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改行について

改行するタイミングについてのお話です。

noteやsns・メールなど、ネット上で文章を書く際にどこで改行するかは個人のセンスによる(つまり、はっきりしたルールはない)と思います。事実、みなさんの投稿を拝見していてもその形は様々です。

どれが正しいとかではなく、改行のタイミングによって文の印象がガラリと変わるのを見るたびに「おもしろいなあ」と以前から感じていました。というわけで、今日はそのことについて書いてみたいと思います。

よく見る6つの改行パターン

1. 小さなかたまりで改行

1~3文くらい書いて、なんとなく小さなかたまりができたら改行(+空白行挿入)する方法。冒頭のリード文もこのパターンで書かれています。この改行方法によって作られる段落は「形式段落(※)」と呼ばれ、今まさに書いているこの形になります。

※ 形式段落とは、簡単に言うと「読みやすさ」を目指して作られる段落のことで、後述する「意味段落」を小さく分けたもの。

2. わりと正式な改行(「意味段落」をつくるための改行)

1段落1トピックを原則とし、トピックが変わった時にだけ改行(+空白行挿入)します。これは「パラグラフライティング」とも呼ばれ、いくつかの基本ルールが存在します。まず、1段落は4~8の文で構成され、各段落の一文目にトピックを要約した「トピックセンテンス」を書きます。そうすることで、パラグラフライティングで書かれた文章では各段落の一文目だけを読めば全体が掴めるようになります。また、各段落内は①結論→②根拠や例→③結論、という風に、あたかも段落ひとつひとつが小論文であるかのように構成されます。英語圏の子供は早くからこのパラグラフライティングを学ぶため、彼らのアウトプットはとても論理的です。また、「1段落1トピック」は、プレゼンスライドの原則(1スライド1トピック)や動画投稿の原則(1動画1トピック)にも通じ、知っていて損のない考え方です。

…と、こんなふうにまったく改行がないと少し読みづらく感じるかもしれませんね。そんな時に段落を小分けにしたのが、1.の「形式段落」というわけです。

(パラグラフライティングはメリットも多く、私が英文ビジネスメールの指導などをさせていただく場合も必ず触れています。これについてはまた別稿で書けたらいいなと思っています)

3. 点やマルのタイミングで改行

こんな風に句点(。)の直後に改行します。
読点(、)の代わりとしても改行します。
ふつう読点は意味のかたまりを視覚的に示す目的で使いますが
この方法ではそのかたまりができたらすぐ改行するイメージです。
読点を打つ代わりに改行してしまうので
この方法では読点の登場頻度は減ります。
ただし、読点の直前が短すぎる場合は行の中でも読点を使います。
そう、こんな風に。

もちろん、行末の読点を併用してもいいわけで、
読点と改行を上手く使い分けながら
このように書いてもあまり違和感はありません(統一感は落ちますが)。

4. 文ごとに改行

このように、一文が終わったらとにかく改行するという方法です。
文の終わりを表す句点(。)に加え改行までしてしまうことで、一つのステートメントが終了したことを強く印象付けることができます。
難点があるとすれば、スマホなど画面幅が狭いデバイスで読むときには見た目があまりよくないということでしょうか。

5. 文字数で改行(非推奨)

ケータイの普及やネット投稿の流行
に伴い、読み易い(?)方法として
登場したのがこの書き方。
とにかく何でもいいからある文字数
に達したら改行します。
「携帯電話」ではなく「ケータイ」
世代が生み出した改行パターンです
ね。
ただ、デバイスが変わると予期せぬ
表示になる可能性があるので、あま
りおすすめはできません。

6. 頻繁な改行(シチュエーション次第では有効)

いつ頃だったか
一部の世代間で
一行の文字数が
やたらと少ない
こんなのが
流行りました。

さらに

改行だけでなく

文の途中にもかかわらず

空白行を入れてみたり、


2行空け!


なんてワザが使われることも


あります。


頻繁に改行するこれらの方法は、起承転結の効果を増大する目的で空白行を増やしたり、詩的な雰囲気を出すために一行を短くするなど、シチュエーション次第では効果を加えてくれる方法かなと思います。

どの方法がベストか

冒頭でも書きましたが、どれが正解というものはありません(5.のように推奨されないものはありますが)。

そもそも文章を書く目的は
・人に伝える
・頭を整理する
・記録
などいろいろありますが、いずれにしてもぱっと見たわかり易さは大事ですし、私もつい見やすさや理解しやすさを追求してしまいます。

一方で、あとで読み返すと「この場面では違う方法のほうがよさそう」などと感じることも多く、答えの出ない日々です。

デザインにおいては「空白」をとても重視するようですね。「改行」という特殊な入力が生み出すものもある意味空白なので、デザインセンスを磨くことが文章力の向上につながるのかもしれません。

また、上述のとおりデバイス次第で見た目が変わってしまうネット文章においては、改行だけで読み易さを追求するのも限界があります。改行以外の(改行を超えた)工夫が必要というわけですね。わくわくします。

引き続き追求していきたいです✊

ちょっと雑学

ここからは、プログラミングなどをする際に知っておくと役立つかも知れないお話になります。

キーボードでEnterキーやReturnキーを押すと改行しますよね。この時、「改行コード」と呼ばれる2種類の制御文字が入力されるようです。

ひとつは、LF(ラインフィード)。line(行)をfeed(供給する)という意味で、カーソルを次の行の同じ位置に移動すること。狭義の改行。

ふたつめは、CR(キャリッジリターン)で、カーソルを左端の位置に戻すこと。

どちらもタイプライター時代に生まれた言葉で、
LFは、紙を上に送る(feed)こと
CRは、アームと呼ばれる活字がついた部分を左へジャッと動かすこと
からきているようです。

この二つを足したのが、CRLF(CR+LF)。カーソルを左端の位置に戻し、新しい行に移動することで、いわゆる我々がよく使う「(広義の)改行」になります。

まとめ

改行方法に正解はありません。ある状況ではNGとされるやり方も、シチュエーションが変われば受け入れられることもあります。また本文では触れませんでしたが、読者が誰かによっても変わってくると思います。

正解がないということは試行錯誤の楽しみがあるわけで、「この場に合った方法はなんだろう」と改行に意識を向けつつ、(未来の自分も含めた)読者にとって伝わりやすい文章を自分なりに追求したらいいんじゃないかなと思っています。

以上です。読んでいただきありがとうございました!

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