日当たりが悪かった

守口市内の古い住宅が密集している一角にある、前後に接している道路幅が狭くてまず車は入れないと思える更地に「貸地」の立て札が刺さっていました。

賃料はいくらだろう? 軽い気持ちで書かれていた連絡先に電話を入れました。管理者と言われる人が対応してくれました。「あらかじめ賃料を定めていません。そちらで提案してもらえれば地主さんに伝えます」と、この件に主体性を求められました。動かざるを得なくなりました。

「地主さんは駐車場にした場合を念頭に収支を考えると思います。1台1万円が相場でしょうか」とヒントはもらえました。「駐車場はまず無理でしょう。ひと区画5㎡程度の貸農園を考えています。いくつ区画がとれそうか現地を測ってから希望賃料を連絡します」と答えて電話を終えました。

後日、その土地の間口、奥行きと前後に接する道路の幅を測りました。

あらためて、駐車場にするのは難しいと確認できました。ちょうど外に出ていた向かいの家の人からも、「駐車場? 無理でしょう」と言われました。

通常、駐車場のひと区画を2.5m×5mほどで考えるそうです。4台分、駐車場の区画を紙に書き入れることはできます(左)。ひと区画2m×3m程度の畑なら、8つくらいとれるでしょうか(右)。

賃料はひと区画いくらが適当か、手がかりになる情報がありました。

大阪市城東区蒲生4丁目、通称「がもよん」の中に「がもよんファーム」という小さな農園があります。以前の投稿で、がもよんを紹介した本に触れました。


その本に、農園のことも書かれています。ひと区画5㎡の畑を月額4000円で募集をかけたらすぐ埋まったとのこと。地目を農地に変えず宅地のまま運営している点も参考になります。

「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密 P98」

今回の土地は、がもよんのような駅チカではないので、ひと区画当たり3000円ともう少し低めに見積もって、ひと区画を農器具置き場などの共用スペースでつぶすとして7区画設ければ、月に21000円の売上が見込めるでしょうか。前後の道路幅がもっと広くて4台分の駐車場が成立する場合の売上は月40000円。

単純な売上見込みでは、駐車場に対して分が悪いように見える貸農園。ただ、あくまで全区画に借り手がついた場合の想定。1台8000円でも空きのある駐車場を近隣で見かけました。貸農園の方が埋まりがいい可能性がないか。それを可視化できれば、収支を違って眺めることができるかもしれないと思いました。

食を取り巻く環境がじりじり厳しくなる中、目の届くところで食べ物を生み出すことの価値も、地主に訴求してみたい。

そう思った矢先、貸地全体が日陰だったことに今更気がつきました。

南側の2階建ての家が太陽を遮り、昼12時台でも日が当たっているところがない。ミツバとかニラとか、日陰でも育つ野菜もあるみたいだけど、すごく限られる。

「日当たりが悪かったですね。気づくのが遅れてすみません。土地を測ってみて、やはり駐車場も難しそうですね」。「ですよね。僕もそう思いました」。断りの電話での相手の反応に一瞬、3年間の空白を持ったこの土地をどうしたらいいかという課題を共有する同士の感じを持ちました。

今後も、目の前に土地が現れたら、関わりを持とうと思いました。












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