンキングというのは、複雑なもの・煩雑なものを理解しやすくするために「絵」を用いて可視化する「視覚的な思考法」
描くことで具体的に概念化し解釈を深めることでアイデアの質を高めることに直結するのだそう。


確かに悶々と画面や文字ばかり眺めていても、煮詰まって爆発しそうになった経験、何度もあります。
お絵かきしてて眉間にシワが寄ってることあまり無い気がするな。気のせいでしょうか。お絵かきって解放された気分になりますよね。

そんな感じで、描くことによって思考を解放し、物事を考えてみようという方法の様です。
「思考する」って硬い印象がありましたが、ビジュアルシンキングはむしろ全くその逆で驚きました。

「絵を描くことは解釈をしているということ。理解と解釈は違う。解釈とはこんな側面があったかもしれないと考えること。」という三澤さんの言葉に非常に納得してしまいました。


3,グラグリットのプロジェクト

5つの事例を元に
グラグリッドのプロジェクトをお話しをしてくださりました。
その中で特に印象的だった2つをご紹介します。



①創造的人材を育成する小学生向け授業開発:新宿区落合第六小学校「みらい科」授業の事例

創造的人材を育成する小学生向け授業開発:新宿区落合第六小学校「みらい科」授業の事例をご紹介いただきました。



【学校からの依頼】
 ・現代の小学生の議論は多数決になる
 ・褒められたいから、正解を求めてしまう
 →想像力を養い、概念化 抽象化する方法はないか?

そこで三澤さんたちは、ビジュアルシンキングのグラフィックレコーディング(議論や対話などを絵や図などに可視化して記録していく手法)を用いて授業を新規開発されたそうです。

内容は、体育館いっぱいに敷き詰めたロール紙に、「自分達で未知の都市を作ろう」というテーマで絵を描くというもの。

途中で「隕石がくるよ!!」と伝えると、たちまち宇宙人が来たり、放送局が建ったりと、それぞれが相談し合いながら、みるみる創造性を「解放」していったそうです。

グラフィックレコーディングは、自分で考える方法を「描く」ということを通して知ってもらう有効な方法とのこと。
皆で一つのものを作ることで
考えの異なる他者の背景や話を深くきいて、受けとめ合う」態度を学べるそうです。

三澤さんたちの授業を経て、生徒たちにも大きな変化が。
今までのノートの概念から解放され、漫画調や会話調などでノートを取り始めたそうです。ワクワクしながら知識を吸収していく姿が浮かびました。
歴史の授業など漫画調だと、一気に偉人に親近感が湧きそうですよね。


やりなさい!と押さえつけるのではなく、やりたくなる様な導線づくりをしてあげれば、お互いがこんなに健全に学びと向き合えるのだと感じました。


②新校舎建築の共創型ビジョン形成支援:梅光学院大学の新校舎竣工の事例

新校舎建築の共創型ビジョン形成支援:梅光学院大学の新校舎竣工の事例もご紹介いただきました。

2019年春の梅光学院大学の新校舎「The Learning Station CROSS LIGNT」竣工にあたり、どの様な校舎にしていくか「利用者である学生や教職員が建築家とともに『学びの場』のビジョンを語り合う」ワークショップの中で、参加者同士の話し合いを促進する役割で参加されたそうです。
こちらも絵を描きひらめきを可視化する手法を使用していらっしゃいました。

参加者同士の話し合いを促進する役割の例は聞いたことがなかったのですが、グラグリットさんの様な専門家が入ることによって、校舎のあり方をとらえるためのインスピレーションの源を、建築家に忠実に伝えるための架け橋となってらっしゃいました。

「人口減少している時代にここに新しく学校を作る意味は?」
「地域の人と交流できる新しい拠点として文化の交流店としての役割を果たす場所を作れないか?」
「ここで恋が生まれたら…!」(素敵です)など
未来の利用者を想像しながら理想的な学びの場の姿を絵を描き表現しながら模索し合って全員で考えたそうです。

そんな話し合いを経て完成した校舎がこちらです。

今までの教室と廊下で区切られた建築とは全く異なり、階段で授業ができたりと、とにかくオープンな学習空間です。
これは、勉強が楽しくなるに違いないですね…。こんな場所で勉強してみたかったなと羨ましい気持ちでいっぱいです。

4,まとめ

今回はグラグリット 三澤さんのご活躍についてご紹介させていただきました。
お話を伺い、この2つが特に個人的に印象的でした。

・ビジュアルシンキング
・共創型

「絵」を用いて可視化し、解釈を深めることでアイデアの質を高めるビジュアルシンキングを活用し、依頼主と共に納得いくまでとことん目標へ向かって考え抜くこと。
三澤さんの「お仕事に入らせていただくときは、先頭を走るのではなく、一緒に横で走っている様な感覚なんです」という言葉がグラグリットさんの素敵さを集約していると感じました。

私自身、教育機関に勤めているということもあり、この2例は非常に興味深いお話でした。無意識のうちに既存の概念に囚われていた自分にハッとさせられました。

三澤さんのお話を伺い、時代の変化とともに教育のあり方も柔軟に変化していくために、常に今がベストかと問いかけることが重要だと感じました。

三澤さん貴重なお話をありがとうございました。




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